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リフレクションとは?メリットや手順、有効なフレームワークを紹介

2024年12月11日更新

ビジネスマンがオフィスで情報を分析する様子
リフレクションとは、ビジネスや日常生活において自己成長を促すための重要な手法です。自分の過去の行動や経験を客観的に振り返り、そこから学びを得ることで、業務改善や効率化につなげることができます。急速に変化する現代のビジネス環境において柔軟な対応をするために重要視されています。

本記事では、リフレクションとはなにか、注目される背景、メリット、リフレクションの手順、実践手法について解説します。

目次 【表示】

リフレクションとは?

経営戦略のコンセプトリフレクションとは、自分自身の仕事や業務を客観視し、業務に関する考え方や価値観、行動などを客観的に振り返ることです。「内省」という意味を持ち、ビジネスシーンにおいては、通常の業務から一度離れて、自分の過去の経験や現在の行動を深く考察する行為を指します。アメリカの哲学者ジョン・デューイの提唱をもとに、同じくアメリカの哲学者のドナルド・A・ショーンによって発展させられました。

リフレクションをおこなうことで、自分自身で考え、気づきを得られ、自己成長を促すことで業務の効率化や改善を図るための手段になります。経済産業省もこのスキルに注目しており、自己を認識して振り返るリフレクションによって社会人基礎力を十分に発揮することにも寄与すると考えられています。

反省との違い

リフレクションと反省は、どちらも自分の行動を振り返る点で共通していますが、その目的やアプローチに違いがあります。反省は主に過去の誤りや失敗を認識し、自分の言動の悪かった点を振り返り、それを繰り返さないようにすることに重点を置きます。

これに対してリフレクションは、悪かった点だけでなく、良かった点も含めた両方を総合的に評価するプロセスです。したがって、リフレクションは自己改善のためのより広い範囲の振り返りをおこなうという点で、反省とは異なるものです。

フィードバックとの違い

フィードバックとリフレクションはどちらも、行動に対する振り返りに関係していますが、主体が異なります。フィードバックは、相手の行動に対してアドバイスや評価をおこなって改善を促す行為であり、他者が主体となるものを指します。たとえば、上司や管理職からのフィードバックは、自分がどう見られているかを理解するための情報源になります。

一方、リフレクションは、自分自身が主体となって行動や経験を振り返るものを指します。自己認識を深めるために、自分の内面や経験を振り返る点で、フィードバックとは異なるアプローチを取ります。このように、リフレクションは自己主体的な振り返りであり、他者が主体となるフィードバックと異なります

リフレクションが注目される背景

手に持った仮想の電球と脳の描画
リフレクションが注目される背景には、急速に変化する現代社会の環境が関わっています。とくに、IT技術の進化や市場の急激な変化などにより、ビジネスや社会の状況は大きく変わり、企業は柔軟な対応が求められています。こうした状況では、迅速な意思決定が求められ、その判断力を高めるために日々の経験を振り返るリフレクションが重要視されているのです。

また、変化の多い現代社会において、これまで経験したことのない事象や課題が多くなり、新たな挑戦を求められる機会が増えています。それに伴って挑戦に失敗する状況も増えるでしょう。その失敗を学びとして活かすための手段としてもリフレクションは有効といえます。

失敗を単なるネガティブな経験としてではなく、成長の機会とすることで、個人の成長や組織全体の生産性の向上につながるため、リフレクションは現代のビジネスシーンで重要なスキルとして注目を集めています。

リフレクションを取り入れるメリット

オフィスでビジネスを議論するチームの様子
リフレクションを取り入れることでどのようなメリットがあるのか、以下で紹介します。

生産性が向上する

リフレクションを取り入れることで、従業員は自身の業務や行動を客観的に振り返るようになり、業務の改善ポイントを自ら見つけ出すことができるようになります。定期的にリフレクションをおこなうことで、従業員は自己成長を促進し、スキルアップや業務の効率化を進める習慣が身につくでしょう。

これにより、モチベーションの向上とともに、自発的な業務改善がおこなわれ、それが全体に波及できれば最終的には組織全体の生産性向上につながります。

リーダーシップ人材を育成できる

リフレクションを通じて、自らの行動や意思決定を振り返ることで、リーダーシップに必要な自己認識と意思決定力の向上につながります。リフレクションによる客観的な見方によって、現場全体を俯瞰する視点も養われるため、チームや組織全体を見渡して適切な指示やサポートができるようになるでしょう。

