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傾聴とは?傾聴のポイントやビジネスで活用する方法を紹介

2025年03月05日更新

会議をする様子
現代の職場では、社員の持つ傾聴力が信頼関係の構築や業務のスムーズな進行に良い影響を与えます。ただし、個々の社員が傾聴力を自然に身につけるのを待つのではなく、企業として経営層や人事が主体となって、主に管理職を対象に社員の傾聴力を意識的に育て、職場全体にその価値を広めることが重要です。

本記事では、傾聴とはなにか、傾聴力を身につけるメリット、傾聴のポイント、高め方、ビジネスで活用する方法を解説します。

目次 【表示】

傾聴とは

パソコンを見ながら話しあう様子
傾聴(けいちょう)とは、相手に関心を持ち、共感しながら話を聞くコミュニケーション技術です。傾聴できる能力のことを「傾聴力」と呼びます。傾聴力は、ただ相手の話を聞くのではなく、言葉の背景にある考え・意思・意図・感情・状況までも捉えて受け容れ、相手が伝えたいことを聴く・理解する能力です。相手に聴いている姿勢を示すことで、相手が話しやすくなり、相互理解を深められるようになります。

経済産業省は、2006年に提唱した「社会人基礎力」にて、12の能力要素の1つとして傾聴力を挙げています。

傾聴力を身につけるメリット

握手する様子
傾聴力を身につけることで得られるメリットを紹介します。

信頼関係の構築

相手の話を真剣に聴く姿勢を示すことで、相手は「話をしっかり聴いてくれている」と感じることができ、安心して意見を共有し、お互いの信頼関係が深まりやすくなります。たとえば、上司が職場で部下や同僚の話に耳を傾けることで、相談しやすい雰囲気を作り出し、問題解決やチームの結束力向上につながります。

業務のスムーズな進行

相手の言葉にしっかりと耳を傾けることで、話の意図や背景を理解しやすくなります。そのため、上司や同僚からの指示や意見を的確に把握し、適した行動を取れることで、不要なやり取りを減らし、業務がスムーズに進行できるでしょう。また、顧客とのやり取りにおいても、相手のニーズを深く理解することで、適切な提案や解決策を提供できるようになるでしょう。

自己理解が進む

傾聴によって他者の意見や価値観に触れることで、自分自身の考え方や行動を見つめなおす機会が増えます。相手の視点に立つことが習慣化すると、自分の言動が他者にどのような影響を与えているかを客観的に捉えられるようになるでしょう。他者の視点を受け入れることで、自分の強みや改善点を発見し、成長のきっかけを得ることにもつながります。

傾聴のポイント

ビジネスマンが人差し指を立てている様子
傾聴の際に意識したいポイントについて解説します。

うなずきで安心感を与える

相手の話に適切なタイミングでうなずくことで、相手に「話を聞いてもらえている」という安心感を与えられます。また相手の目を見るアイコンタクトをすることで相手の話を真剣に聞いている姿勢を示せます。

あいづちで対話を促す

あいづちを挟むことで、話に集中していることを示し、話の内容や感情を正確に受け止めていることを表せます。この際、あいづちの数は多ければ良いといわけではなく、相手の話を邪魔しない程度に抑えることが重要です。「はい」「なるほど」「そうですね」といった言葉を使い、話し手に「もっと話しても大丈夫」と感じてもらうことで、より対話が進むでしょう。

また、「それは大変ですね」など、事実や感情を反復するあいづちを打つことで、相手の話を整理しつつ、共感を示せます

要約で理解を確認する

「○○ということですね」と話の要点を簡潔にまとめることで、自分の理解度を相手に示せます。これにより、認識のズレを防ぎ、話し手も自分の考えをまとめられます

傾聴力の高め方

スタートからゴールまでのプロセス
傾聴力を高めるにはいくつか方法があります。具体的な方法として5つを紹介します。

聴く時間を意識して調整する

傾聴では、自分が話すことよりも、相手の言葉に耳を傾けることが重要です。会話の比率を「聴く7割:話す3割」に設定し、相手に話の主導権を渡すようにしましょう。相手の話が途切れたときも沈黙を受け入れ、相手の考える時間を尊重することで、対話が生まれやすくなります。

