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フィードバックの意味と目的とは?効果的に実施するためのポイントも解説

2023年05月17日更新

相手のいいところや課題を指摘して成長を促す「フィードバック」。どの職場でもよくおこなわれる人材育成の手段ですが、やり方を間違えると相手との信頼関係を損なう結果になりかねません。

この記事ではフィードバックをおこなう際のポイントや注意点などをまとめて紹介します。正しい実施方法を学んで、効果的なフィードバックを行いましょう。

目次 【表示】

フィードバックとは?意味と目的を解説

フィードバックとは、「相手の行動に対してアドバイスや評価をおこなって改善を促す行為」を指す言葉です。ビジネスでは上司から部下へおこなわれることが多く、1on1や人事評価などの面談を通じておこなわれるのが一般的です。上司はフィードバックを通じて部下に気づきを与え、問題解決やスキルアップを促します。

ポジティブフィードバックとネガティブフィードバック

フィードバックは、ほめることを基本とする「ポジティブフィードバック」、問題点を指摘する「ネガティブフィードバック」の2種類に大きく分けられます。

ポジティブフィードバックとは、前向きな言葉や表現でフィードバック対象者のよい面を伝える手法です。他者からの評価をえられるため、相手の意欲を高め、自発的な成長を促す効果が期待できます。一方、ネガティブフィードバックは、相手の問題点や課題を指摘して、それを改善させることを促すためのフィードバック手法です。

ポジティブフィードバックはいきすぎると慢心につながり、反対にネガティブフィードバックは言葉選びを間違えるとモチベーションが下がってしまうこともあります。人材育成という観点では、どちらか一方を行おこなえばいいというわけではなく、相手の性格や状況などに応じて上手に使い分けることが大切です。

フィードバックをおこなうメリット

フィードバックには次のようなメリットがあり、適切におこなうことができれば組織やフィードバック対象者のパフォーマンス向上につながります。

目標達成に近づく

定期的にフィードバックを実施することは、相手に自分の行動を振り返るきっかけを与えます。フィードバックを通じて相手は気付きを得られ、たとえ進むべき方向性が間違っていても、フィードバックにより軌道修正ができるため効率的にゴールを目指せるようになるでしょう。

モチベーションやスキルの向上につながる

フィードバックを通じて相手の努力や長所を認めてあげることで、相手の自己効力感が上がり、それに応じてモチベーションアップが期待できます。さらにモチベーションの高い状態を維持できれば、能動的に仕事に取り組めるため、スキルアップへの意欲や主体性を育むことにもつながるでしょう。

信頼関係を構築できる

対象者の納得感が高い適切なフィードバックを継続的におこない、対象者が改善の努力を重ねることができれば、それが信頼関係の構築に寄与し、さらには相互理解も深まります。信頼関係を築ければ組織力も上がり、連携を密にしながら目標達成へと前進できるはずです。

心理的安全性の向上につながる

フィードバックは相手のよい点を認めつつ、改善点を指摘します。同時に相手への感謝や気づかう言葉を加えることで、「大切にされている」「相手から肯定されている」という実感を持つことができ、心理的安全性の向上にもつながるでしょう。

有名な3つのフィードバック手法

フィードバックにはさまざまな手法があります。それらを意識することで、効果的なフィードバックを実施できます。

SBI型

Situation(状況)、Behavior(行動)、Impact(影響)の順番にフィードバックをする手法です。順序だててロジカルに説明できるため、相手にとってフィードバックの内容がわかりやすいのが特徴です。

【フィードバック例】
昨日の商談についてなんだけど(状況)、相手が抱える課題をよくヒアリングできていたよ(行動)。相手の課題を明確にできればそれに合った提案ができる(影響)ようになるから、その調子で引き続きよろしくお願いします。

サンドイッチ型

「ポジティブ→ネガティブ→ポジティブ」の順番でフィードバックをおこなう手法です。モチベーション低下というネガティブフィードバックのデメリットをできる限り抑えたいときに使います。

