モチベーションとは?意味と上げる方法を具体的に解説

モチベーションはさまざまなシーンで使われる用語ですが、ビジネスの世界でも重要なキーワードとなります。従業員のモチベーションを上げるために、悩んでいる管理職も多いのではないでしょうか。モチベーションという言葉が持つ意味と社内の士気を上げるためのヒントをご紹介します。
モチベーションとは?
モチベーションの仕事における意味
モチベーションは「動機づけ」という意味合いで、人がなにか行動をする際の原動力となるものを指します。ビジネスシーンでは多くの場合、組織における従業員の仕事に対する意欲を表します。
たとえば、「先輩の励ましでモチベーションが上がった」「上司の小言でモチベーションが下がった」などといった使われ方をします。
モチベーションの種類
モチベーションは、報酬や昇格など外部からの刺激による「外発的動機付け」と興味や関心など自発的な要因による「内発的動機付け」の2つの要素で構成されるといわれています。
外的動機付け
「成果を出したらインセンティブがもらえる」「頑張ることで評価につながる」といった外発的動機付けは、一般的に受け入れやすく短期的に高い効果が見込めるものとなります。
一方で、動機付けされる個人が受動的になることから自主性を引き出しづらく、個人の持続的な成長・パフォーマンス向上にはつながりにくいといわれています。
内的動機付け
外内的動機付けとは反対に、内的動機付けは、個人の内側から湧き出てくる「楽しい」「好き」という感覚から自らの意思で仕事にのめり込み没頭します。創造性や自主性が求められる仕事のやりがいや、個人の持続的な成長につながりやすくなるでしょう。
モチベーションを理解するマズローの欲求5段階説
モチベーション理論は、これまで多くの研究者からさまざまな視点で発表されています。その中でもっともポピュラーなのはアメリカの心理学者、マズローが提唱する「欲求5段階説」。
企業が従業員のモチベーション向上のために策を施す場合も、広く参考にされています。
マズローの欲求5段階説
人間の欲求を5段階でピラミッドのようになぞらえ、人間は低次の欲求が満たされるに従い、それ以上の欲求がどんどん高まっていくという理論です。
階層は、本能的な低次の欲求から自己実現に繋がる高次の欲求まで5階層で構成されます。
第1階層:食べたい・寝たいなどの本能的な「生理的欲求」
第2階層:住む場所や健康を求める「安全欲求」
第3階層:集団に属することを求める「社会的欲求」
第4階層:他者から認められることを願う「承認欲求」
第5階層:自分の能力を生かした創造的活動を求める「自己実現欲求」

人間の欲求は、まず食事や睡眠など、衣食住に関わる「生理的欲求」と生活の安心・安全が保障されている「安全欲求」が満たされる必要があります。
その上で、仕事やさまざまな活動を通じて「社会的欲求」を満たすことになっていきます。しかし、高層階の「承認欲求」や「自己実現欲求」は、自分の仕事ぶりを通じてしか満たすことができないため、モチベーション低下の原因になりやすくなります。
モチベーションが下がる理由
前述の説明では、より高位の「承認欲求」「自己実現欲求」については、従業員のモチベーション低下の原因になりえると解説しました。
ではどのようなものが、モチベーションの低下につながるのでしょうか。代表的な例を見てみましょう。
個人に起因しやすい場合
■仕事にやりがいや自己成長を感じられない
■上司の評価に納得できない
■仕事の内容が自分に合っていない
■長時間労働が続いている
組織に起因しやすい場合
■経営方針に納得感が薄い
■人により目標設定に不公平感がある
■業務量や業務内容に変化が多い
■人間関係が悪い
■労働環境や業績が悪化している
■給与などの待遇が悪い
このように、ひとえにモチベーションの低下といっても、原因は「個人」に起因する場合と「組織」に起因する場合、
またはその両方が複雑に絡み合っている場合といったように様々です。
そのため、モチベーションの改善を図る場合には、本当の原因をしっかりと特定したうえで、対処する必要があります。
モチベーションを向上させるマネジメントの重要性
モチベーションにおけるマネジメントを適切に行うと、企業だけでなく、従業員にもたらされるメリットや効果も大きくなります。ビジネスにおけるそのためモチベーションの向上は、よりいっそう重要性が増しています。
企業メリット
■事業機会を得やすい
■離職率が低下し、採用コストが下がる
■他の従業員やチームのモチベーションも上がりやすい
■人材育成にかかる様々なコストの軽減に期待できる
■労働生産性が高まる
従業員メリット
■事業機会を得やすい
■離職率が低下し、採用コストが下がる
■他の従業員やチームのモチベーションも上がりやすい
■人材育成にかかる様々なコストの軽減に期待できる
■労働生産性が高まる
上記の通り、モチベーションの向上は従業員の会社に対する信頼感が強化や、仕事にやりがいにつながります。
その結果、自社の理念やビジョンの実現に貢献する姿勢も強まり、企業への貢献だけでなく従業員のキャリアにも好影響をもたらすでしょう。
モチベーションを上げる方法
それでは、従業員や組織のモチベーションを高めるためにはどうすればよいのでしょうか。取り組むべき8つの方法を人事部門、管理職など現場、また両方で行える施策としてご紹介します。
