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アクティブラーニングを企業の人材育成に役立てるメリットは?実施時の注意点も解説

2022年10月11日更新

企業における人材育成にはさまざまな方法がありますが、社員の成長を促すには能動的に研修へ参加してもらうことが重要です。しかし、具体的にどのような研修を設計すればよいのかわからないという人事担当者も多いのではないでしょうか。

本記事では、能動的な学習を促すように設計された手法である「アクティブラーニング」について紹介するとともに、企業が研修へどのようにアクティブラーニングを取り入れればよいか、メリットや注意点とともに詳しく解説します。

目次 【表示】

アクティブラーニングとは

アクティブ(active)とは日本語で「積極的」、「能動的」といった意味を指す言葉です。そして、アクティブラーニングとは学習者が積極的かつ能動的に学べるように設計された学習手法を指します。

アクティブラーニングの歴史

アクティブラーニングは、米国の高等教育のなかで1980年代に提唱されました。日本では、文部科学省が主導し2012年頃から教育現場へのアクティブラーニングの導入を推進してきました。

文部科学省では、教育現場におけるアクティブラーニングを「学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称」と定義し、教員による一方向的な講義形式などの受動的な授業からの移行を推進しています。

企業がアクティブラーニングを実施する理由・背景

アクティブラーニングは教育現場だけでなく、企業が研修に取り入れるケースも少なくありません。

現在はVUCA時代とよばれ、未来の予測が困難な社会です。変化の激しい環境で企業が生き残っていくためには、主体性をもち課題解決力に優れた社員が求められます。

具体的には、上司などからの指示をただこなすだけではなく、自ら課題を発見し、解決策を考える姿勢が社員一人ひとりに求められるということです。

アクティブラーニングに取り組むことは、課題を見つけるトレーニングになり、課題解決力や発想力、主体性、協調性などの向上も期待されます。

アクションラーニングとの違い

「アクティブラーニング」と「アクションラーニング」は名前が似ているため混同されやすいですが、異なる学習手法です。

アクションラーニングとは、現実に起きている問題をグループでテーマとして取りあげるという前提のもと、解決策を考えて実行し、振り返りを行う学習方法です。

これに対し、アクティブラーニングは能動的な学習を促す手法の総称であり、アクションラーニングのように前提や方法が決まっているわけではありません。

アクティブラーニングの代表的な例

アクティブラーニングの意味をより深く理解するために、代表的な例を紹介しましょう。

学校の授業や企業の集合研修でおこなわれる座学とは異なり、ディスカッションやグループワーク、現場に赴き実体験をするフィールドワークや実習などがアクティブラーニングの代表的な例として挙げられます。

また、ハーバード・ビジネス・スクールで生まれた「ケースメソッド」という手法も代表的です。これは、現実の経営事例を教材にして、自分たちで問題の把握・分析と議論を行いながら、現実のビジネスと同じような状況下で意思決定をおこなっていくなかで、経営スキルを習得していく手法です。

アクティブラーニングを人材育成に役立てるメリット

人材育成の一環として研修にアクティブラーニングを取り入れることには、どのようなメリットがあるのでしょうか。

研修で学んだ内容を業務に生かしやすくなる

座学中心の研修は、講師が説明する内容を実際の現場で活用するイメージを自分自身で考えなければならないため、内容に対して根本的な理解が難しいケースもあります。

アクティブラーニングのメリットのひとつとして、現場での実体験を通じて学ぶことで体系的に仕事内容を理解できるようになり、学んだ内容を業務に生かしやすくなることが挙げられます。

また、アクティブラーニングで社員が能動的に経験を積むことで、臨機応変な対応に強くなるメリットもあります。

協調性・主体性が身につく

アクティブラーニングでディスカッションやグループワークなどを実施するとき、さまざまなメンバーがいるなかでもスムーズに進行していかなければなりません。お互いの意見に耳を傾けながら協力し合うことで、協調性が身につくでしょう。

さらに、アクティブラーニングを通してグループのなかでの自分の役割を考えられるようになり、主体性も身につけられることが期待できます。

課題解決力や発想力の向上につながる

アクティブラーニングは単に知識を覚える研修ではなく、研修のなかで得た知識を組み合わせながらどのように実践に生かしていくかを考える場でもあります。

さまざまな角度から考察したり試行錯誤を繰り返したりするなかで、課題解決に役立つ新たなアイデアの着想につながることもあるでしょう。その結果、課題解決力や発想力の向上が期待できます。

アクティブラーニングを実施するうえでの注意点と対策

アクティブラーニングでより高い効果を得るためには、どのようなポイントを押さえておくべきなのでしょうか。実施するうえで注意しておきたい点を紹介します。

研修の目的を明確に説明し、受講者のモチベーション低下を防ぐ

受講者のなかには、能動的に学習するアクティブラーニングに苦手意識がありモチベーションが上がらないケースもあります。

複数人で取り組むアクティブラーニングでは、ひとりでもモチベーションの低い受講者がいると、ディスカッションやグループワークに影響を与えることもあります。

そのような場合にも、なぜアクティブラーニングを実施するのか、その目的や理由を明確に説明し、あらかじめゴールを示すことで前向きに参加してもらうことができるでしょう。

講師が研修内容に応じたスキルを保有していることが求められる

アクティブラーニングでは講師が受講者に対して答えを教える形式とは異なり、受講者が自ら課題を認識し解決できるよう促す必要があります。

そのため、社内でアクティブラーニングの講師をたてる場合、講師にはコーチングやファシリテーションといった研修内容に応じたスキルが求められます。

これらを習得するために、講師はあらかじめ、コーチング研修やファシリテーション研修などを受講しておいたほうがよいケースもあるでしょう。

すべての受講者が能動的に学習できるよう配慮する

アクティブラーニングを実施したからといって、すべての受講者が能動的に学習できるとは限りません。

たとえば、傾聴力に秀でている受講者は、ディスカッションで出された意見をまとめることに特化し、自分の意見を発することが少ない場合があります。

このような偏りを生じさせないよう、講師は受講者一人ひとりの言動を注意深く観察し、発言が少ない人に対しては意見を求めるなど、全員が能動的に学習できるような配慮が求められます。

人材育成にアクティブラーニングを取り入れよう

アクティブラーニングでは、能動的に学ぶことで学習内容が定着しやすくなり、業務にも生かしやすくなります。また、アクティブラーニングを人材育成に取り入れることにより、課題解決力、発想力などの向上のほか、主体性・協調性の定着にもつながるでしょう。

一方、アクティブラーニングは、ディスカッションやフィールドワークといった多様な方法が用いられるため、実施前には研修の内容に応じて講師のスキルアップが必要になるケースもあります。さらに、受講者が能動的に研修へ取り組めるよう配慮しながら、研修の目的を説明したうえでモチベーションを維持することも重要です。

主体性をもち課題解決力に優れた社員を育成するためにも、人材育成の手段としてアクティブラーニングを取り入れてみてはいかがでしょうか。

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