ロジャーズの三原則を意識する

アメリカの臨床心理学者であるカール・ロジャーズ氏は、傾聴する際に重要となる要素として以下の三原則を提唱しました。

  • 共感的理解:相手の立場に立ち、気持ちや考え方を理解しようとすること
  • 無条件の肯定的関心:相手の考えや感情をそのまま受け入れ、良し悪しや個人的な好みで評価しないこと
  • 自己一致:聴き手自身が偽りなく自然体で向き合い、無理に取り繕わないこと

これらを意識することで、話し手は安心を感じられ、自分の考えや気持ちを深く表現できるようになります。

非言語コミュニケーションを読み取る

相手の気持ちを理解するには、表情の変化、声のトーン、視線、身振り手振りなどの、言葉以外の要素にも注意を払いましょう。たとえば、言葉では「大丈夫」と言っていても、声が小さい、笑顔がぎこちないといった場合は、相手が無理をしている可能性があります。

こうした非言語情報を見逃さないことで、表面的な言葉だけにとらわれず、相手の本音や置かれている状況を理解しやすくなります。

ミラーリングやペーシングを取り入れる

「ミラーリング」は、相手の仕草や表情、姿勢を自然に真似ることで親近感を高める手法です。また、「ペーシング」は、話すテンポや声のトーン、リズムを相手に合わせることで安心感を生む手法です。ミラーリングやペーシングを取り入れることで、相手が「共感されている」と感じ、心理的に距離を縮めやすくなります。

ただし、こうした手法は多用しすぎず、会話の流れに合わせておこなうことが重要です。

質問を使い分ける

傾聴力を高めるためには、質問を効果的に使い分けることが重要です。
質問には以下の6種類があるといわれており、それぞれ場面によって使い分けることで、相手の考えや情報を引き出し、理解を深められます。

質問の例
具体的な質問
1.確認の質問 相手の発言内容や意図を正確に把握する 「この提案は、今月中に実施する予定で間違いないでしょうか?」
2.誘導質問 相手を特定の方向に導く 「つまり、この案がより効果的だと思いませんか?」
3.巻き込み質問 相手の意見を引き出し、対話に積極的に参加してもらう 「この件について、あなたのご意見を伺えますか?」
4.具体化質問 曖昧な発言や考えを明確にする 「それはどのような場面で発生することですか?」
5.一般化質問 特殊な事例や意見を、広い視点や一般的な観点で捉える 「それを他の業界や分野に当てはめると、どうなるでしょうか?」
6.視点を変える質問 思考が固定化している場合に、新たな視点やアイデアを引き出す 「逆の立場で考えると、どのような意見が出てくるでしょうか?」

 

傾聴をビジネスで活用する方法

上司と会議をする様子
傾聴を実際のビジネスの場面で活用する方法を紹介します。

部下とのコミュニケーション

上司が多様な価値観を持つ部下の本音や、抱えている課題を理解するうえで、マネジメントに傾聴を取り入れることは有効です。傾聴によって部下の意見を引き出し、共感を示す姿勢を持つことで、部下との信頼関係を強化できます。また、相手を表面的に理解するだけでなく、悩みを深く知れ、適切な支援や方向性の提示がしやすくなるでしょう。

チームの信頼関係を深める

結束力が強いチームを作るには、自由に意見を出し合える雰囲気づくりが重要です。そして、そのためには、メンバー同士の信頼関係の構築が必要になります。

チームメンバーがそれぞれ傾聴する姿勢を身につけていれば、チーム内で「メンバー同士の意見や感情を尊重する」雰囲気が醸成され、発言が活発になります。これにより、コミュニケーションの質向上につながり、業務効率の向上も期待できます。管理職に率先して傾聴を実践してもらうとともに、勉強会を実施するなどして、管理職以外のチームメンバーにも傾聴力を身につけてもらうことが重要です。

傾聴力を高め、より良い職場環境の構築を

笑顔で会議をする様子
傾聴力は、信頼関係の構築や業務効率の向上に寄与する重要なスキルです。企業として、社員の傾聴力を高めることは、チーム全体のコミュニケーションの質を向上させ、職場の心理的安全性を確保するうえで欠かせません。本記事で紹介したポイントを参考に、日々の業務やマネジメントに傾聴を取り入れることで、より良い職場環境を築いていきましょう。

著者プロフィールHR Trend Lab編集部
タレントマネジメントやエンゲージメントなどの最新トレンドから、組織や人事にまつわる基本知識までマイナビ独自の視点でお届けいたします。
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