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評価者研修で公平な組織へ!研修の目的と内容を解説

2021年01月20日更新

企業の人事評価制度は、従業員の評価決定や昇給などの重要な役割を果たします。評価者の評価制度に対する理解があり、評価制度が正しく運用されていれば、被評価者から信頼され、仕事へのモチベーションの向上や仕事の生産性を上げることにつながる場合もあるため、公平な評価が求められます。

そこで導入されているのが評価者研修です。企業が評価者への研修を実施することで、評価者の評価エラーを防ぎ、より客観的な評価をおこなうことにつながります。今回は、評価者研修の概要や目的、研修の内容について解説します。

目次 【表示】

評価者研修とは

評価者研修とは、他の従業員を評価する立場にある人に向けて、自社の評価制度や評価方法、評価基準などに対する理解を深めることを目的とした研修のことです。評価者研修の中には「目標設定の流れ」「業績・能力評価のポイント」など、評価者の評価スキルを向上させるためのカリキュラムやトレーニングが含まれています。

近年では、本来の人事評価制度の目的を達成することや公平性の保たれた評価をおこなうことを目的に、評価者研修を導入する企業が増えています。

評価者研修の対象

評価者研修の主な対象者は、管理者をはじめとした、他の従業員を評価する立場にある人です。評価者には、客観的な評価をおこなうために、人事評価制度の理解や客観的な評価をおこなう能力、正確な目標設定の実施、被評価者へのフィードバックなど、さまざまなスキルが求められます。

しかし、必ずしもすべての評価者が専門的なトレーニングを受けているわけではありません。そのため評価者には、以下のような課題が見られることも少なくありません。

・被評価者の目標設定が適切かどうかわからない
・評価者によって評価のバラつきがある
・面談の進め方がわからない
・フィードバックの仕方がわからない

評価者の人事評価制度に対する理解不足は、被評価者からの信頼失墜や部下のモチベーション低下につながり、結果的に「優秀な人材の流出」「組織の業績低下」などの悪影響を及ぼす可能性もあります。そこで評価者研修を実施し、評価者のスキル習得や能力向上に役立てることで、平等かつ公平に評価することを目指します。

評価者研修を実施する目的

評価者研修はどのような目的で実施されるのでしょうか?

自社の評価制度や被評価者についての理解促進

企業の人事評価制度は、従業員を公平に評価するための手段です。公平な評価をおこなうためには、評価者自身が自社の評価制度や被評価者に対する理解を深めることが欠かせません。

・自社の評価制度にはどのような項目があるのか
・評価基準はどのように定められているのか
・企業は従業員になにを期待しているのか

評価者は、上記のような人事評価制度の項目のポイントを一つずつ理解していくことではじめて制度を有効に活用でき、公平な人事評価に取り組めるでしょう。

評価者の評価能力やスキルの向上

人事評価は、人が人を評価する制度であるために、評価エラーが生じることも少なくありません。とくに評価者が陥りやすい評価の傾向として、以下があげられます。

ハロー効果:被評価者になにかひとつ良い点(または悪い点)があると、 他のなにもかもが良く(または悪く)見えてしまう傾向。

寛大化傾向:どの被評価者に対しても評価が甘くなる傾向。評価者が部下に嫌われたくないという意識や、部下に対する同情、思いやりなどが作用しておこる。

厳格化傾向:どの評価者に対しても評価が厳しくなる。部下を自分と同じ立場から見るなど、極めて優秀な人間を基準にして評価してしまう。

中心化傾向:評価を標準レベルに集中させ、被評価者の間に優劣をつけない。みな「普通」として評価してしまう傾向。

論理的誤差:「仕事の内容が正確だから、当然知識や技術もあるだろう」というように、異なる評価項目間に関係があるかのように考えてしまう。

企業が人事評価制度を導入していても、評価者の評価能力が不足していると効果的な運用は実現できません。「評価者の好き嫌いで評価が変わる」「行動や実績が公平に評価されない」など、被評価者が評価結果を不公平と感じてしまうことは、企業や評価者へ対する不信感や仕事のモチベーション低下に影響します。

さらに、株式会社マイナビ『転職動向調査2020年版(2019年)』(※1)によると、正社員として働いている20代~50代の男女のうち2019年に転職した方において、転職活動を始めた理由は「業績などを正当に評価してもらえなかった」が16.2%と、一定割合存在していることがわかりました。

このような事態を避けるためにも、評価者研修により評価者の能力やスキルの向上を目指し、平等で公平な評価を実施することが求められます。

評価者研修の内容

評価者研修を実施するには、自社で研修カリキュラムを作成するケースと、研修会社に依頼するケースがあります。研修会社の実施する研修では、評価者の属性に合わせたさまざまな研修内容を依頼でき、評価者の役割・目的を理解して、一連の評価の流れやポイントを学ぶことが可能です。
一般的な評価者研修は、以下の内容で構成されています。

1.人事評価の基本の確認
人事評価ですべきことや、人事評価の意義・重要性、人事評価の流れを学ぶことで、評価の基本を再確認します。

2.期初の目標設定
業績評価のポイントや業績評価で目指すべきこと、目標設定の流れなどを学びます。目標に必要な要素や、避けるべき目標の表現を学ぶことで、評価者と被評価者の双方が納得のいく目標の立て方を理解します。

3.期中のマネジメント
中間面談の活用やサポート時の留意点について学びます。適切なフィードバックやアドバイスを与えることで、目標達成や被評価者の育成につながることを理解します。

4.評価のポイント
人事評価のポイントを学び、適切な評価能力を身に付けます。評価のポイントは「業績評価」と「能力評価」の2種類があり、評価の手順や留意点などの理解を深めます。加えて、ハロー効果や寛大化傾向などの評価者が陥りやすい評価傾向についても学び、事実ベースでの評価をおこなうことを目指します。

5.期末面談の有効活用
面談の事前準備方法や厳しい評価を伝えるときの注意点などを学びます。被評価者のモチベーションを下げない評価面談方法について学ぶことで、フィードバックやアドバイスの仕方を身に付けます。

評価者研修では、上記のような方法が組み込まれている研修もあり、さまざま観点から人事評価についての理解を深められます。

まとめ

今回は、多くの企業で導入されている評価者研修について解説しました。評価者研修とは、管理職をはじめとした他の従業員を評価する立場にある人に対して、自社の人事評価制度についての理解促進し、公平な評価を実施することを目的とした研修です。

評価者研修の実施によって評価者自身の評価能力やスキルが向上することで、被評価者への評価エラーをなくし、被評価者の仕事へのモチベーション低下や人材流出を防ぐことにつながります。評価者研修は、専門の研修会社へ依頼することで評価者の属性に合わせたさまざまな研修をおこなうことができるため、平等で公平な評価をするためにも、評価者研修の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

<出典>
※1. 株式会社マイナビ:転職動向調査2020年版(2019年)

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