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シェアドリーダーシップとは?組織への効果と実現の方法

2023年02月15日更新

企業を取り巻く環境が大きく変化している今、企業が持続的発展を遂げるためには「1人の権限を持つリーダーが統率する」のではなく、「チームメンバーそれぞれがリーダーシップを発揮できる」環境の構築が重要視されています。

そこで注目されているのが「シェアドリーダーシップ」です。本記事では、シェアドリーダーシップの概要とあわせ、シェアドリーダーシップを実現するためのポイントを解説します。

目次 【表示】

シェアドリーダーシップとは

シェアドリーダーシップとは、チームメンバーそれぞれがリーダーシップを発揮し、リーダーの役割を共有している組織の状態を示す言葉です。
リーダーといえばチーム内の一人がその役割を担い、チームを牽引するイメージがありますが、シェアドリーダーシップではチームメンバーの一人ひとりが影響力を持ち、リーダーシップを発揮します。

ただし、組織のビジョンを示したり、最終決定をしたりするために、シェアドリーダーシップにも正式なリーダーは必要とされています。

サーバントリーダーシップとの違い

サーバントリーダーシップとは、チーム内の一人がリーダーとしてチームを牽引するスタイルを表す言葉で、「支援型リーダーシップ」とも呼ばれています。

サーバントリーダーシップでは「サーバント(召使い)」の言葉の通り、リーダーがチームメンバーに奉仕をおこない、メンバーを導いていきます。

サーバントリーダーシップは個人がリーダーシップを発揮する際のスタイルを示すのに対し、シェアドリーダーシップではチームメンバーそれぞれがリーダーシップを発揮している組織の状態を示しているという違いがあります。

また、サーバントリーダーシップではリーダーが各メンバーを尊重しますが、シェアドリーダーシップではチームメンバーそれぞれがリーダーシップを発揮しながら、互いを支援するフォロワーとしての役割も担います。

シェアドリーダーシップが注目されている理由

なぜ今、シェアドリーダーシップが注目されはじめているのでしょうか。その理由について見ていきましょう。

VUCA(ブーカ)時代の到来

シェアドリーダーシップが注目される理由の一つに、VUCA時代の到来があります。

VUCAとは、「Volatility:変動性」「Uncertainty:不確実性」「Complexity:複雑性」「Ambiguity:曖昧性」の4つの単語からなる造語で、変動性が高く、不確実で、複雑性・曖昧性が増す社会の状態を意味する言葉です。

少し先でさえ予測不可能なVUCA時代、企業が生き抜くためには迅速かつ適切な意思決定が必要になります。

たとえば、IT技術の急速な進展や新型コロナウイルス感染症の感染拡大など、予期していなかった緊急事態が発生したとき、一人のリーダーだけでは迅速かつ適切な意思決定をおこなうことは難しいでしょう。

メンバー全員がリーダーシップを発揮することで、緊急時でもさまざまな視点から出される意見を加味して、柔軟かつ迅速な判断・意思決定が可能になります。

デジタル化、DX推進

デジタル技術の進展により、さまざまな先端テクノロジーが業務に活用されています。また、それらの技術を用いて新たなビジネスモデルの創出や、業務革新に取り組むDX化を政府が推進していることもあり、デジタル技術の理解・活用は企業がすぐに取り組むべき事項です。

AI(人工知能)やRPA(Robotic Process Automation:人間にかわり作業をおこなう技術)を導入して業務の効率化を図るケースも増えています。これにより、AIやRPAを活用して自ら判断し意思決定をおこなう人材の重要性が増しています

組織がシェアドリーダーシップを実現することができると、リーダーシップを発揮する中で自主性が養われ、自発的に行動できる人材を増やせる可能性があります

シェアドリーダーシップのメリット

シェアドリーダーシップを実現することで、企業は次のようなメリットを得られます。

チームメンバーのモチベーションの向上

チームメンバーがリーダーシップを発揮する機会が増えれば、チームの意思決定に関わる機会も増加します。自ら考え意思を伝え判断することを通して、メンバーは自律的に活動することへの喜びを感じ、内発的モチベーションが向上する可能性があります。

内発的モチベーションとは、自らの内側から起こる興味や意欲、目的から生まれるモチベーションのことです。内発的モチベーションの向上は、集中力や創造性の向上にもつながります。

生産性の向上が期待できる

メンバーそれぞれがリーダーシップを発揮できている状態であれば、互いの不足部分をメンバー同士で補い合いながら業務に取り組めます。これにより、チーム全体のパフォーマンスが向上し、結果として生産性・業績の向上につながる可能性があります。

