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自律型人材とは?特徴や育成方法、企業事例も紹介

2023年07月12日更新

自律型人材とは「自分で考え能動的に業務を遂行できる人材」のことを指します。2019年4月に施行された働き方改革や2019年ごろに発生した新型コロナウイルス感染症の流行でテレワークが推進されるなど、社会情勢の変化に柔軟に対応し、人材育成をすることが急務となってきました。

本記事では、自律型人材の特徴や育成方法、育成するメリット・デメリットなどを解説します。

目次 【表示】

自律型人材とは

企業によって自律型人材の定義は異なるため、育成や採用の際は、自社の経営戦略に合った人物を選ぶために自社内での定義を設定する必要があります。本記事では今の時代に求められる自律型人材の特徴と自律型人材が活躍できる組織についてまとめました。

自律型人材の3つの特徴

自分の意思で考え行動できる自律型人材には、具体的にどのような特徴があるのでしょうか。主な特徴を3つご紹介します。

・自ら行動できる
・責任感が強い
・創造的なアイデアを仕事に反映できる

 

自ら行動できる

「自律」とは自分で考えた規範に従って自ら行動することを指します。なかでも、優れた自律型人材は企業理念や企業戦略などを理解した上で、自分は会社のために今なにをすべきなのかを考えて行動することが特徴としてあげられます。

自律型人材と対比される「依存型人材」は上司から指示され与えられた仕事内容をコツコツ遂行できるタイプといえるでしょう。

責任感が強い

自ら考え行動することで、業務上にミスやトラブルが発生した場合も自分で責任を持って最後まで成し遂げる人が多いのも、自律型人材の特徴です。自律=「自分で立てた規範に従う」とあるように、常に自ら目標設定や計画などを立案して行動できるので、状況を把握しながら改善していく視点も持っています。

創造的なアイデアを仕事に反映できる

自律型人材は自分の意思で考え行動できるため、企業理念や企業戦略などを理解したうえで、状況に応じて適切な案や方法を考え仕事に反映できるのも特徴の1つです。

また、周りのメンバーと意見を交わしながらよりよい成果が出せるよう調整できる能力も備わっているため、ひとりよがりな姿勢というわけではありません。

自律型人材が活躍できる組織の特徴

自社の定義に合う自律型人材を採用し、能力を発揮してもらうにはどのような環境設定が必要なのでしょうか。今回は自律型人材がより活躍できる組織の事例について2つご紹介します。

・ホラクラシー組織
・ティール型組織

 

ホラクラシー組織

提唱者:2007年、アメリカのソフトウェア会社であるTernary Softwareの創業者によって提唱された
定義:「社内に役職や階級のないフラットな組織形態のこと」

ホラクラシー組織は、意思決定権が部署やチーム、個人など組織内で分散されるのが特徴です。社員一人ひとりが大きな裁量を持ち、自主的に仕事に取り組める環境が整っているため、自らの意思で考え行動できる自律型人材にとって能力が発揮しやすい環境といえるでしょう。

ティール組織

提唱者:2014年にフレデリック・ラルーの著書「Reinventing Organizations」によって提唱された
定義:「管理職が部下を監督しなくても組織の目的実現に向けて成長し続ける組織のこと」

一般的に日本の企業では組織内に階層が存在し、一定の決定権を有したリーダーが存在します。そして、そのリーダーを中心にメンバーが集まり、プロジェクトごとの小さな組織が成立している構造になっていますが、ティール組織では階層型のヒエラルキー構造のように指揮命令系統自体が存在しなくても、メンバー同士の信頼関係によって組織と個人、両方の成長を促すことができるとされています。

自律型人材を育成するメリット・デメリット

自律型人材を育成するメリット・デメリットはどのようなものがあるのでしょうか。良い点と注意点を確認し、より効果的な人材育成を目指しましょう。

メリット

自律型人材を育成するメリットは以下の3つです。

・イノベーティブな事象が発生する機会が増える
・管理職の負担軽減につながる
・環境の変化に臨機応変に対応

 

イノベーティブな事象が発生する機会が増える

自律型人材の特徴の1つに「創造的なアイデアを仕事に反映できる」とご紹介しました。自律型人材を育成することで部下からの提案が活発になり、イノベーティブな事象が発生する機会が増えます。

管理職の負担軽減につながる

従来の管理職が担っていた業務上の決裁権限を有する自律型人材が増えることで、管理職からの指示を待つ時間が短くなる分、業務スピードが上がります。さらに、管理職は部下の指導や育成にかかるコストが軽減する可能性があり、より事業発展に貢献できる業務への集中ができるでしょう。

環境の変化に臨機応変に対応

働き方改革や新型コロナウイルス感染症の流行で、テレワークを含む多様な働き方が推進されてきました。結果として、管理職によるマネジメントがしづらい環境が増え、オフィス出勤に切り替える企業も増えています。

