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ファシリテーションとは?メリットや進め方、求められる3つのスキル

2024年05月29日更新

ファシリテーションのイメージ

「議論を重ねたが、結論が出なかった」「場の空気に流されて、質問や自分の意見が出せなかった」といった経験を持つ人もいるのではないでしょうか。会議や研修などにおいて、参加者の意見を引き出し、目的に向けて円滑に議論を進行するために「ファシリテーション」の重要性が増しています。

本記事ではファシリテーションとはなにか、メリット、進め方、必要なスキルについて解説します。

目次 【表示】

ファシリテーションとは

ファシリテーション(facilitation)とは、組織の活動において円滑な進行がおこなえるように支援する手法です。具体的には、参加者の発言を促したり、発言しやすい雰囲気づくりをおこなったり、議論が脱線しないように要点をまとめたりする介入が挙げられます。参加者が柔軟に意見を出し、結論を導き出せるようにサポートするのがファシリテーションです。

ファシリテーションをおこなう人は「ファシリテーター(facilitator)」と呼ばれます。似た役割として「司会者」がありますが、司会はあくまでも場の進行をコントロールし、予定通りに進める役割です。ファシリテーターも場の進行をサポートしますが、最終的に結論(成果)にたどり着くようにコントロールするといった点で司会者とは異なります。

ファシリテーションが求められる場面

ファシリテーションは以下のように、ビジネスにおけるさまざまな場面で求められます。

研修

社内研修においては、参加者が疑問点をその場で質問して解消できることが重要です。ファシリテーションによって発言・質問しやすい雰囲気を作ることで、参加者の理解度を高めることに役立ちます。

とくに入社したばかりで、まだ自分の意見や発言に自信が持てない新入社員の場合、ファシリテーションにより新入社員が安心して発言しやすくなり、研修内容の理解促進、定着に繋がります。

会議

会議の進行管理をおこなうタイムキーパーとしての役割に加え、発言していない人がいれば発言を促すことで、議論の活発化に繋がります。また、意見が対立した場合、認識の相違から生じている可能性があるため、情報を整理することで合意形成をサポートします。

ファシリテーターが中立的な立場で進行することで、公平感のある会議になり、建設的な議論が生まれやすくなります。

チームビルディング

チームメンバーそれぞれの能力を発揮させ、チームの成果を高める「チームビルディング」にもファシリテーションは有効です。

普段あまり話していないメンバー同士のコミュニケーションを促したり、緊張感が漂っているチームにアイスブレイクを取り入れたりすることで、チームが活性化し、チームビルディングの効果を高められます。

ファシリテーションの目的と必要なアプローチ

ファシリテーションの目的は、合意形成や相互理解をサポートし、組織を活性化することです。これにより会議の時間短縮や相互理解の促進などに繋がります。

この目的を達成するためのアプローチとしては、段取りや進行といった全体を円滑にする「外面的なアプローチ」と、メンバー一人ひとりの考えや心の働きを推しはかる「内面的なアプローチ」があります。

  • 外面的なアプローチ:場の雰囲気づくりから、出てきた意見をまとめ、必要に応じて意見を投げかけるといった働きが求められます。
  • 内面的なアプローチ:意見が対立した際に、立場や役職などに関係のない中立的な立場から意見を整理し、争いや食い違いを生まないように配慮します。参加者が建設的に議論できるような働きが求められます。

ファシリテーションをおこなうメリット

チームメンバーが手を合わせ意気込む様子

ビジネスシーンにおいてファシリテーションをおこなうことで、以下のようなメリットがあります。

意見交換が活発になる

会議などにおいて、意見を出す人が偏らないように配慮したり、意見が食い違っていても立場が強い人が有利にならないようにコントロールしたりと、ファシリテーションがおこなわれているチームでは、参加者が安心して意見を発言できます。

意見交換が活発になることで、より多くの視点やアイデアが交換され、集合知が生み出されます。結果的に、組織としての価値創出に繋がりやすくなるでしょう。

結論を導き出しやすくなる

ファシリテーターには、論点にズレが生じたときに軌道修正を促したり、現在出ているアイデアや意見を整理して可視化したりする役割もあります。また、参加者一人ひとりが納得できているのか、疑問点がないか、といったことも確認しながら、参加者の合意形成をサポートしていきます。

