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エンパワーメントとは?メリット・デメリットや導入手順を解説

2023年10月25日更新

エンパワーメントとは、ビジネスでは「権限委譲」「能力開花」などの意味で使われ、具体的には「上司が部下に権限を与え、自律的・能動的に仕事ができる環境を整えることで、部下の能力を開花させること」をいいます。エンパワーメントを実施することで、意思決定の迅速化や顧客満足度の向上などのメリットがあります。この記事ではエンパワーメントの意味や実施するメリット・デメリット、実施手順を見ていきましょう。

目次 【表示】

エンパワーメントとは?

エンパワーメントは、ビジネス上では「権限委譲」「能力開花」などの意味で使われます。具体的には、「上司が部下に権限を移し、部下が自律的・能動的に仕事に取り組める環境を整えることで、能力を開花させること」という意味です。

たとえば、営業職の場合「価格交渉において、あらかじめ決められた範囲内で、部下に価格提示の意思決定権をもたせる」、接客業の場合「一定の予算内であれば、部下の判断でお客様のために自由にサービス(バースデーカードの進呈など)を提供できる」などが挙げられます。

このように権限委譲やそれに伴う環境整備を通じて、意思決定の機会を増やし、部下のパフォーマンス・能力を向上させることが、エンパワーメントに当たります。

エンパワーメントはなぜ注目されている?

エンパワーメントが必要な理由として、「市場の急激な変化」が挙げられます。

昨今、技術革新や情報化社会の進展などにより、ビジネスにおける意思決定スピードはこれまでにない速さで展開されています。そのため、従来のトップダウンの意思決定方法では、判断までに時間がかかってしまうため、お客様の要望に十分に対応できず、機会損失が発生しかねません。

だからこそ、現場で素早くかつ柔軟に意思決定ができる仕組み・環境を整えること、つまりエンパワーメントが多くの現場で注目されています。

エンパワーメントを実施するメリット

エンパワーメントを実施するメリットを3点解説します。

意思決定および業務スピードの迅速化

エンパワーメントの実施により、部下は上司から権限委譲された決定権のもと、自身の考え・判断で意思決定できる業務範囲が増えます。

たとえばトラブル一つとっても、部下は権限委譲された範囲において自身で判断し、その場でスピーディーに対応することが可能です。したがって、部下および組織における意思決定・業務スピードの向上を図ることができます。

その結果、業務効率化・生産性の向上にもつながることでしょう。

顧客満足度の向上

エンパワーメントをおこない、現場レベルでスピーディーかつ柔軟な対応ができれば、顧客満足度の向上にも寄与します。たとえば、顧客からマニュアルにはない要望を依頼された場合、都度上司に確認して顧客をお待たせするよりも、自身の決定権の範囲で迅速かつ的確な答えを伝えた方が、顧客の満足度は高くなることでしょう。

このように、臨機応変かつスピーディーな対応が可能になるため、顧客満足度の向上にもつながります。

自律型人材の育成

上司からの事細かな指示ではなく、自身で意思決定をする機会・業務範囲が増えることで、部下には少なからず当事者意識が生まれます。同じ業務をするにしても、「この場合はどのような対応がベストなのか」「なぜこの業務プロセスが必要なのか」などと、自身で考える機会が増えるためです。

このように意思決定を繰り返す経験を通じて、部下に自己効力感が芽生え、自発的に業務をおこなう姿勢が身につくことでしょう。

エンパワーメントを実施するデメリット・注意点

続いて、エンパワーメントを実施するデメリット・注意点も解説します。

適切に権限委譲をしないと、トラブルが発生するリスクが増える

適切な人材に適切な権限を委譲できなかった場合、トラブルが発生するリスクが増えてしまいます。とくに部下自身の能力を超える業務範囲において権限を委譲すると、部下が誤った判断をしてしまう可能性が高まります。

また、部下が「自分自身で判断しなければならない」という心理的負担を感じ、失敗をしてしまうケースも想定されます。このような経験やトラブルが重なると、部下のモチベーションだけでなく、生産性の低下にもつながりかねません。

そのためエンパワーメント実施時には、本人の能力・経験を踏まえて、適度な介入・フォローをすることが重要です。

組織としての対応に一貫性を欠く可能性がある

個々が意思決定することになるエンパワーメントでは、判断結果が人によって異なる場合があるため、組織としての対応に一貫性を欠くリスクが生じます。たとえば、同じ状況であっても部下の経験や能力・知識、考え方により、顧客への対応がばらつく可能性があります。

また、組織として一貫性を欠いた対応をしていると、企業に対する信頼が揺らぐリスクも出てくるほか、顧客満足度の低下にもつながりかねません。企業として一貫性のある対応をするために、企業理念や経営戦略の浸透、権限の明確化などを進める必要があります。

エンパワーメントの実施手順


最後に、エンパワーメント実施の手順を4つのステップに分けてご紹介します。

【ステップ①】エンパワーメント推進の理由や目的などを明示する

エンパワーメントの実施にあたって、まず、エンパワーメントの推進者は、エンパワーメントを推進すること、および推進する理由や目的・目標を全従業員に明示・共有します。これはエンパワーメント実施に限らず、組織的な取り組みを成功させるためには、機運の醸成および従業員の理解が不可欠なためです。

従業員の理解促進のため、必要に応じて、従業員に対して導入メリットを伝えたり、不安軽減のためにサポート体制について説明したりする機会を設けるのも有効です。

【ステップ②】必要な情報共有をおこなう

次に上司は、組織の戦略や目標など、エンパワーメントの実施・推進に必要な情報を部下に共有します。

各種情報を共有することで、エンパワーメントの実施後、部下に企業の方針から外れない行動をとってもらう効果が期待できます。加えて、積極的な情報共有により、上司が部下を信頼している姿勢を示すこともできるでしょう。

【ステップ③】徐々に権限委譲を始める

上司が部下へ一度にすべての権限を渡してしまうと、混乱が起きてしまったり、誤った方向性で業務を進めてしまったりする恐れがあります。したがって、権限は少しずつ委譲するのがポイントです。また、権限委譲の際には、「意思決定できる業務範囲」「迷った際の判断基準」「報連相をおこなう基準」も併せて伝えておくことで、部下は迷わず意思決定・判断を下せるようになります。

【ステップ④】定期的なフォロー・改善をおこなう

エンパワーメント導入後は、定期的に上司による部下へのフォローや必要に応じた改善をおこないます。たとえば、経験・知識不足からミスを頻発する部下がいることが分かれば、権限委譲する業務の範囲を狭める対応も必要かもしれません。

また、トラブル発生時や部下から相談を受けた際には、上司がコーチングを用いて一緒に答えを出す方法も有効です。このように部下の経験や個性に応じて、適切なフォロー・改善を適宜おこなうようにしましょう。

まとめ

エンパワーメントを実施することで「意思決定スピードの迅速化」「顧客満足度の向上」などのメリットが期待できます。一方で、部下の意思決定の範囲を広げることになるエンパワーメントでは、ミスを抑えるためにも、適切な人材に適切な権限を委譲することが重要です。

今後も、エンパワーメントの実施を検討する企業が増えてくることが予想されます。本記事で解説したメリット・デメリットおよび実施手順を踏まえた上で、エンパワーメントの実施を検討してみてはいかがでしょうか。

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