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部下育成はなぜ重要?管理職が抱えやすい課題や失敗例&解決ポイントを解説

2024年06月12日更新

会議をしている様子

部下育成は、企業が有する人材価値を高める上で欠かすことのできない重要な要素のひとつです。一方で、育成経験が少ない管理職にとって、部下育成を成功させるのは少々ハードルが高いかもしれません。では、上手く部下育成をするためにはどうすればよいのでしょうか。本記事では部下育成で管理職が抱えやすい課題や失敗を解決するためのポイントなどを解説します。

目次 【表示】

部下育成とは

パソコンを持って話し合っている様子
部下育成というと「管理職が部下に指導・指示すること」というイメージがあるかもしれません。しかし、部下育成の本質は「部下が業務で成果を出せるようにサポートすること」です。

たしかに、管理職が部下に仕事の進め方や課題点を指導することも部下育成の一部ではありますが、あくまで主体は部下自身。部下が成果を出すためにさまざまな経験を積み、成長していくプロセスを支援することが部下育成の要です。

部下育成はなぜ重要?

昨今の「人材価値を最大限に引き出し、中長期的な企業価値を高めていく」という人的資本経営の機運の高まりが、部下育成が重視される背景にあります。

具体的には部下育成は企業の組織力・成長力を高めるための要素として極めて重要です。企業の成長の源泉は人材であり、優秀な人材を育成することで競合他社と比べて高い競争力を発揮することができます。

加えて、部下育成は部下および管理職にもメリットがあります。なぜなら、有効な部下育成を受けることで部下は成長を加速でき、また管理職は優秀な人材を数多く育てることで自身の高評価につながるためです。加えて、成長した部下に業務を任せられるようになれば、管理職は自身の業務により注力できるようになります。

管理職が部下育成で抱えやすい3つの悩み

人形が悩んでいる様子
管理職が抱えやすい部下育成に関する3つの悩みを紹介します。

部下育成にかける時間が十分に取れない

管理職は通常業務と並行して部下の育成をおこないます。加えて、昨今は管理職のプレイングマネージャー化(メンバーと同様の業務をこなしながら部下育成をおこなうマネージャー役を兼ねること)が進んでおり、管理職自身も成果創出を求められています。そのため、通常業務に追われ、部下とのコミュニケーションの時間や部下に向き合う時間がなかなか確保できないケースも少なくありません。

部下育成の時間を取ることができなければ、いつまで経っても部下に業務を委譲できずに多忙さは変わらない…という負の循環に陥るリスクがあります。このような場合、管理職は所属する組織内で相談しながら、業務の見直しをおこない、部下育成にかける時間を確保することが大切です。

部下育成に関するスキル・知識が不十分

とくに部下を育成した経験に乏しい場合、管理職は部下育成に関するスキル・知識が十分ではないケースがままあります。本来であれば育成効果に差が出ないように、部下の性格・能力を考慮した、一人ひとりに合わせた部下育成が必要です。

しかし、スキル・知識が不十分な管理職は、部下との距離感がつかめずにコミュニケーションが不足し、部下の性格・能力への理解が不十分になりがちです。そして結果として、部下の性格・能力ではなく、自身の経験や勘をもとに指導をおこなってしまうことが珍しくありません。自身の経験や勘に頼った指導では、管理職の経験がすべての部下に当てはまるわけではないため、部下によっては育成効果に差が出てしまうリスクが生じます。

そのほか、管理職の育成スキル不足は、部下のモチベーション低下にもつながりかねません。「部下育成のスキル・知識が不十分である」という認識を持つ管理職は、たとえば「ティーチングとコーチングの使い分けを学ぶ研修」や「部下のモチベーションアップをあげるためのスキルを学ぶ研修」などの管理職向け研修を受講したり、経験豊かな他の管理職に相談したりすることが有効です。

部下の育成を放棄してしまう

「部下がなかなか仕事をできるようにならない」「育成が計画通りに進まない」などの理由から、部下の育成を放棄してしまう場面も見受けられます。しかし、部下育成をおこなわないと、部下は適切な育成過程を踏むことができません。

