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オンボーディングとは?新入社員の早期戦力化と離職防止へ

2022年10月31日更新

近年、オンボーディングと呼ばれる育成手法が注目されています。新入社員がつまづくことなく成長できるように組織的にサポートしていく仕組みのことです。新卒の就職後3年以内の離職率が3割を超えるという現代社会で、オンボーディングは早期戦力化と離職防止に効果があるとされています。導入する企業も増加しているオンボーディングの目的や進め方、メリットなどを解説します。

目次 【表示】

オンボーディングの目的とは?

企業がオンボーディングを導入する目的として、主に新入社員の早期戦力化と人材定着という2つが挙げられます。

新入社員を早期に戦力化する

初めてものごとに関わる人が習慣性を持つまでの期間を援助する、というのがオンボーディングの考え方。ビジネスシーンにおけるオンボーディングは、新入社員が一日も早く仕事や環境になじむための育成プログラムを指します。企業の人材育成にとって新人の早期戦力化はなによりの目標でしょう。新入社員が仕事の進め方や知識を早期に身につけ、企業のルールや文化を理解するための施策として、オンボーディングを導入する企業は近年増加傾向にあります。

人材定着にも効果的

オンボーディングの2つ目の目的は人材の定着です。厚生労働省が2019年10月に発表した2016年3月卒業者の離職状況(※1)によると、高卒就職者の約4割、大卒就職者の約3割は3年以内に離職。少子高齢化で人材不足も叫ばれる中、企業は新規採用者をつなぎとめるために、受け入れ体制を見なおす必要が出てきました。

新入社員は「この会社で自分はやっていけるのか」などと不安を抱えているもの。適切な育成プログラムで一日も早く会社になじみ「自分の居場所」を確保できれば、育つ前に辞める、といったことも少なくなるでしょう。離職を防ぎ人材定着に効果が見込めるのもオンボーディングなのです。

オンボーディングの取り組み方は?

オンボーディングは具体的にはなにをするのか。プランニングの方法や具体例の一部を紹介します。どのようなオンボーディングが適切か、企業によって最適なプログラムを導入しましょう。

プログラムは長期的スパンで作成

新入社員の教育は現場頼みというスタンスの企業もあるようですが、一日も早く戦力となってもらうには、しっかりとした教育プログラムに沿って、知識やスキル習得を目指していくのが効率的でしょう。新入社員が活躍する姿を想定して、必要なスキルが習得できるプログラムを組みます。仕事のスキルはもちろん、マナーや意識の部分も新入社員が過不足なく身に付けられるメニューを考えていきます。また新入社員の性格なども踏まえ、個別のメニューを用意するものよいでしょう。

プログラムは入社後1年程度をメドとするなど長期的スパンで作成するのが一般的。入社当日、1週間、1カ月などといった単位で実施する内容と達成目標を決め、新入社員が段階を踏みながら確実に成長できる体制を整えます。

OJTや外部研修受講で成長をうながす

新入社員が早く仕事に慣れるためのオンボーディングとしては、育成計画に沿って先輩社員が新入社員を実務の場で指導するOJTが広く取り入れられています。また、社会人としての基礎スキルや意識付けには、外部研修を利用するのも手段の一つ。ビジネスマナーや、PDCAの習慣付けなど、経験豊富な研修会社にサポートしてもらいながら、自社の育成プログラムと合わせて成長をうながすのも有効かもしれません。

良好な人間関係で仕事への意欲を高める

新入社員が入社後、すぐに会社になじめるように、人間関係が気楽な雰囲気で築けるような環境を整えるのも重要。主な例としては歓迎会や同期会の開催、上司による定期的な面談などが挙げられます。新入社員にとっては、ささいな疑問や不安を気軽に相談できるような相手がいれば、安心感を持って仕事の意欲を高めることにつながるはず。仕事の教育係とは別のメンターを新入社員に付けて、不安解消のサポートをしている企業も多いようです。

オンボーディングのメリット

オンボーディングの導入は企業、新入社員の双方にとってたくさんのメリットがあります。考えられるものを列挙していきます。

一人ひとりの戦力化が短くなる

オンボーディングで適切な育成プログラムを組めば、新入社員は効率的に仕事を習得することができるでしょう。また先輩社員と早期に人間関係を築ければ、気軽に質問もしやすいでしょうし、仕事を覚える過程でわからないことが発生しても、解決するスピードは早いはず。新入社員一人ひとりの戦力化への期間も必然的に短くなるでしょう。

エンゲージメントが高まる

オンボーディングの活用で、新入社員の入社後の明確な道筋が示されていれば、新入社員は会社から寄せられる期待を実感できます。入社直後から組織の一員として認められ、その環境の中で仕事の習熟度を早めていけば、組織に貢献し、仕事へ打ち込むといったエンゲージメントも高まっていくはずです。

組織の結束が強まり業績が向上する

オンボーディングは教育係と新人、といったような当事者任せの育成方法とは違います。新入社員と会社が調和するように企業内の多くの社員が関わるので、既存社員同士の調和や結束力アップにつながる機会も増えていきます。オンボーディングは新入社員の効果的な育成だけではなく、既存社員同士の連携にも効果を発揮し、会社の業績向上へ貢献する可能性が大いにあるのです。

人材定着で採用コストも削減

離職を減らすことが期待できるオンボーディングを導入し、人材定着を進めることができれば、それだけ採用に関するコストは削減できることになります。その分は企業への再投資、雇用者の賃金アップに回すことが可能になるので、組織はますます活性化するはずです。

オンボーディングを成功させるには

オンボーディングの成功には会社の課題を把握し、全従業員に協力を仰ぐ必要があります。

全従業員に理解を

新規採用者に手厚いプランを用意しても、迎える側にその準備が整っていなければ、オンボーディングは機能しません。既存社員がオンボーディングの重要性を認識して連携、協力しないと、新入社員は戸惑ってしまい、逆に疎外感をおぼえる原因に。会社がオンボーディングを導入する際には、その必要性を全社員に理解してもらい、一人ひとりが関わり方や役割を確認しておくのが大切です。

組織の課題を明確にする

オンボーディングのプログラムを作る際は、組織課題を明確にし課題を解決するためのプログラムも取り入れていくのがよいでしょう。たとえば社風が合わないという理由で離職者が続いてれば、社長や経営陣が会社の歴史や事業を説明したり、社員同士の交流会などに多くの時間を割くのも、オンボーディングの有効性を高めていくでしょう。

オンボーディングは企業に必要な施策

オンボーディングは新入社員のためだけではなく、企業全体で新人をフォローしていくことにより、組織に一体感が生まれ、生産性がアップする期待が持てます。自社の課題に即した適切な育成プログラムを組み立てていけば、企業に多大な利益をもたらしてくれるはずです。

※1 厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況(平成28年3月卒業者の状況)

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