キャリアパスの意味や重要性と達成のためのポイントを解説
キャリアパスとは、主に社内での目標への道筋を指します。キャリアパスの設定や実現への取り組みは、人材育成や事業業績にも影響するため、従業員と企業側の双方にとって重要です。本記事ではキャリアパスの意味や重要性、推進する方法を解説します。また、従業員が自身のキャリアパスを実現する方法や、人事担当者や管理職が従業員のキャリアパス実現をサポートする方法も紹介します。
キャリアパスとは?
キャリアパスの定義をより詳しく紹介したうえで、キャリアプランやキャリアデザインといった関連用語との違いを解説します。
キャリアパスの意味
キャリアパスとは、社内での目標を達成するまでの道筋を指します。キャリアパス(Career Path)という用語は、「職歴」を指す「キャリア」と、「道」を意味する「パス」が融合した言葉です。つまり、「プロジェクトリーダーを任せられるようになりたい」「3年後までに課長に昇進したい」といった従業員の社内での目標に到達するためのルートを意味します。
キャリアプラン・キャリアデザインとの違い
キャリアプランとは、今後の働き方や理想像といった目標を設定し、その目標を達成するために計画を立てることや、計画そのものを指します。キャリアプランは主に目標の達成方法や手順といった方法を指すのに対して、キャリアパスは方法論ではなく道筋を指す点が違いです。
キャリアデザインとは、仕事や人生全体を俯瞰して、自分の理想像を設定し、その理想像を実現するためのプロセスを設計することを指します。キャリアデザインはキャリアを広く捉えるのに対して、キャリアパスは現在の会社組織での目標に絞っている点が相違点です。
キャリアパスの重要性
キャリアパスの設定や実現への取り組みは、自身のスキルアップひいては会社の業績に影響し、従業員本人・人事担当者・管理職の双方にとって重要です。ここではキャリアパスが重要な理由について、従業員の目的意識の明確化、人材育成、企業の成長という3つのポイントから解説します。
従業員の目的意識の明確化
キャリアパスを設定することで目的が明確化し、従業員が「あるべき姿」を自覚できるという効果があります。従業員が理想の姿を自覚すれば、モチベーションの強化にも繋がり、主体的な思考や行動を促進する作用も期待できるでしょう。
人材育成の推進
キャリアパスを設定し、従業員の目的意識が明確化することで、目的を達成するために成長しようという意欲が高まる効果が期待できます。従業員の意欲を引き出せれば、教育プログラムや研修への参加意欲も高まり、教育効果の向上にもつながるでしょう。人事担当者や管理職は、より能力が高く多くの成果を挙げられる人材を育成しやすくなります。
企業の持続的な成長
キャリアパスの設定や実現を促すと、意欲的で優秀な従業員が育つことで、企業の持続的な発展にも繋がります。事業を成長させ業績を伸ばすには、主体的で能力のある人材が不可欠です。
キャリアパスの構築方法
キャリアパスを設定する際は、まず従業員の理想像やゴールをイメージさせる必要があります。この時、先輩や上司などを参考にロールモデルを用いることも有効です。
次に、従業員が歩んできたキャリアや、現在の知識やスキルを踏まえて、目標を達成するためにしなければならないことを整理させます。必要に応じて、人事担当者や管理職も介入し、フィードバックや助言をすることも効果的です。
キャリアパスの描き方としては、上記の目標、現状、達成方法のポイントをもとに、「現状は現場のリーダークラスだが、マネジメントスキルを獲得して3年以内に管理職になる」といった時間軸も盛り込むことで、現実的なイメージに落とし込みやすくなります。
従業員がキャリアパスを実現するためのポイント
従業員がキャリアパスを実現するには、いくつか従業員本人が意識すべきポイントがあります。ここでは、とくに重要な、主体性な行動、スキルの獲得、継続的なPDCAについて解説します。
主体的に行動する
まず従業員が自分で設定したキャリアパスに対して、「実現可能にする」という自覚を持ち、主体的に取り組むことが大切です。
キャリアパスは、設定した本人が決めた目標であり、組織や上司が後押ししても、本人の意欲が欠けていれば達成は難しい可能性があります。
キャリアパスの達成は従業員自身の意欲にかかっており、本人の主体的な行動が欠かせません。取り組むきっかけは「上司に促されたから」という受け身の理由であったとしても、取り組むときは従業員本人が目的意識や責任感を持つ必要があります。
必要なスキルを獲得する
キャリアパスの実現に向けて、従業員自身が必要なスキルや知識を獲得することも不可欠です。キャリアパスの目標は、より高水準のスキルや役職を設定するものなので、現在よりも能力を磨く必要があります。
なお、目標とするゴールによって蓄積しておくべきスキルや知識、必要とする経験は異なります。そのため、キャリアパスを達成する際は、どのような知識やスキル、経験が必要なのかを整理したうえで、計画的に成長していくことが大切です。
PDCAを繰り返す
計画、実行、検証、改善のいわゆるPDCAサイクルを繰り返すことも重要です。
キャリアパスは、1年や2年程度の短期的な目標と、5年や10年といった中長期的な目標によって構成されています。そのため、短期的な目標を達成したからといって成功と捉えるのではなく、むしろ実行後に振り返るというプロセスを繰り返すことを重視しなければなりません。
従業員がこのようなPDCAサイクルを繰り返すことで、継続的に成長し、キャリアパスの実現に繋がります。
従業員のキャリアパス達成をサポートする方法
キャリアパスの実現には、従業員本人が努力すると同時に、管理職や人事担当者が従業員をサポートすることも重要です。ここでは、管理職や人事担当者が従業員のキャリアパスの達成を後押しする方法について紹介します。
コミュニケーションの質を高める
従業員のキャリアパスを達成させるには、周囲が質の高いコミュニケーションを取るように努める必要があります。
仕事においては、人間関係に関する問題やスキル・経験不足など、さまざまな課題に直面するものです。
そこで、上司や人事担当者が定期的にミーティングの機会を設けるなどして状況を深くヒアリングするようにすると、課題を共有して対策も打ちやすくなることで、仕事の課題解決やキャリアパス実現への取り組みがスムーズになります。また、知見や経験が豊富な上司や人事担当者がフィードバックや心理的なケアもおこなうことで、キャリアパス実現の支えになるでしょう。
教育・研修体制を拡充する
教育体制を整えたり、研修を充実させたりすることも効果的です。
キャリアの目標を実現するには、スキル、知識、メンタリティを習得する必要があります。従業員が個人的に習得できるものもありますが、従業員に任せると習得が困難なものもあるでしょう。
そこで、メンターの配置や研修プログラムの拡充など、従業員の能力を伸ばす施策をおこなうことで、キャリアパスの実現を後押しできます。
マネジメント手法を見直す
マネジメントの手法を自社の状況に合うように見直すことも重要です。
従業員が描いているキャリアパスを実現するために従業員が必要としているサポートと、会社組織のマネジメント手法が一致していれば、キャリアパスの実現を後押ししやすい状況だといえます。ただし、常に従業員のニーズとマネジメント手法が一致しているとは限りません。
そこで、定期的に状況に沿うようにマネジメント手法を見直すことで、効果の高いマネジメントを展開できるようになり、従業員のキャリアパス達成を効果的にサポートできます。
まとめ
キャリアパスを設定し、実現に向けて取り組むことは、スキルアップや事業業績にも関わるため、従業員と企業側の双方にとって重要です。人事担当者や管理職は、自社に合う形で、従業員にキャリアパスを設定させ実現を後押しする環境の整備に取り組んでみてはいかがでしょうか。