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ハラスメントと指導の違いは?ハラスメントを防止するためのポイントも解説

2021年06月23日更新

パワハラやセクハラといったハラスメントが問題化しており、企業にはハラスメント防止対策がよりいっそう求められています。しかし、ハラスメントと指導の明確な違いが分からず、「指導のつもりで接していたのにハラスメント行為をおこなっていた」というケースも少なくありません。ハラスメントについて正しく理解すると、職場環境の改善に繋がり、社内の円滑なコミュニケーションを促進することもできます。

本記事では、ハラスメントと指導の違いや、ハラスメントを防止するために企業がとるべき対策なども含めて詳しく解説します。

目次 【表示】

ハラスメントとは

ハラスメントとは、相手に対して不快な感情を抱かせることを指しますが、以下のようにさまざまな種類が存在します。

パワーハラスメント

職務上優位的な地位または立場にある社員が、ほかの社員に対して、通常の業務における指導や指示の範囲を超えて精神的または肉体的な苦痛をともなう行為におよぶことをパワーハラスメントとよびます。

ちなみに、「優位的な地位にある社員」とは経営層や管理職だけではなく、先輩社員なども含まれます。また、同僚や部下の協力を得なければ円滑に業務を遂行できない場合には、同僚や部下であっても「優位的な立場にある社員」となり得ます。

セクシャルハラスメント

職場における性的な言動によって他の社員が不快な感情を抱き、職場環境が害されることをセクシャルハラスメントとよびます。また、性的言動に対して社員が拒否や抗議などをおこなった場合に、労働条件などにおいて不利益を被ることもセクシャルハラスメントに該当します。

マタニティハラスメント

妊娠中、または子育て中の女性社員に対し、職場内で嫌がらせをすることや肉体的な苦痛を与えることをマタニティハラスメントとよびます。また、出産や子育てを理由とした不当解雇や雇い止め、その他不利な労働条件を強いることもマタニティハラスメントに該当します。

このように、社内で起きる可能性のあるハラスメントはさまざまで、企業として適切なハラスメント防止対策を講じていないと、人材の流出や企業のイメージダウン、取引先・顧客からの信頼失墜など、さまざまな悪影響が出ることが考えられます。

2019年には労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、および育児・介護休業法が改正され、ハラスメント防止のために必要な措置を講じることが事業主の義務となったこともあり、企業がハラスメント防止対策をおこなう必要性はますます高まっています。

ハラスメントが発生する原因とは

そもそも、なぜ職場においてハラスメントは発生するのでしょうか。考えられる主な2つの原因について解説します。

職場における優位性の悪用・認識不足

経営層や管理職、社員の中には、「仕事である以上は厳しい指導をするのが当たり前」と考える人も存在します。しかし業務上必要であるからといって、どのような指導方法も許されると考え、相手の気持ちを一切考えることなく指示や指導をすることで、ハラスメントに直結するケースがあります。

業務を指導する立場にある社員は、指導される側の社員に対して思いやりや倫理観をもつことが不可欠であり、これらが欠如しているとハラスメントととらえられる可能性が高まります。

価値観や考え方の違いに対する理解や知識の不足

「冗談のつもり」「コミュニケーションの一環のつもり」など、悪気はなくても、何気ない言動によって相手が不快な感情を抱くと、ハラスメントとなる場合もあります。また、「これは男性の仕事」「これは女性の仕事」といったような個人の価値観にとらわれていることで、意図せずセクシャルハラスメントに繋がるケースも考えられるでしょう。

さらに男性が多い職場の場合、「女性は第一線で活躍するのではなくサポート的な役割に徹する」といった企業風土が根付いているケースもあります。そのような場合、その職場で働いている大勢の社員が無意識にセクシャルハラスメントに加担していることもあるのです。

指導とパワーハラスメントとの違い

ここからは、パワーハラスメントについて掘り下げて解説していきます。人事院が公開している「パワーハラスメント防止ハンドブック」(※1)の中では、指導とパワーハラスメントの明確な違いについて7つのポイントが挙げられています。

