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リアリティショックが発生する原因とは?企業にとって有効な対策の一例も紹介

2023年03月01日更新

就職や転職、人事異動などをきっかけに、新たな環境のなかで仕事を始めるとき、期待に胸を膨らませ前向きな気持ちを抱くものです。しかし、実際に仕事へ取り組んでみると、必ずしも自分がイメージしていた通りとは限らず、理想と現実とのギャップに悩むこともあるでしょう。

このような状態を「リアリティショック」とよび、十分な対策を講じていないと、企業にもさまざまな影響が及ぶリスクがあるのです。本記事では、リアリティショックが発生する原因や企業が講じるべき対策の一例を紹介します。

目次 【表示】

リアリティショックとは

リアリティショックとは、企業に採用された社員や新しい部署へ異動した社員などが、新しい環境に対してイメージしていた理想と現実にギャップがあったとき、戸惑いや将来に対する不安、ショックを感じることを意味する言葉です。米国の組織心理学者E.C.ヒューズによって1958年に提唱されました。

リアリティショックが発生した社員は仕事へのモチベーションが低下し、早期離職に至ることもあります。

なお、新しい部署へ異動した社員には、ベテラン社員や休職から復帰した社員も含まれ、様々な社員がリアリティショックを感じることがあるとされています。

リアリティショックが発生しやすいタイミングと原因

リアリティショックが起こるのは、対人関係や業務内容などに関して、もともと抱いていた理想と現実にギャップがあることが最大の原因といえます。

では、どのようなタイミングでリアリティショックは発生しやすいのか、それぞれのタイミングに応じた原因とあわせて解説しましょう。

新入社員として採用された後の仕事に対するギャップ

社会人経験のない学生にとって、採用が決定して入社するまでの間は期待に胸を膨らませ、充実した社会人生活を想像することが多いものです。

しかし、実際に入社し仕事を始めてみると、自分の思うようにいかないことが多くギャップを感じ、悩むこともあるでしょう。また、やりがいのある仕事を任されると思っていたのに、雑務が中心であったなど、業務内容に関するギャップもあります。

異動・昇進・転職にともなう仕事内容の変化

人事異動によって配属先が変更されたり、昇進や転職によって従来の仕事内容や役割が変わったりすることがあります。

そのような環境の変化が起きると、これまで培ってきた自分自身の能力や強みが思うように発揮できなくなり、リアリティショックが発生しやすくなります。

休職からの復帰にともなう役割の変化

病気やケガの治療にともなう休職や育児休業など、長期間にわたって会社を不在にしていた後に復職する場合、以前の役割やポジションが変更されることもあります。

また、以前と役割やポジションが変わっていなかったとしても、組織のメンバーや環境そのものが変化していることもあるでしょう。

生活リズムや仕事の勘を取り戻さなければならないタイミングで、仕事内容や役割、人間関係までもが大きく変わってしまうと、新しい環境に慣れるために時間を要し、休職以前と同じように業務が進められずリアリティショックが発生しやすくなります。

リアリティショックがもたらす企業への影響

上記のような理由からリアリティショックを感じる社員が増えた場合、企業にとってどのような影響があるのでしょうか。

退職者の増加

リアリティショックによって仕事に対するモチベーションが低下すると、「自分はこの仕事に向いていないのではないか」、「もっと自分に合っている仕事があるのではないか」などと考えるようになり、より自分が活躍できる環境を求め転職を考えるケースもあります。

また、このような社員が抱える不安や戸惑いに対して、経営層や管理職が耳を傾ける姿勢が見られないと、企業に対する信頼性が低下し、不満を抱えたまま退職に至ってしまう可能性もあります。

生産性の低下

リアリティショックによって社員のモチベーションが低下してしまうと、注意力や集中力にも影響が出て、生産性の低下や、仕事におけるミスや事故なども発生しやすくなるでしょう。その結果、ほかの社員がミスをフォローしなければならなくなり、業務の進行に影響が及ぶこともあります。

このようなネガティブな状態が続くと、周囲の社員のモチベーションにも影響し、チーム全体、ひいては組織全体の生産性を低下させるという悪循環に陥るリスクがあります。

組織への信頼感の低下

リアリティショックが起こると、組織コミットメントが低下する傾向が見られます。組織コミットメントとは組織に対する帰属意識のことを指し、これが低下することで組織そのものに対する信頼感も崩れていくことが懸念されます。

また、リアリティショックは組織コミットメントだけでなく、上司に対する信頼感の低下にも影響を及ぼします。上司に対する信頼感が低下すると、上司からの業務におけるフィードバックや評価への納得感が下がるばかりか、上司と部下との連携がうまくいかず、組織内のチームワークが崩れていくリスクもあるのです。

リアリティショックへの対策方法

企業にとってもさまざまな影響が考えられるリアリティショックを防ぐためには、どのような対策を講じれば良いのでしょうか。具体的な対策方法の例を紹介します。

ミスマッチの防止

入社後や新たな配属先で仕事内容のギャップを生まないためには、ミスマッチを防止することが重要です。

たとえば、新卒採用にあたってはインターンシップを実施して職場を体験してもらったり、RJP(Realistic Job Preview:現実的な職務情報の事前提供)をおこなったりするのが有効とされています。また、人事異動にともなうミスマッチを防止するためには、あらかじめ社内インターンシップや社内留学で他部署の業務を経験してもらう方法もあります。

実際にどのような業務がおこなわれているのかを知っておくことで、良い面だけでなく悪い面も含めた職場の実態を知ることができ、配属後のギャップが減少し、リアリティショックを緩和できるのです。

チームでのサポート体制構築

ミスマッチの防止策を講じていたとしても、正式にチームの一員として働いてみることで新たなギャップが生まれる可能性があります。

リアリティショックを少しでも緩和するためには、社員が気軽になんでも相談できる人の存在が欠かせません。一般的には上司や先輩社員などが該当しますが、必ずしも相談できるような人間関係が構築できるとは限りません。

そこで、業務については直属の上司・先輩社員がOJTなどで指導をおこない、メンタル面やキャリア形成などの幅広いサポートはメンターがおこなうなど、チーム全体でサポートできる体制を整え、さまざまな相談に乗れるように準備しておくことが重要です。

教育研修制度の充実

新入社員や中途採用社員に対しては入社直後に新入社員研修や中途入社社員研修、新任課長や新任部長などにも就任のタイミングで研修をおこなうケースが多いものです。

しかし、入社や昇進直後の研修のみではなく、3ヶ月後や半年後、1年後といったタイミングで定期的にフォローアップ研修も実施することで、各社員の習熟度を確認できるほか、それぞれが抱えている不安や悩みなどもキャッチアップしやすくなるでしょう。

また、長期間にわたる休職から復職するタイミングで、あらためて業務内容を確認する意味で復帰支援プランなどを実施することも有効です。

研修や支援プランを通してリアリティショックを抱えている社員の悩みを個別にヒアリングすることで、不安や悩みに共感しながらも有効な対策を講じやすくなります。

リアリティショックは放置せず早めに対処しよう

入社や新たな配属先への異動、昇進などのように、環境が変化することで、理想と現実との間にギャップが生じることは多いものです。

しかし、それを当然であると企業が認識しリアリティショックへの対処を怠ってしまうと、なかには不安や悩みを解消しきれず、退職を選択する社員も出てきます。
また、モチベーションの低下によって生産性に影響を及ぼし、それが組織全体に波及する可能性も否定できません。

このようなリスクを最小限にするためにも、ミスマッチの防止やチームでのサポート体制構築、教育研修制度の充実など、有効な対策を検討しましょう。

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