つまり、部下の育成放棄は部下の成長機会を奪ってしまうとともに、自身の負担を増やす要因を作ってしまいます。部下育成は多少計画通りに進まなくても、あきらめずに長期的な目線で取り組むことが重要です。

部下育成のための具体的なサポート方法

サポートの付箋の写真
ここでは部下育成で有効な、具体的なサポート方法を3つ紹介します。

傾聴で部下を理解する

部下育成においては部下の考えや能力などへの理解が不可欠です。それらを理解しなければ、部下一人ひとりに合わせた効果的な育成ができないためです。

部下を理解するために重要なのが「傾聴」です。傾聴とは相手の立場に立ち、共感しながら話を聞くこと。傾聴をすることで、部下の言葉の裏にある意図や気持ち、思いなどに気付きやすくなります。

部下に合わせた指導方法をする

傾聴で部下への理解を深められたら、部下に合わせた指導方法を実践しましょう。部下一人ひとりに合った指導をすることで、より高い育成効果が期待できます。部下のパーソナリティを理解するために有効な手段の一つが、自分や他者の価値観や考え方の傾向を把握できる「診断ツール」の活用です。

たとえば、安定的・定型的な業務を個人で進めたいタイプと診断された部下へ依頼する場合は、具体的な説明・指示を出すことが大切です。このようにツールを使うことで、部下のスタイルに応じた有効なアプローチ方法を把握することもできます。

プロセスフィードバックで成長を促進する

プロセスフィードバックとは、業務の結果ではなく業務のプロセスに対するフィードバックのこと。たとえば「この前のプレゼン、あまり良くなかったね。」ではなく、「プレゼン資料がやや冗長に感じました。次回は先輩社員のプレゼン資料を参考にして、資料を作成してみましょう」というフィードバックが該当します。

プロセスフィードバックは結果に対するフィードバックよりも、より高い学習効果が見込めます。プロセスフィードバックを実施し、部下の成長を促進させましょう。

部下育成の失敗例と解決ポイント

電球のイラスト
最後に部下育成における失敗例と解決策をセットで紹介します。

【失敗例①】一方的に育成計画・目標を立てる

部下の育成計画・目標は、組織の方針に沿ったものである必要があります。一方、育成計画・目標を、組織の方針を踏まえて管理職の考えのみで立ててしまうと、部下としては「自分の意思が反映されていない」と感じ、意欲低下につながりかねません。

育成計画および目標は、部下と対話をおこない、組織の方針と部下の目指す姿・興味のある領域などをすり合わせて、ともに作り上げることが大切です。

【失敗例②】難易度の低い業務ばかりを任せる

部下が十分に成長する前は「部下が失敗するかもしれない」「業務を早く進めたい」という思いから、つい簡単な業務ばかりを任せてしまうケースがあります。しかし、難易度の低い仕事ばかりを任せていても部下は成長しません。部下からも「自分は管理職から期待されていないのではないか」という疑念を持たれる可能性があります。

大切なのは部下の成長に応じて業務を割り振ること。始めは難易度の低い業務から、部下が成長してきたら難易度の高い業務を任せることで、部下の成長は加速します。仮に部下がつまずくことがあっても、管理職が適切なサポートをおこなえれば問題はありません。

【失敗例③】部下に感情的に接してしまう

部下に感情的な態度で接してしまうと、部下は恐怖感を抱いてしまいます。すると、部下は「管理職を怒らせないこと」を第一に行動するようになり、能力を十分に発揮できないリスクが生じます。

加えて部下から「管理職の対応はパワーハラスメントにあたる」と認識されてしまう可能性も否定できません。まずは自身が感情的な振る舞いをしていないかを振り返った上で、ハラスメントと指導の違いを正しく理解して部下育成に着手しましょう。

課題を乗り越え、効果的な部下育成に取り組もう

本を開いている様子

部下育成は部下に一方的に指導をすることではなく、部下が主体的に学び・成長する過程を支援することを指します。部下育成を成功させることで、自社の競争力強化にもつながります。

一方で、育成をおこなう管理職は、十分な育成時間を確保できなかったり、部下育成のスキル・知識が不足したりと、部下育成にあたってさまざまな課題を抱える可能性があります。本記事で紹介した失敗例および解決ポイントも踏まえて、より成果の上がる部下育成に取り組んでみましょう。

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