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360度評価の企業にとってのメリットとは?失敗しないために導入までに知っておきたいことも解説

2022年05月11日更新

社員の仕事ぶりや実績を評価し、組織の目標達成や人材育成へと繋げるためにおこなわれる人事評価。人事評価は一般的に上司が部下を評価しますが、近年では上司以外からも評価される360度評価を取り入れている企業が増えています。

今回の記事では、そもそも360度評価とはどのような手法なのか、企業にとってどのようなメリットがあるのかを紹介しつつ、導入・実施に失敗しないために知っておきたいポイントも含めて詳しく解説します。

目次 【表示】

360度評価とは

1人の社員に対してさまざまな立場の社員が評価する方法を360度評価とよびます。
一般的な評価は上司から部下に対しておこなわれますが、360度評価は社員本人の上司、同僚、部下から評価を受けるほか、自己評価もおこないます。

なお、評価者は同じ部署の社員だけとは限らず、プロジェクトや業務で関わる他部署の社員が評価者となるケースもあります。

360度評価を実施する目的

360度評価は、従来のような上司1人からの一面的な評価ではなく、多面的な評価により社員自身の評価結果に対する納得感を高められます。

本来、上司は部下に対する監督責任があり、普段の仕事ぶりや結果を把握しておく必要があるものの、一部分しか評価ができないこともあるでしょう。360度評価をおこなうことで、社員本人が同僚や部下に対しておこなっていた、上司の目が届かない行動も評価されるようになります。

多面的な評価によって社員の特性がより明確になり、それをもとに改善点が具体化され、社員の成長に向けた人材育成にも用いることができます。

360度評価を実施する企業が多い理由

人手不足が続く企業において、管理職としての役割を果たしながら現場での業務も兼任するプレイングマネージャーは少なくありません。

しかし、実務をこなしながら管理業務までおこなうには物理的に手がまわらないことも多く、管理職の負担は増加してしまいます。

十分なマネジメントができないと、適切な評価もできず社員から不満の声が上がってくることも考えます。また、モチベーションの低下を招くこともあるでしょう。
管理職の負担を減らしつつ、評価の納得感を高めるためにも360度評価を導入する企業が増えています。

企業が360度評価を実施するメリット

360度評価を実施することで、企業の各部門やチーム、社員にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

客観的な評価ができる

売上や利益率など定量的に評価できる実績は客観性を担保できますが、普段の仕事ぶりや仕事に対する姿勢などは定性的なものであり、上司の捉え方次第で評価は変わります。

しかし360度評価であれば、上司以外のさまざまな視点からも評価を受けられるため、評価結果に対する客観性を担保できるでしょう。
そのため、360度評価を実施する目的でもある、評価に対する社員の納得感を高めることに繋がります。

社員の成長につながる

360度評価ではさまざまな視点から多面的に評価を受けるため、客観的なフィードバックが得られ、社員がそのフィードバックを受け入れやすくなります。
その結果、社員は目標の達成に向けて前向きに行動をとることができ、成長に繋げられるメリットがあります。

上司だけでは気づかなかった問題点や課題点の発見

従来は上司のみが評価者であったことから、一面的な視点でしか評価を受けられませんでした。しかし360度評価では、上司1人だけでは気づかなかった問題点や課題点も認識できる機会にもなります。

360度評価を導入・実施するうえでの注意点

360度評価は企業にとってメリットばかりとは限らず、注意しなければならないポイントも存在します。360度評価を効果的に運用するために、企業はどのような点に注意すべきなのか解説しましょう。

評価の妥当性が損なわれるケースがある

同僚や同じ部署内の社員同士などで、自分を高く評価してもらうために、ほかの社員も高い評価をつける可能性があります。反対に、相手から低い評価を受けたため、自分も相手に対して低い評価をつけるといったことも考えられるでしょう。その結果、評価結果の妥当性が損なわれるケースが考えられます。

しかし研究によって、360度評価には一定の信頼性があることがわかっています。また360度評価には、評価の公平性や客観性が高まるという特徴もあります。そのため、社員の能力を正確に評価する必要があるコンピテンシー評価や行動評価として活用される傾向があります。

評価の妥当性を高めるためには、360度評価を実施する目的や狙いを社員に正しく理解してもらうことが重要です。また、適切な評価ができるよう評価者全員を対象とした研修や訓練などで、評価の方法を伝える必要もあります。

ほかにも上司や部下、同僚といった各評価者からの評価を平均して、最終評価を判断するなどの工夫が必要です。

部下に対して十分な指導がしにくい

上司は部下からも評価を受けることから、悪い評価をおそれるあまり指導が甘くなり、部下の十分な育成に繋がらないことも考えられます。その結果、優秀な人材が育たず、組織力が低下する要因になる可能性があるでしょう。

このような問題を防ぐためには、上司は部下に対して日頃からコミュニケーションを図り、信頼関係を構築しておくことが重要といえます。

また、部下から上司に対する評価については、マネジメント能力を測る評価項目を慎重に検討するなどの対策も必要です。たとえば「必要に応じて業務のフォローを行っているか」、「部下に対して公正な評価とフィードバックをおこなっているか」などが上司に対する具体的な評価項目として挙げられるでしょう。

適切なフィードバックをおこなう

人材育成を目的とした360度評価では、上司または人事部などから被評価者に対するフィードバックが不可欠といえます。その理由としては、なぜこのような評価になったのか結果をフィードバックし、そこからどう改善するのかを具体的なアクションとして決める必要があるためです。

また、多くの場合、自己評価よりも他者からの評価結果のほうが低くなることがわかっています。他者からの評価結果に対してショックを受ける場合も多いため、ショックを和らげるという意味でも適切なフォローをしつつフィードバックをおこなう必要があります。

社員の評価すべきところと改善すべきポイントを整理して伝えることで、良い点はさらに伸ばし、改善すべきポイントに対しては具体的な対策や行動がとれるようになるでしょう。

360度評価を適切に運用し人材育成に役立てよう

360度評価は、管理職にとってはマネジメント業務の効率化に繋がると同時に、社員にとっては納得感のある客観的な評価を得るためにも有効な方法です。

その一方で、全員に評価をしてもらうまでに時間がかかったり、評価データの取りまとめに従来と比べて時間がかかったりすることもあります。また360度評価を運用するうえでは、注意しなければならないポイントもあります。

今回紹介した360度評価を実施するうえでの注意点も踏まえつつ、適切な運用を実現できるよう取り組んでみましょう。

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