そのため、複雑な要素が絡み合っている問題や、意見の対立が起きているシーンにおいても、解決策や結論を導き出しやすくなります。

ファシリテーションの進め方

ステップの積み木

ここでは組織内の会議を想定して(1)事前準備、(2)雰囲気づくりと進行、(3)クロージングの3フェーズに分けて、ファシリテーションの進め方を見ていきます。

(1)事前準備

会議前の準備として、参加者の考え方や、理解度、参加者同士の関係性、会議におけるキーパーソンについて把握しておくことで、会議を円滑に進めやすくなります。

すべての参加者が、会議のテーマに対して同じ理解度、共通の認識を持っているとは限りません。他部署などの他のチームメンバーを含めた会議での場合、その傾向はさらに強くなるため、事前に参加者について情報を把握しておくことが重要となります。

また、会議の目的を確認して、参加者に伝えておくことや、目的とあわせて「具体的になにを決めるのか」「どこまで結論を出すのか」といった成果についても開始前に周知しておくことが重要です。成果が設定されていることで、議論が脱線しづらくなり、「活発に議論が生まれたものの、結局なにも決まらなかった」といった事態を防ぎます。

(2)雰囲気づくりと進行

会議が始まったら、参加者全員が発言しやすい雰囲気を作るために、「どのような意見も意義があるもの」という点を伝えます。場の空気が緊張している場合は、率直な意見が出にくい恐れがあるため、適切なタイミングでアイスブレイクを取り入れたり、参加者の意見を募り、必要に応じて他の参加者からの質問を促したりします。

また、参加者の意見をホワイトボードなどに書き出し、関連性をわかりやすく示すことで、参加者全員がアイデアを共有するための手助けをおこなうことも有効です。

(3)クロージング

設定された時間内に結論を出すためのサポートをおこないます。タイムマネジメントをおこないながら、議論の方向性にズレが生じた際には、軌道修正をしたり、必要に応じて一度議論を止めたりすることも必要です。意見の対立があれば合意形成をサポートします。

最終的に、事前準備で確認した会議の目的に沿って「誰が」「いつまでに」「なにをするのか」を明確にし、会議の成果とします。

ファシリテーションに必要なスキル

説明している様子

ファシリテーションをおこなうために必要なスキルを紹介します。

傾聴のスキル

傾聴は、ファシリテーションにおける基本のスキルです。参加者が発する言葉だけでなく、表情やしぐさ、声のトーンなどを観察することで、 参加者が「言おうとしていること」を理解します。

また、参加者の感情に寄り添い、共感する姿勢を示すことも必要です。ファシリテーターが傾聴を心がけることで、参加者は「受け入れられている」と感じ、警戒心が解けることで新しいアイデアや発想が生まれやすくなります。

介入のスキル

さまざまな価値観を持つ人が集まった場面においては、予想外のできごとや、意見の対立が起きることがあります。このような場合に、目的に向かって場をコントロールし、建設的な議論を維持できるように介入するスキルが必要です。

ときには議論をいったん中断してもらったり、ルールを守らない参加者に注意したりする必要も出てくるでしょう。

そのほかにも、議論が進まない場合には対話の活性化をはかることも必要になります。ただし、 ファシリテーター自身は議論には参加せず、あくまで議論を補助する立場であることを忘れないようにしましょう。

質問のスキル

適切な質問を投げかけることにより情報が整理され、参加者の理解促進や、他の視点に気づくきっかけになります。

具体的な質問のテクニックとしては、自由な解答を促す「オープン質問」や、回答を制限する「クローズ質問」があります。そのほかにも 「もし○○の立場なら?」「もし○○の時だったら?」「もし制約がなければ?」といった仮定の質問も交えながら議論を促しましょう。

ただし、質問する際は、客観的な立場から議論をサポートするという役割に徹することが大切です。「自分の意見を押し付けていないか」「議論に参加してしまっていないか」などの点に注意しましょう。

ファシリテーションで組織を活性化させよう

カジュアルな会議のイメージ

変化が激しく、将来の予測が困難なVUCA時代では、以前と同じ方法が通用しない場合も少なくありません。複雑化した問題に対処するために、多様な意見や価値観を出せるような場づくりがより一層重要になっていくでしょう。

多様な意見を引き出しつつも、参加者の相互理解を促し、一つの結論を導き出すためにファシリテーションは欠かせません。「傾聴」「介入」「質問」の3つのスキルを軸に、社員のファシリテーションスキルの向上を促し、組織の活性化に繋げましょう。

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