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部下のスタイル別!管理職がおさえておきたい指導方法をわかりやすく解説

2023年04月05日更新

部下の指導は、管理職にとって重要な業務の一つです。しかし、厚生労働省が発表した「平成30年版 労働経済の分析 -働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について-」によると、指導の方法について悩んでいる管理職は少なくありません。

このような管理職の悩みに対し、人事部門ではどのようにアプローチができるのでしょうか。本記事では、管理職と部下との指導におけるコミュニケーションの基本や、部下のスタイルにあわせた効果的なコミュニケーション方法について解説します。

目次 【表示】

仕事におけるコミュニケーションとは

企業の持続的な成長には、人材の確保は必要不可欠です。しかし、日本の人口減少は避けることのできない事実であり、従来のように潤沢な労働人口を確保する事は困難となっています。

そのような市況感においても企業の持続的な成長を推進するためには、雇用形態や労働の可処分時間に制約されず、多様な人材に活躍してもらう必要があります。そのために企業は、多様な背景をもつ従業員が協力しあい、業務に取り組む環境を構築することが重要です。

多様な人材がそれぞれの能力を発揮して業務をすすめるためには、年齢、文化・社会環境、価値観、職務経験など、背景の異なる個人を理解して、お互いの良さを引き出しながら成果につなげていく必要があります。それには、お互いが自分の意思、意図、感情や持っている情報を伝え合い、相互理解を進めることが重要です。

しかし、厚生労働省が発表した「平成30年版 労働経済の分析 -働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について-」によると、上場企業の「管理職としての悩み」として「部下がなかなか育たない」「部下が自分の指示通りに動かない」などが挙げられており、多くの管理職が部下の指導に難しさを感じていることがわかります。

これらの悩みを解消するには、一人ひとりに合わせたコミュニケーションが重要です。適切なコミュニケーションが信頼関係の構築につながり、円滑な指導と育成が可能になります。そのためには、まず自分の部下を知ることから始める必要があります。

管理職が押さえておくべきコミュニケーションの基本

仕事におけるコミュニケーションとは、多様な人と協働して成果を挙げるために、お互いが自分の意思、意図、感情や持っている情報を伝え合い、お互いに共有し理解することです。

部下への適切な指導には、一人ひとりにあわせたコミュニケーションによる信頼関係の構築が重要です。そのために、管理職は仕事における基本的なコミュニケーションを身に付けている必要があります。

信頼関係が構築されていると、部下は上司の話に耳を傾けやすくなり、上司からの意見を取り入れてよりよい仕事をおこなおうとするようになります。上司も、対話を通して部下への理解が深まり、個々人に合わせた指導方法を見いだせるようになるでしょう。

指導におけるコミュニケーションの基本1「傾聴」

部下との信頼関係を構築するうえでは、相手に合わせた柔軟な対応を心がける必要があります。そのためのコミュニケーションの基本として、重要なのが「傾聴の姿勢」です。

部下の言葉の背景にある思いや感情、意図、状況まで聞き取り把握できるよう話に耳を傾け、それらを受けいれて部下の考えや能力を把握し、個々人の力を引き出せるよう働きかけます。

指導におけるコミュニケーションの基本2「コーチング」

「コーチング」とは、部下(トレーニー)が自ら考え行動する能力を、上司・先輩(トレーナー)が対話を通して引き出す指導法のことです。

コーチングにおいては、トレーニーが解決するべき問題や課題を、トレーナーが問いかけながら対話して、トレーニーの意見や考え方を引き出していきます。対話を重ねることにより、トレーニー自身に気づきを与え、一人ではたどり着けない考えや答えに導くことを目指します。

指導におけるコミュニケーションの基本3「ティーチング」

また、業務の方法を教える「ティーチング」の実践も大切です。ティーチングでは、トレーナーがトレーニーに対し、知識やスキルを直接教え指導します。

ティーチングにおいては、トレーニーの知識量や成熟度に合わせて教え方を工夫することが重要です。

上司は、部下の習熟度や状況に合わせて、コーチングとティーチングのどちらが必要かを都度検討して実施していきます。コーチングで対話しながら、考えや能力を引き出し、ティーチングで実際の業務を教えることで、部下は自分で考えながら業務にあたれるようになれます。この繰り返しにより、部下は主体性を持って働く習慣が身につくでしょう。