【フィードバック例】
昨日の商談は、相手が抱える課題をよくヒアリングできていたよ(ポジティブ)。ただ、提出した企画書の内容は具体性に欠けていて、顧客の課題を解決するという点では説得力が弱かったよ(ネガティブ)。企画の方向性やアイディア自体はとてもいいと思うので、もうすこし相手の現状や課題に対する施策へブラッシュアップをしてくれるかな(ポジティブ)。

ペンドルトンルール

部下自らに「今後、どう改善すればいいか」「どう行動すればいいか」を考えさせるようなフィードバック手法です。一方的にアドバイスや問題点を伝えるのではなく、対話を通じて部下が改善点を見つけられるよう上司がリードします。

【フィードバック例】
上司:昨日の商談の出来はどうだった?
部下:自分としては、うまくできたと考えています。
上司:そうだね。相手が抱える課題をよくヒアリングできていたよ。一方で商談の改善点はあるかな?
部下:得意先の事前リサーチが足りなかったと反省しています。
上司:たしかに、より綿密にリサーチをすればもっと具体的な提案ができるかもしれないね。今後、あの得意先にはどうアクションしていけばいいと思う?
部下:そうですね。相手のニーズはつかめたので、それを盛り込んで提案内容を練りなおします。1週間後にまたアポを取ろうと思うのですが、どうでしょう?
上司:それがいいと思うよ!

フィードバックを効果的におこなうためのポイント

次に紹介する3つのポイントを押さえてフィードバックを実施することで、より高い効果につながります。

フィードバックの目的を明確にする

フィードバックを通じて「組織としてなにを実現したいか」「部下にどういう姿になってもらいたいのか」を明確にイメージしましょう。目的意識が欠如していると、ピントのずれたフィードバックになってしまい相手の成長につながりません。また、フィードバックの目的を部下と共有することも大切です。共通の目的意識をもつことで、より効果的なフィードバックを行えます。

適切なタイミングでおこなう

フィードバックをおこなう際は、指摘対象となる事象が起きてすぐに伝えることが大切です。早い段階でフィードバックができれば、相手もそのときの状況や行動をより鮮明に振り返れます。

具体的かつ定量的に伝えることを心がける

フィードバックの内容はできるだけ具体的にし、数字やデータなどを用いて定量的に伝えるよう心がけましょう。また、結果に対する過程や行動、それをともなう具体的な思考について話し合うことで、相手にとって「どこがよくて、どこが悪かったのか」を振り返るよい機会になります。

フィードバックでやってはいけない3つのこと

最後に、フィードバックをおこなううえでの注意点をご紹介します。

思い込みや主観でのフィードバックは禁物

上司の主観を相手に伝えてしまうと、本人の考えや思いを考慮していないフィードバックになりかねません。そうなれば相手は納得できず、信頼関係を損なうことにつながってしまいます。具体的な成果や数値などの実質を中心に、相手へ伝わるフィードバックを心がけましょう。

言葉選びには細心の注意を

たとえネガティブな内容であっても、フィードバックは叱責するためにおこなうものではありません。否定的な意見を伝える場合には、前向きな言葉に言い換えるなど相手が萎縮しないための工夫をしましょう。相手への敬意を忘れず、一つひとつ丁寧な言葉選びをすることが大切です。

フィードバックする環境にも配慮する

「大勢の人がいる場でフィードバックをしない」「必ず作業の手を止めてからフィードバックする」など、フィードバックをする環境にも気をつかいましょう。また、緊張している状態では話に集中しづらいため、必要に応じてアイスブレイクや雑談をしながら、リラックスした環境でフィードバックができるとなおよいでしょう。

まとめ

フィードバックは正しくおこなうことで、部下の成長やモチベーションアップにつながります。実施する際には「フィードバックを通じて、なにをどうしたいのか」を明確にすることが大切です。相手の性格や関係性によっても伝え方や伝えるべき内容は変わってくるので、試行錯誤を繰り返しながら効果的なフィードバックができるといいでしょう。

もちろん、フィードバックをしたからといってすぐ結果が出るわけではなく、人材育成は一朝一夕にはいきません。定期的にフィードバックをおこないながら、長期視点で相手が成長できるようサポートしましょう。

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