パワーハラスメント 指導
目的 ・相手を馬鹿にする、排除する
・自分の目的の達成
(自分の思いどおりにしたい)
・相手の成長を促す
業務上の必要性 ・業務上の必要性がない
(個人生活、人格を否定する)
・業務上の必要性があっても不適切な内容や量
・仕事上必要性がある、または健全な
職場環境を維持するために必要なこと
態度 ・威圧的、攻撃的、否定的、批判的 ・肯定的、受容的、見守る、自然体
タイミング ・過去のことを繰り返す
・相手の状況や立場を考えずに
・タイムリーにその場で
・受け入れ準備ができているときに
誰の利益か ・組織や自分の利益優先
(自分の気持ちや都合が中心)
・組織にも相手にも利益が得られる
自分の感情 ・いらいら、怒り、嘲笑、冷徹、 不安、嫌悪感 ・好意、穏やか、きりっとした
結果 ・部下が萎縮する
・職場がぎすぎすする
・退職者が多くなる
・部下が責任を持って発言、行動する
・職場に活気がある

(人事院パワーハラスメント防止ハンドブック」パワハラと指導の違いより)

指導はあくまでも相手の成長を促すことが目的であるのに対し、パワーハラスメントは優位的地位や立場にある人が、相手を自分の思いどおりにしたいという気持ちがあります。相手のことを考えず、自身や組織の利益を優先するのがパワーハラスメントに該当する行為といえるでしょう。また、パワーハラスメントは業務の範囲を超えていることも、指導と明確に違う点です。

指導とパワーハラスメントの違いを社員が理解していないと、職場内でパワーハラスメントが蔓延する可能性があり、社員にとって働きづらい職場になり、退職者が増えるなどの影響が出てくることが考えられます。

ハラスメントを防止し適切な指導をおこなうための方法

すべての社員にとって働きやすい、ハラスメントの無い環境を構築するためには、どのような対策を講じるべきなのでしょうか。ハラスメントを防止するとともに、適切な指導をおこなうための方法について詳しく解説します。

ハラスメントに該当する行為について正しい知識を得る

ハラスメントと指導の違いを明確に理解させるために、社員に対して「ハラスメント防止研修」などを実施し、正しい知識を得てもらうことがなによりも重要です。

ハラスメントと指導の明確な違いについて、十分な知識がないと、知らないうちにハラスメントを行っている可能性があります。また、ハラスメントととらえられることを恐れるあまり、ほかの社員との必要なコミュニケーションまで控えるようになることも考えられるでしょう。

研修ではハラスメントに該当するケーススタディなども取り入れることで、社員自身がこれまでの指導方法をあらためて振り返る機会にもなります。

コミュニケーションにおけるマナーを向上させる

パワーハラスメントは、業務上の命令や指示を通じて起こることが多いといわれており、指導する際の言い方や伝え方を工夫することで、ハラスメントの防止に繋がります。

たとえば、業務上の注意をする際に、相手の人格を否定したり攻撃しないようにすることは大前提といえるでしょう。また、相手が話しているときはよく聞き、傾聴の姿勢を示すことも、指導するうえでのコミュニケーションにおいて重要です。

相手に対して不快な感情を抱かせないために、どのような言い方が有効なのか、社員一人ひとりがコミュニケーションにおけるマナーを身につけることがハラスメントの防止に繋がります。

適正な業務管理

社員の能力に見合わない量の業務を指示することもパワーハラスメントに該当するため、適切な業務管理が求められます。社員それぞれの能力に見合った業務の量を把握するとともに、社員が業務を遂行できるようわかりやすく指示を出すことが大切です。

また、業務が滞っていないか進捗状況を確認することも重要です。ただし、つねに社員を監視するように進捗を確認するのではなく、一定の時間を決めて様子をうかがう方法が理想的です。

まとめ

指導とハラスメントには明確な違いがあり、正しく理解することで「知らないうちにハラスメントを行っていた」という事態を未然に防止できます。また、相手に対して思いやりを持ち、指導する際の伝え方を工夫してみたり、コミュニケーションにおけるマナーを身につけたりすることもハラスメントの防止に繋がります。

社員に対してハラスメントに関する知識やマナーを体系的に身につけてもらうためにも、企業としてハラスメント防止研修の実施を検討してみてはいかがでしょうか。

<出典>
※1. 人事院:パワーハラスメント防止ハンドブック

ハラスメントについて正しく理解し、よりよい職場環境の実現を目指す
>>マイナビ ハラスメント防止研修
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