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キャリアデザインとはなにか?企業にとって重要な理由

2023年11月22日更新

社会の目まぐるしい変化により、自身のキャリアについて真剣に向き合う労働者が増えています。社内での昇進や、目標とするポジションに就くためには「キャリアパス」を考えることが多いですが、さらに広い視野で自分のキャリアを俯瞰する「キャリアデザイン」という考え方も注目されています。今回は、キャリアデザインとはどのような考え方なのか、従業員はもちろん企業にとっても重要とされる理由について解説します。

目次 【表示】

キャリアデザインとは?

まずは「キャリアデザイン」とはなにか、その基本について解説します。

将来のビジョンを明確化し行動に移すこと

キャリアデザインとは、自分自身が将来どのような仕事・働き方をしたいのか、ビジョンを明確にしたうえで行動に移すことです。会社や上司によってキャリアや働き方を決定されるのではなく、あくまでも自分自身が主体となって自律的に考え、キャリアを構築する意味で使われます。

キャリアデザインが注目されるようになった背景には、終身雇用を前提とした年功序列制度が当たり前ではなくなってきたこと、成果型の評価制度にシフトしてきたことが大きく影響しています。また、これに加えてジョブ型の雇用システムを採用する企業も増え、勤続年数よりもその人がもっているスキルや仕事の成果がより重視される仕組みに移行したことで、キャリアデザインが注目されるようになりました。

キャリアパスとの違い

キャリアデザインと混同されがちな言葉として「キャリアパス」がありますが、両者の意味はまったく異なります。

キャリアパスとは、主に社内での昇進や目標を指す言葉として使われます。たとえば「3年以内に係長に昇進する」「企画開発部門でプロダクト開発に携わる」など、キャリアパスの範囲はあくまでも社内や組織内に限定されます。

一方キャリアデザインは、社内に限定せず、自分自身が最終的にどうなりたいかを明確にします。たとえば「今の会社で実務的なスキルや知識を身につけ、将来はさらに大きな仕事にチャレンジできる会社に転身する」といったことも、キャリアデザインのひとつの考え方といえるでしょう。

企業にとってキャリアデザインが必要な理由

終身雇用を前提とした年功序列制度から成果主義制度へと移行を検討する企業があるなかで、漫然と同じ会社で働き続けていればエスカレーター式に昇進・昇給していくことは難しくなりました。大企業の社長が「終身雇用の維持は不可能」と公言したことが話題になったように新卒で入社し、定年まで同じ会社で働き続けることは一般的ではなくなっていくことでしょう。

そのような時代において、「キャリアデザインは従業員個人が考えるべきこと」として捉えられがちですが、実は企業から見ても、従業員のキャリアデザインを理解することは非常に重要です。

人材力の強化

キャリアデザインがしっかりと描かれている従業員は、会社での働きや自分に課されたミッションを正しく理解し、高い成果をあげることが多く、会社にとっても人材価値の高い存在となる傾向にあります。

今後、経済のグローバル化、AIによる業務効率化によって、企業の競争力がよりいっそう求められる時代になると考えられます。そのような時代において、人材力の向上は、企業の競争力にも直結する重要課題なのです。

多様な人材の確保につながる

「従業員自身がさまざまなキャリアデザインを意識することによって、自社から人材が離れていくのではないか」と危惧されることもあります。しかし、広い視野でキャリアデザインを意識したときに、従業員が「今の働き方のほうが自分に合っている」と見つめなおす機会になることもあります。

また、仮に自社を離れてステップアップしていく人材が現れたとしても、自社とのつながりで取引することも考えられるでしょう。このように、社内の人材だけではなく、社外も含めて多様なコネクションの確保につながる可能性もあるのです。

行動が具体化され社員のモチベーションが高まる

キャリアデザインを構築していくと、ゴールに向かってどのような行動をとればよいかが見えてきます。自らが定めた目標に向かって、さまざまなスキルや能力を身につけるために行動を具体化していくと、ゴールまでの距離が近付いていく実感を得ることができ、モチベーションの向上につながります。

またモチベーションが向上することで、主体性のある従業員が増え「指示されたからやる」という受け身の姿勢を変革する契機にもなります。

キャリアデザインの構築方法

キャリアデザインを構築するための有効なツールとして、キャリアデザインシートがあります。キャリアデザインシートとは、目標とするキャリアのために必要なスキルを表などで可視化し、計画的に実現していくためのツールです。キャリアデザインシートを活用することで、従業員のキャリアデザイン構築を支援できます。

では、具体的にどのような手順でキャリアデザインを構築するのか、それぞれのステップに分けて解説します。

1.自身の現状を把握する

まずは、従業員自身がもっている資格やスキル、これまでの経験などを洗い出します。得意なことばかりではなく、苦手とすることも挙げてみましょう。自分では苦手だと感じていても、実は適性が認められるケースもあります。適性検査などを受け、客観的に自分を見つめ直してみることも有効です。

2.将来やってみたい仕事・なりたい姿を描く

次に、興味のあることや自分が得意なことを生かし、将来やってみたい仕事をピックアップします。具体的な仕事内容だけではなく、「こうなりたい」「こんなポジションを目指したい」という希望でも構いません。

具体的な仕事内容が思い浮かばない、やりたいことが見つからない場合でも、理想的な暮らし方や人生の送り方を想像してみることで具体化できる場合があります。たとえば「満員電車から解放され通勤ストレスのない生活を送りたい」という理想でもよいでしょう。すると、「テレワークに対応した職種へのキャリアチェンジ」という目標が見えてきます。

3.将来と現在とのギャップを知り、必要な行動をとる

理想やなりたい姿を思い描いたうえで現状と照らし合わせたとき、解決すべき課題が見えてきます。たとえば「テレワークに対応した仕事」の代表例としては、一部のITエンジニアやバックオフィス業務などが挙げられます。ITエンジニアを目指すのであれば、プログラミングなど専門性の高いスキルや実務経験が要求されるでしょう。また、バックオフィス業務も経理や人事部門での実務経験が重視されます。

このような業務に従事するために、「資格を取得して異動希望を出す」などの具体的な行動が第一歩として考えられます。

企業ができる支援とは?

キャリアデザインシートの活用だけではなく、企業がキャリアカウンセリングや研修を提供することも、従業員のキャリアデザイン意識を高めるためには有効です。

また、目標とするキャリアに向けて必要な行動をとるために、資格手当や受験費用の補助といったスキルアップ支援の制度を拡充することも、企業ができる有効な支援といえるでしょう。

キャリアデザインで企業の人材力を強化しよう

社内での昇進だけにとどまらず、広い視野でキャリアそのものを考えるのがキャリアデザインです。自分自身のビジョンを明確にして行動に移すキャリアデザインは、今後多くの従業員にとって重要な考え方となり、結果として企業の人材力強化にもつながります。

キャリアデザインによって人材力を強化することは、企業の生産性や競争力にも関わる重要な課題でもあるのです。

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