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フィードバック面談の進め方とポイント|企業が実施すべき手法を解説

2021年05月26日更新

厚生労働省の発表した「令和元年版 労働経済の分析-人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-」によると、効果的なフィードバックによって労働者の働きやすさが向上する可能性があることが分かっています。フィードバック面談を取り入れている企業は多くありますが、面談の際に「部下にうまくフィードバックができない」といった悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、人事評価におけるフィードバック面談の目的や進め方、効果的な面談を実践するポイントについて解説します。

目次 【表示】

フィードバック面談とは

フィードバック面談とは、企業における人事評価のステップの一つとして、管理者・評価者にあたる上司が部下に対して、仕事における評価や課題を共有し、今後の行動や成長に繋げるための面談です。フィードバック面談では、上司が部下に評価を伝えるだけではなく、その結果を踏まえて今後、部下がどのように行動していくかを部下と一緒に考え、意見を交換することが求められます。

フィードバック面談の目的

人事評価におけるフィードバック面談には、どのような目的があるのでしょうか?

人材育成・部下の成長促進

フィードバック面談では、部下の仕事における評価について、上司・部下間で結果を共有します。「今回はどのような評価だったのか」「なぜこの結果になったのか」など、評価の理由や結果を共有することで、部下が自身の評価への納得感を高めることに繋がります。

部下自身が評価に納得することで具体的な課題を認識したり、上司が解決策を提案したりと、部下の行動変容を促すきっかけとなります。

チームの目標達成へと繋げる

フィードバック面談で、部下の仕事における進捗状況・課題をあらためて共有することで、組織から与えられた目標を達成するための施策を検討できます。また、部署や組織全体としての目標達成度合いや部下のパフォーマンスから、目標達成へ向けた業務計画をあらためて考えることで、部下への的確な指示やアドバイスをおこなうことにも繋がるでしょう。

部下のモチベーション向上

フィードバック面談を通じて、部下へ前向きなアドバイスや課題解決策を提案することは、部下のモチベーションを上げ、業務上の課題解決への具体的な行動へと結びつけます。また、上司・部下間のコミュニケーションの促進や、信頼関係の構築においても効果が期待でき、部下が上司へ相談・意見などをおこないやすくなります。

代表的なフィードバックの種類

フィードバック面談では、どのようなフィードバックの方法が活用されるのでしょうか?

ポジティブフィードバック

ポジティブフィードバックとは、部下の仕事や目標達成に向けて望ましいと思える行動に対して、肯定的な言葉を使って部下に伝え、モチベーションを向上させることを目的としたフィードバック方法です。

「プレゼンテーションの内容が伝わりやすかった」のようなポジティブな言葉を使い、褒めて伸ばすマネジメントとして取り入れるには効果的といえるでしょう。

ただしポジティブフィードバックは、部下の良いところをただ褒める方法ではありません。部下が企業へ貢献するためにはどのような行動や成果が求められるのか、業務を通じて部下が成長するにはなにが必要なのかを上司が考え、客観的な視点から評価をおこなうことが重要です。

ネガティブフィードバック

ネガティブフィードバックとは、部下の行動における課題点を上司が指摘し、部下自身が課題の解決へ向けて行動を起こすことを目的としたフィードバック方法です。

課題解決力などのスキル形成や学習を促す機会として有効に活用できる反面、部下の行動や課題におけるネガティブな部分については伝え方に気をつけなければ、部下のモチベーションを低下させてしまう原因にもなります。

ネガティブフィードバックを実践する際には、部下へ具体的な指摘ポイントをわかりやすく伝えることや、部下のモチベーションを下げないような言い方を心がけましょう。また、ネガティブな評価を発奮材料に変えてもらえるように、質問形式でコミュニケーションを図る「コーチング」の要素を取り入れることも効果的です。

フィードバック面談の進め方

どのような進め方でフィードバック面談を実施するといいのでしょうか?

