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コンセプチュアルスキルとは?必要な理由やスキルを高めるポイントも解説

2024年02月07日更新


コンセプチュアルスキルとは「物事を概念化し、本質をとらえる力」です。同スキルを高めることで、イノベーションを起こしやすくなったり、業務効率を向上させたりすることができます。この記事ではコンセプチュアルスキルの意味や同スキルの高め方などを解説します。

目次 【表示】

コンセプチュアルスキルとは?

始めに、コンセプチュアルスキルの意味と同スキルが必要な理由を解説します。

コンセプチュアルスキルの意味

コンセプチュアルスキルとは「複雑な物事の大枠を理解し、本質をとらえる力」です。日本語では「概念化能力」とも訳されます。

<そもそも概念化とは>
個別具体的な事象に共通する性質・本質を捉え、概念として体系的に構築すること。たとえば、「お酒」という概念は、ビールや日本酒などアルコールが含まれるという性質をもつ飲料をひとつのカテゴリーとしてまとめたものである。

 
このコンセプチュアルスキルは「正解が見通せない課題に直面した際にも、情報や知識を収集・整理・分析することで、物事の本質を見抜く力」とも言い換えられます。なぜなら、これまでに経験した個々の事象を概念化することで、一見関連性が低く見える事象から課題との共通点を見つけ出し、本質を見抜いたうえで解決方法を導き出すことができるからです。

なお、同スキルは、アメリカの経営学者ロバート・L・カッツが提唱した理論「カッツモデル」を構成する3つのスキルの1つです。この理論では、経営者や幹部クラスといった高い職位に就く者ほどコンセプチュアルスキルが求められる、と説明しています。

カッツモデルについて知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

コンセプチュアルスキルが必要な理由

コンセプチュアルスキルは組織やチームを発展させるために欠かせないスキルです。同スキルを持つ人材は、物事の本質を見抜く力があり、組織が抱える課題を根本的な意味で解決へと導く原動力となるためです。とくに組織やチームを率いていく立場にあるマネジメント層は、同スキルを用いて、組織や業界・世界情勢の状況を正確に理解し、判断を下す必要があります。

また現在は「VUCA時代」と言われるほど変化の激しい時代です。変化に対応するため、マネジメント層以外の従業員にもコンセプチュアルスキルは求められつつあります。実際に新入社員研修のカリキュラムにも同スキルに関する事項が組み込まれているケースも見受けられます。

コンセプチュアルスキルを構成するスキル・要素

コンセプチュアルスキルは以下の10のスキルおよび要素で構成されています。

構成スキル・要素 概要
ロジカルシンキング
筋道を立てて物事を考えるスキル
ラテラルシンキング
1つの事象を多角的な視点で捉え、固定観念・常識・経験にとらわれない、自由な発想ができるスキル
クリティカルシンキング
物事を筋道が通っているか、本質的であるかを疑って考えるスキル
多面的視野
さまざまな視点から複眼的に物事を見るスキル
受容性
自身と異なる価値観・意見を受け入れるスキル
柔軟性
何事にも臨機応変に対応するスキル
知的好奇心
新しいもの・未知なものを拒絶せず、知ろうとする姿勢
探究心
物事・事象について、自身が納得するまで解き明かそうとする姿勢
チャレンジ精神
未知・未経験の領域へも、リスクを恐れずに挑戦する姿勢
俯瞰力
広い視野・高い視座から物事の全体像を把握するスキル

 
抽象的にも思えるコンセプチュアルスキルですが、上記表のように分解することで、具体的な理解を促進できるでしょう。

コンセプチュアルスキルを高める4つのメリット


コンセプチュアルスキルを高めるとどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは4つのメリットを解説します。

問題の本質を捉え解決を目指せる

コンセプチュアルスキルが高いことは、「ロジカルシンキング」や「俯瞰力」も高いといえ、問題の本質を捉えた上で、より正確かつ長期的な視点で問題の背景や原因を特定できます。

また表面的な解決では問題が再発してしまうリスクがあります。しかし、同スキルを用いて本質を捉えた上での根本的な解決アプローチであれば、問題の再発防止にも寄与します。その結果、その場しのぎではない、問題の根本的な解決を図れるようになります。

イノベーションが起きやすくなる

コンセプチュアルスキルを構成する「柔軟性」や「ラテラルシンキング」により、多様な発想が生まれ、組織内にイノベーションが起きやすくなります。

また、同スキルが高い人は、抽象化と具体化の行き来が上手なため、他者に自分の考えを分かりやすく伝えられます。なぜなら抽象的な概念でも、具体例を用いて伝えることができるからです。