部下のスタイルと特徴例

管理職は、具体的にどのようにして部下とコミュニケーションを図ればよいのでしょうか。ここからは、部下とのコミュニケーション方法の一例として、「MBSA」を用いた部下のスタイル別のコミュニケーション方法についてご紹介します。

MBSAとは、株式会社マイナビが提供する、「仕事における価値観、思考や感じ方の傾向、行動特性」を4つのスタイルに分類した診断ツールです。ユング理論をベースに構築されたMBSA診断では、診断の結果によって「よい・悪い」ではなく、自分と他者の特徴を知り、コミュニケーションに役立てることができます。

4つのスタイル

MBSAでは、部下を仕事における価値観、思考や感じ方の傾向、行動特性から4つのスタイルに分類しています。

横軸では、定型的・安定的な仕事を好む傾向にあるか、革新的・変革的な仕事を好む傾向にあるかを示し、縦軸では、集団を好む傾向にあるか、個を好む傾向にあるかを診断結果から分類します。

それぞれのスタイルの特徴は次項より説明します。

・Mスタイル(挑戦・先導志向)
集団を好み、革新的・変革的な仕事を好む傾向があるタイプです。意思決定が速く、トラブルにも進んで対処することができます。一方で、自分にも他人にも期待や要求が大きい傾向にあります。

・Bスタイル(効率・調和志向)
集団を好み、定型的・安定的な仕事を好む傾向があるタイプです。チームワークを重視する傾向にあることから、和を尊重しながら他者と協力して効率的に仕事を進めることができます。一方で、意思決定が感覚的になりやすい傾向にあります。

・Sスタイル(堅実・安定志向)
個を好み、定型的・安定的な仕事を好む傾向があるタイプです。穏やかな印象で、伝えられた情報をもとに、細部に注意を払いながら業務に取り組むことができます。一方では、まとまりがないことを苦手とする傾向にあります。

・Aスタイル(専門・自立志向)
個を好み、革新的・変革的な仕事を好む傾向があるタイプです。研究者気質で正確な情報にもとづいて仕事を進めることができます。一方で、合理的ではないことを苦手とする傾向にあります。

部下のスタイルを把握することにより、自分と他者の違いを認識したうえで、相手を尊重した関わり方を選択できるようになります。相手への理解によって、コミュニケーションギャップを軽減し、良好な関係の構築を目指せるでしょう。

管理職から部下への具体的なコミュニケーション例

管理職から部下への具体的なコミュニケーション方法として、スタイル別の具体例を2つご紹介します。

・仕事を依頼するとき
Sタイプは堅実で安定志向を持ちかつ責任感が強いという特徴があります。また、一定の手順ややり方が決まっている業務を得意とする傾向にあるのも特徴です。

そのため、Sタイプの部下には、依頼する仕事の内容を具体的に詳しく説明することが大切です。

Sタイプの部下に仕事を依頼するときには、仕事の内容を具体的に説明することに加え、「確実に仕事をやり遂げてくれるので信頼している」といった内容の声かけが効果的です。また、ストレスがかかると我慢をしてしまいやすい傾向があるため、相談しやすい環境づくりもあわせて意識することで、業務を最後までやり遂げてくれるでしょう。

・業務に関連する相談にのり、助言をおこなうとき
Bタイプは、集団を好み話し合って仕事を進めることを好む特徴があります。一人で仕事をすることにストレスを感じやすい傾向にあるため、共感的に話を聴き十分に話し合うことが大切です。
ストレスを軽減するためには、業務に関する相談には積極的に乗り、助言をおこない「上司がともに考えていること」を示すとよいでしょう。

このように、部下のスタイルを把握することで、相手を理解したうえでそれぞれに合った対応をとれるようになります。

まとめ

管理職と部下のコミュニケーションにおいては、「相手に合わせたコミュニケーションの方法」を理解し実行することが大切です。

部下が望む関わり方を把握し、柔軟に対応を変更することで、円滑に業務を進められるようになり、成果を上げられる体制の構築を望めます。

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