新しいアイデアが生まれやすくなる

シェアドリーダーシップを実現することで、メンバーそれぞれの自主性が養われメンバー間の意見交換が活発化し、新たなアイデアが生まれやすい環境になります。それぞれの得意分野を持って意見交換にのぞめば、柔軟な発想からチーム内でのイノベーションの創出も期待できます。

人材育成によい効果が期待できる

シェアドリーダーシップでは、入社の年数や経験にかかわらず、すべてのメンバーがリーダーシップを発揮する機会を持てるようになります。若手の従業員が日々の業務の中でリーダーシップとはなにかを学んでいくことは、次世代のリーダーの育成につながります

シェアドリーダーシップの注意点

シェアドリーダーシップを導入する際には、注意しておきたい点がいくつかあります。導入を検討している企業は、注意点を把握して事前に対策を講じ、円滑な導入・実現を目指しましょう。

組織の目的を理解してもらう必要がある

シェアドリーダーシップでは、判断や意思決定の軸がぶれないよう、リーダーシップを発揮するメンバー一人ひとりが組織の目的やビジョンを理解しておく必要があります。

組織の目的やビジョンを浸透させるために、研修やワークショップを開催する、定期的なミーティングで方向性を確認するなどの活動をおこないましょう。

組織のメンバーがフォロワーシップを理解する必要がある

シェアドリーダーシップでは、メンバーがリーダーシップを発揮することと同時に、フォロワーとしてメンバーを支える能力も必要になります。

シェアドリーダーシップの効果を発揮するには、メンバーがフォロワーシップについて理解し、お互いを効果的に支援する必要があるのです。フォロワーシップとは、チームの成果の最大化を目的として、リーダーや他のメンバーに対し、自律的・主体的に働きかけサポートすることです。

フォロワーシップを理解するためには、研修で学びを深めるなどの施策も有効です。

シェアドリーダーシップの導入に効果的な3つのポイント

ここからは、シェアドリーダーシップの導入の際に押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。

リーダーシップの定義の共通化

役職などの権限をを持たない状態では、メンバーは自分が提案することを期待されていないと思う傾向にあります。

また、リーダーシップの定義や理想の組織のイメージが統一されていないと、なにをしてよいかわからず混乱してしまうこともあるでしょう。チーム全員で共通したリーダーシップの定義を理解できるよう取り組んでいくことが重要です。

リーダーシップを発揮してもらうには、公式のリーダーがリーダーシップとはなにか、組織の一員としてどのように貢献できるのかを伝えるなど、リーダーシップを理解してもらうためのアプローチが必要です。

チームメンバーへのアプローチ方法を身につける

シェアドリーダーシップを実現するためには、公式のリーダーがメンバーに働きかける必要があります。

そのためには、会議を円滑に進めるためのファシリテートや、メンバーの成長や変化を促すためのコーチングといったスキルを公式のリーダーが身につける必要があります。これらのスキルに関しては、研修を受講してもらうなどの方法も有効です。

業務の一つを変えてみる

前述した2つのステップを実践した後は、シェアドリーダーシップを機能させるために、小さなことから少しずつやり方を変更するなどして組織に根付かせていく取り組みが必要です。たとえば、会議など何か一つの業務のやり方を変えて実際に走り出してみましょう。

シェアドリーダーシップを実現するためのポイント

各メンバーがリーダーシップを発揮できるよう、企業は次のポイントをおさえて環境を構築していきましょう。

経営陣がシェアドリーダーシップを理解する

役職などによらないリーダーシップを定着させるには、人材開発の担当者だけでなく、経営陣がメンバーがリーダーシップを発揮する必要性を理解しなければなりません。

シェアドリーダーシップにより、メンバーの自主性や自立性が高まること、それによりモチベーションや生産性の向上が期待できることを理解し、メンバーがリーダーシップを持って業務に取り組むことを歓迎する雰囲気を作る必要があります

現場にふさわしい公式のリーダーを選出する

メンバーそれぞれがリーダーシップを発揮するシェアドリーダーシップの状態にあっても、権限を持つ公式のリーダーは必要です。公式のリーダーを選出する際には、チームをまとめられる、現場にふさわしい人材を選びましょう。チームのパフォーマンスを最大化できる人材かを見極めることが重要です。

企業を取り巻く環境が激変する中でも強い組織をつくるために

チームメンバーのそれぞれがリーダーシップを発揮するシェアドリーダーシップを実現することで、判断や意思決定の迅速化が図れます。

さらに、従業員のモチベーションアップや次世代リーダーの育成、イノベーションの創出など、さまざまなメリットが期待できます。

シェアドリーダーシップを実現したい組織は、リーダーシップの定義の共通化を図るとともに、公式なリーダーがメンバーにアプローチできるよう研修などでスキル取得を促すことがポイントです。また、はじめはスモールスタートで実際の業務を少しずつ変えていき、シェアドリーダーシップの浸透を図りましょう。

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