そのため、コンセプチュアルスキルが高い人材が増えれば、自部署に加えて他部署・他チームとの意見交流が進み、新たなアイデアが生まれやすくなる土壌も育まれることでしょう。

業務効率が向上する

コンセプチュアルスキルにより、物事を構造的に把握することで、「身近な業務の効率的な手順」を構築できる可能性があります。さらにその手順を情報共有すれば、チーム全体の生産性向上にも繋がるでしょう。

また、管理職がコンセプチュアルスキルの構成スキルである「多面的視野」を用いて部下の資質を捉えれば、部下一人ひとりの個性の応じた適材適所な仕事の割り振りができるようになります。結果として、部下の業務効率改善も見込むことができるでしょう。

組織を取り巻く環境の変化に対応できる

高いレベルのコンセプチュアルスキルは、組織を取り巻く状況とその本質を正確に理解し、適切な判断を下す際にも役立ちます。なぜなら、同スキルがあれば、自社を取り巻く状況に対して、「知的好奇心」や「受容性」を持って情報収集をおこない、論理的かつ批判的な思考で環境を分析できるためです。

したがって、コンセプチュアルスキルを高めることで、環境が変化した際にも組織として柔軟に対応できるようになるでしょう。

コンセプチュアルスキルを高める3つのポイント

最後に、コンセプチュアルスキルを高める3つのポイントを紹介します。

「抽象化」と「具体化」を意識する

コンセプチュアルスキルの高い人は抽象化と具体化、双方を自由に考えられます。そのため、まずは物事を抽象化および具体化するスキルを身に付けましょう。

抽象化とは日々の業務を構成する、複雑かつ具体的な事象の共通点・要素を抽出することを指します。簡単にいうと、さまざまな事象を「つまり〇〇ということ」とまとめる手法のことです。抽象化スキルは、物事の構造を考えたり、図にしたりするトレーニングが有効です。

一方、具体化とは「成功パターン」や「失敗パターン」など、抽象的で個々人により抱くイメージが異なる事象を具体的に表現することです。簡潔に言うと、「例えば〇〇ということ」と事例やたとえ話を挙げる手法です。事象を具体化することで、その事象に対する認識がより深まります。なお、具体化するスキルを高めるためには、たとえ話や事例を意識するトレーニングが有効です。

考える対象のモレ・ダブりをチェックする

「モレ・ダブりがない」という状態を指す「MECE(ミーシー)」という言葉があります。コンセプチュアルスキルを高めるためには、このMECEを意識し、考える対象にモレ・ダブりがないかを意識することが大切です。モレ・ダブりがある状態では、論理的な思考がしづらく、本質の見極め・判断が難しくなるためです。

日ごろから、対象のモレ・ダブりの有無を確認した上で、思考を始めるようにしましょう。なお、MECEに考えるための代表的なフレームワークには、マーケティング分析に利用される「4P分析」や購買行動プロセスを説明する「AIDMA(アイドマ)」などがあります。

研修に参加する

「コンセプチュアルスキルを自力で鍛えるのは難しい」または「一度プロからスキルの身につけ方を教わりたい」という場合は、研修に参加するのも有効です。実際にコンセプチュアルスキルを学ぶ研修を提供している事業者は多数あります。コンセプチュアルスキルを構成する10の要素の中で高めたいスキルを明確にし、研修内容を比較・検討した上で、受講する研修を選びましょう。

なお、マイナビでも、コンセプチュアルスキル向上のためのオリジナル研修シリーズを展開しています。以下もぜひ参考にしてください。

コンセプチュアルスキル
・問題解決力研修
・ロジカルシンキング研修
・ロジカルライティング研修
・クリティカルシンキング研修
・マーケティング研修
・発想力研修
・管理職研修(基礎編)
・管理職研修(ケーススタディ編)
・役員研修

 

また、受講した研修内容を社内に還元することで、他の従業員もコンセプチュアルスキルを高めやすくなるでしょう。

コンセプチュアルスキル向上に取り組もう


コンセプチュアルスキルはロジカルシンキングや知的好奇心など10のスキル・要素で構成されています。同スキルの向上は個人の業務効率向上に加え、イノベーションを起こしやすい組織の土壌をつくったり、環境変化に対応したりと、組織全体にも好影響を及ぼします。MECEへの意識向上や研修を通じてコンセプチュアルスキルの向上に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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