企業のビジョンや経営理念の浸透させる(人事部門・管理職共通)
従業員にとって、自分の業務が企業や社会に役に立っている実感は、労働意欲の向上につながります。
実現させたい企業のビジョンや経営理念を従業員と社内全体でも部署でも都度共有することにより、「自分の業務が企業のビジョンを支えている」と意識できる機会などを積極的に設けましょう。
人材配置を適切に行う(人事部門・管理職共通)
従業員の個性や能力を踏まえ、適切な人材配置は重要となります。納得度の高い人事が行われることで、従業員本人はもちろん、組織全体のモチベーション向上につながりやすくなります。
そのために、従業員一人ひとりの個性や能力をさまざまな面から理解することが求められます。
人事評価制度を見直す(人事部門)
従業員にとって、自分の頑張りがしっかり評価されれば、モチベーションが上がりやすくなります。そのために納得できる透明性のある評価制度を取り入れられることは大切です。
自身の評価基準が明確になれば、向上意欲が湧きやすくなるでしょう。
ただし、業務や難易度によっては、結果が出ない場合も考えられます。業務に臨む姿勢や業務への貢献度を評価することにも配慮しましょう。
職場環境を整える(人事部門)
オフィスの設備など物理的な労働環境だけでなく、人間関係や労働条件までストレスがない労働環境を目指しましょう。
たとえば、レイアウト変更などのちょっとした工夫、フレックス制度の導入など、ワークライフバランスへの配慮が挙げられます。従業員の健康と安全が守られれば、モチベーション向上につながります。
社内表彰制度を設ける(人事部門)
頑張っている従業員を褒めることはモチベーションの大きな向上となります。従業員にとっては分かりやすく努力を認められるので、業務に励む意欲が湧くものです。
ただし、企業の理念や運営方針に基づいた基準に沿って正当な評価をすることが必要となります。一貫した基準があれば、従業員一人ひとりが、明確な目標をもって仕事に取り組むことができます。
目標設定を適切に行う(管理職)
目標や実現確度が高すぎても、達成に向けた頑張りへのモチベーションが上がりにくくなります。そのため、少し難易度高めに目標となる「ストレッチ目標」を設置することが大切です。
モチベーションの向上だけでなく、従業員の成長や満足感にもつながってきます。
チャレンジする機会を与える(管理職)
新しい業務を任せてもらえるなど、未経験でもチャレンジする機会を与えられることで、内発的動機づけされるとモチベーションは大きく向上しやすくなります。
やりがいや達成感だけではなく、従業員の自主性が育ちます。失敗したとしても、従業員の成長につながるような機会を積極的に与えることが重要となります。
モチベーションの向上に取り組む企業の事例
従業員のモチベーションが向上した企業はどんな取り組みをしているのでしょうか。
ここでは、従業員の意見を反映して取り入れた施策が良い影響につながっているという導入事例を取り上げ、注目のポイントをご紹介します。
企業事例1:A社(業種:情報・通信業)
クラウドネットワークの業務改善サービスを展開するA社では、多様な個性、多様な価値観という観点から多様な働き方を実現できるような積極的な取り組みを行っています。
■注目ポイント
働き方の多様性として、「働き方マッチング」は個人の価値観やライフスタイルにあわせて、メンバーは勤務時間や場所の希望を伝えられるようになっています。
また、キャリア・学びの多様性として、「大人の体験入部」は、キャリアの検討や現在の業務へ活かすことを目的に、他部門に一時的に兼務・異動ができる制度も利用できます。
企業事例2:B社(業種:飲料関連業)
茶製品を主力とした清涼飲料水メーカーであるB社は、最も大切な財産は「人」であるという考え方に基づき、人材の育成・拡充に最も力を入れています。
多様な個性、多様な価値観という観点から多様な働き方を実現できるように積極的な取り組みを行っています。
■注目ポイント
1989年に自己啓発を目的とした社内研修制度が創設されました。営業、財務、マーケティング、組織などのカリキュラムから社員が学びたい内容を選び、 知識の習得を目指して1年間取り組めます。
また、さらに自己啓発に取り組みたい社員は、より高度な学習と経営感覚を身に付けられるような学びの機会も用意されています。
企業事例3:C社(業種:情報・通信業)
フリマアプリを運営しているC社では、女性のキャリア開発や女性のエンパワーメントに積極的な取り組みを進めています。
■注目ポイント
女性社員の活躍を支援する制度として、「産休・育休および介護休暇中の100%給与保障」「病児保育費の支援」「認可外保育園補助」など、幅広いサポート体制が整っています。
改めて問い直す、モチベーションの在り方
仕事においてのモチベーションでは、報酬や昇格という外発的要素も自発的に取り組む内発的要素もどちらも重要です。
「従業員は上司や組織になにを求めているのか?」「従業員はどんなことを実現したいと考えているのか?」など一人ひとりの興味関心や欲求に寄り添い、組織の状況に合わせた施策を強化することで、従業員のモチベーション向上、ひいては組織全体の生産性向上につながると考えられます。
また、モチベーションの向上への企業の取り組みは、短期的にも長期的にも重視すべきでしょう。

