そのような社会的変化の中でも目標の達成に向けて仕事を進めることができる自律型人材は、臨機応変に対応できる人材として注目を集めています。

デメリット

自律型人材の育成にはメリットだけではなく、デメリットも発生します。自律型人材の育成に関する主なデメリットは以下の2つで、それぞれくわしく解説します。

・育成にコスト(時間・費用)がかかる
・情報の一元化が難しくなる

 

育成にコスト(時間・費用)がかかる

自律型人材を社内で育成するには、さまざまなスキルや経験を身につけてもらうために研修プログラムを用意する必要があります。自社内で自律型人材の育成ノウハウがない場合は外部研修などに参加させることになるでしょう。

研修を受けさせるだけでなく業務内で経験を積んでいく時間も必要になるため、自律型人材の育成には時間・費用といったコストがかかります。

情報の一元化が難しくなる

自律型人材を育成して業務を任せる場合、個人の裁量が大きくなるため、トップダウン式の組織と比べて情報の一元化が難しくなるのもデメリットの1つです。

本来、管理職が担っていた部下の監督や会議での情報共有がなくなってしまうと混乱が生じるため、個人の決裁権限を増やす場合は常に組織やチーム内で情報共有できる仕組みや時間を用意する必要があります。

自律型人材の育成方法

自律型人材はどのように育成すればいいのかと悩む企業も少なくありません。自律型人材を育成するフローや注意点についてそれぞれ解説していきます。

STEP1「自律型人材の定義と目標設定」

自律型人材は会社によって定義が異なるため、まずは自社の企業理念や企業戦略に合った自律型人材の定義を設定する必要があります。企業理念や企業戦略に照らし合わせた上でどのような人材が必要になり、目標設定のためにどのような行動をして欲しいのか明確にします。

その際、漠然と定義や目標設定するのではなく、自社が期待する人材像を具体的にすることが重要といえるでしょう。すでに自社内に自律型人材がいる場合はロールモデルとして行動や能力などを分析して、人材の定義と目標設定の指標にする方法もあります。

STEP2「研修と実践」

自社の自律型人材の定義と目標設定ができたら、育成のための研修やセミナーで学ぶ場と、学んだことを実際に行動に移す実践の場を用意します。急速に行動変容を求めることは難しいため、自律型人材の評価基準を作成し、自らの行動を振り返るための機会を用意することが重要です。

研修やセミナーで学んだ内容と実践の内容の関連が強いと、知識や経験が身につきやすくなり社員の自信にもつながるため、事前にプランをしっかりと組み立てておく必要があります。

STEP3「定期的に目標の見直しをおこなう」

先ほどSTEP2でも「自らの行動を振り返るために機会を用意する」と紹介しました。定期的に企業側と社員の目標の見直しを行い、フィードバックを繰り返していくことで自律型人材の成長につながります。

その際に企業側は結果のみを評価するのではなく、過程にも注目し、あらかじめ設定した目標に到達できなかった場合にどのような改善方法があるのかを分析し、新たな目標設定に役立てるとよいでしょう。

自律型人材育成を取り入れている企業事例

自律型人材を育成するには時間・費用とコストがかかります。実際に自律型人材の育成に取り組んで成果のあった企業は、どのような方法で実施し、人材育成の成果が出たのでしょうか。今回は企業事例を3社ご紹介します。

事例 A社

製造メーカーのA社が取り組んだ自律型人材の育成プログラムの具体的な施策は下記のとおりです。

・新入社員は研修後もOJT担当者が1年間付く
・自律型人材の社員評価制度の実施
・社内副業制度の実施

A社は「社員自らがキャリアのオーナー」という理念をもとに、人事や上司はキャリア支援のサポート的立場として自律型人材の育成を促しています。

事例 B社

シニア社員の自律型人材育成に取り組んだB社の具体的な施策は下記のとおりです。

・社員の新たな挑戦を促す環境設定
 例1)業務時間の2〜3割を使って希望する別の仕事の兼務を可能にする
 例2)スキル取得のための費用を一部補助
・キャリア形成を支援……ワークショップ型研修、受講者の専任メンターが研修フォローアップや課題についての相談をおこなうなど

上記以外にも社員同士が自主的に集まり、勉強会や見学会の企画・実行することで、社内の活性化にもつなげたといいます。

事例 C社

グローバルや専門領域への社員の挑戦を促すC社の具体的な施策は下記のとおりで、社員の能力や階層に合わせて成長できるカリキュラムを用意しています。

・eラーニングなどの資格取得の費用補助

自律型人材の育成に取り組もう

社会情勢の変化の大きい昨今では、社内外の変化に対して臨機応変に対応できる自律型人材育成の必要性が高まっています。自律型人材の育成にはコストがかかりますが、うまく活躍できる環境を用意することで業務効率化や管理職の負担軽減などのメリットもあり企業の成長につながります。

まずは、自らの意思で考え能動的に業務を遂行できる自律型人材の育成計画を策定しましょう。

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