リフレクションをおこなう手順

ビジネスマンの手とステップ1から5の階段
リフレクションは大きく以下の5つのプロセスを通じておこなわれます。

1. リフレクションする出来事の選定

はじめに、リフレクションする対象の出来事を一つ選定します。ここでは、具体的な出来事を選ぶことが重要です。複数の出来事を同時に扱うのではなく、一つの出来事に集中することで、深く考察でき、より効果的な振り返りにつながります。

2. 出来事の分解

選定した出来事を複数のプロセスに分解します。これにより、単なる結果ではなく、各プロセスにおける影響や関係を明らかにし、具体的に学びを得やすくします。この段階では、できるだけ細かく分解することで、今後プロセスごとの似た状況に直面したときに、より適切に対処できるようになります。

3. プロセスごとの振り返り

出来事のプロセスごとに、なにができていたか、なにができなかったかを振り返ります。この段階では、単に失敗の原因を探るのではなく、成功や成長につながる要素を見つけることが重要です。
また、できなかったことについては他責にせず、自分の行動を客観的に評価し、今後の改善策を考えることが求められます。

4. 振り返りの共有とフィードバック

振り返りの内容を共有し、他者からのフィードバックを得ることも重要です。他者の視点や意見をもらうことで自分では見つけられなかった気づきを得られ、リフレクションの効果を高められます。

5. プロセスの再構築と今後の行動計画を立てて実行する

最後に、振り返りの結果をもとに、今後の行動計画を立てます。ここで重要なのは、単に計画を立てるだけでなく、次に同様の状況に直面したときに、どう対処すべきかを具体的に考えることです。
この再構築のプロセスが、リフレクションを実際の業務改善や自己成長につなげることができます。

立てた行動計画を実行し、その結果をもとにさらなるリフレクションをおこなうことで、自己成長の循環が形成されるでしょう。
 

リフレクションの実践手法

プレゼンを聞くビジネスマンの様子
リフレクションの実践手法を3つ紹介します。

経験学習

経験学習とは、アメリカの組織行動学者デイヴィッド・コルブが提唱した学習理論で、個人が実際の経験から学びを得て、その学びを日常の行動や仕事に活かすプロセスを指します。経験学習は「具体的な経験」「内省的な観察」「抽象的な概念化」「能動的な実践」の4段階で構成され、これらを循環させることで学び、自己理解を深め、新しい行動や思考を形成します。

リフレクションは、この「内省的な観察(自身の体験を客観的な視点から振り返り、観察することで気づきを得る)」の部分で役立ち、自分の行動や思考パターンに気づけ、自身の持つ価値観や信念などの理解につながります。

ダブルループ学習

ダブルループ学習は、アメリカ・ハーバード大学の名誉教授であるクリス・アージリスによって提唱された学習プロセスで、既存の枠組みや過去の成功体験に縛られず、新しい視点から問題に取り組めます。単に問題を解決するだけでなく、その背後にある前提や枠組みを見なおすことで、より根本的な解決策を導き出します。

リフレクションを通じて、既存の方法に対する批判的な視点を持ち、広い視野で考えることで、ダブルループ学習がより有効に機能するようになります。

ジョハリの窓

ジョハリの窓は、自己開示とそれに対する他者からのフィードバックによって、対人関係を向上させるための心理学モデルです。

自分について「自分が知っていること・知らないこと」「他人が知っていること・知らないこと」の2つの軸でマトリクスをつくり、4つの領域(解放の窓、盲点の窓、秘密の窓、未知の窓)にわけられます。とくに「解放の窓(自分も他者も知っている領域)」を拡大することが、他者とのコミュニケーションを円滑にするうえで重要です。

リフレクションを通じて、自分の行動や思考パターンに気づき、自己認識を深めることができます。また、他者からのフィードバックによって、他者が気づいている自分の側面を知り、他者認識とのギャップを埋める効果があるといえるでしょう。この2つのプロセスを通じて、自己開示が促進され、正しく自己を認識でき、より良好なコミュニケーションと人間関係の構築につながります。

リフレクションで継続的な自己成長を

仕事をしているビジネスマンの様子
リフレクションは、自己の行動や経験を振り返り、成長と学びを得るためのスキルです。良かった点と悪かった点の両方を総合的に振り返り、自己主導でおこなわれるため、客観的に自己評価をおこなうことができます。リフレクションを定期的におこなうことで、生産性向上やリーダーシップ育成につながり、変化の激しいビジネス環境において柔軟に対応する力を養うことが期待されます。

社員一人ひとりが身につけることによって、組織全体の生産性の向上にもつながるこの手法は、現代の働き方においてより必要なスキルとなっていくでしょう。

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