1. 面談の準備

フィードバック面談をおこなう際、なんの準備もなく部下との面談の場をセッティングしても効果的な面談は実施できません。面談をスムーズにおこなうためにも、まずは、面談を進めるために必要な人事評価などの情報や面談の流れを整理することから始めましょう。

最終的な人事評価とその評価に至った背景までを確認し、本人の仕事内容とその成果なども含めて説明できるように準備が必要です。また部下の自己評価と、上司の評価が異なるところを確認し、その理由についても説明できるようにしておきましょう。

フィードバック面談は、30分から1時間程度が目安であり、事前に面談の準備をすることで、限られた面談時間を有効活用できます。

2. 評価を伝える

面談開始後、すぐに評価について話しだすよりも、まずはアイスブレイクなどを活用して面談の場を和ませることで部下の緊張を解き、話しやすい空間を作りましょう。

その後は、部下から自己評価とその根拠についての話を聞き、今期の活動における総括を話してもらいます。部下が話しているときは、上司は相槌を打って最後まで話を聞くようにしましょう。

自己評価の話が終わった段階で、上司から、部下の最終評価結果とその根拠についての説明をします。評価の良かった点、部下の自己評価との差異など、それぞれの明確な理由を伝え、公正な結果であることを理解してもらいましょう。

なお、面談で評価を伝える際に効果的なフィードバック方法として、SBIモデルとFEEDモデルの2つがあります。

SBIモデル
「Situation(相手が置かれていた状況)」「Behavior(相手が取った行動)」「Impact(それによって生じた影響)」の順にフィードバックする方法。部下が「他者に与えた影響」についてフィードバックし、部下の行動に関する気づきを与える。
(SBIモデルを用いたポジティブフィードバックの例)
S:「今日の朝礼のことだけど」
B:「○○さん、率先して配布資料をみんなに配ってくれたよね」
I:「おかげで時間を有効に活用できてすごく助かったよ。ぜひ今後も続けてほしい」

FEEDモデル
「Fact(相手の取った行動)」「Example(その行動を評価者が指摘する理由)」「Effect(その行動による影響)」「Different(次回への代替案・改善策)」の順にフィードバックする方法。部下の行動と、それに伴う評価側の指摘意図を明確にし、改善策の提案までの一連の流れを伝えることができる。
(FEEDモデルを用いたネガティブフィードバックの例)
F:「今日締め切りの資料のことだけど」
E:「もう少し早めに相談してもらえれば、余裕を持って完成できたと思うんだ」
E:「この時期は忙しいから、他に手伝ってくれる人がいなかったら間に合わなかったかもしれない」
D:「次からは、資料の作成が間に合いそうになかったら早めに相談するようにしよう」

これらの方法を活用することで、より具体的なフィードバックをおこなうことが可能となります。

3. 課題の共有

評価結果をもとに課題解決方法や目標について話し合うことで、意欲の向上へと繋がり、今後の具体的な行動を考えられるでしょう。また部下が評価結果に不満を感じている場合には、その理由をヒアリングし、面談の場で解消するようにしましょう。評価結果や今後の課題、目標を共有したところで、面談の内容をまとめてフィードバック面談は終了となります。

効果的なフィードバック面談を実践するポイント

効果的なフィードバック面談を実践するには、どのようなポイントを押さえておくといいのでしょうか?

日頃からコミュニケーションをとる

日頃から、部下の仕事への取り組みや業務の進捗を把握し、コミュニケーションをとることで、部下に対する理解が深まることでしょう。部下との信頼関係の構築により、部下の本音を聞きだせるようなフィードバック面談の実践へと繋がります。

評価の根拠を明確に伝える

フィードバック面談では、評価の結果について部下が納得できるように、根拠を示して伝えることが必要です。根拠がわからないままだと、部下はその評価に納得できず、仕事や行動における改善策を考えることも難しくなります。評価の根拠を明確に示すことで、自己評価とのズレがあった場合でも部下が納得しやすくなります。

評価者への研修の実施

フィードバック面談を部下の成長に繋げるためにも、評価者側である上司には評価の伝え方やフィードバックの方法、評価者としての役割の理解など、さまざまなスキルや知識の習得が求められます。評価者研修などを活用して評価者である上司に対しての社員教育をおこなうことで、効果的なフィードバック面談の実践へと繋がります。

まとめ

フィードバック面談は、部下に人事評価をただ伝えるだけではなく、部下の良いところと改善点をそれぞれ明確にして上司・部下間で共有し、部下の今後の行動や目標に繋げることが重要です。部下の成長促進や人材育成に繋げるフィードバック面談をおこなうために、本記事の内容をぜひ参考にしてみてください。

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