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DXとは?いまさら聞けない基礎知識をわかりやすく解説!

2022年06月08日更新

ビジネス界で大きな注目を集め、耳にする機会も増えてきたDX。競合他社がDXに取り組みはじめたことで、自社もDXを推進しなければと危機感をお持ちの企業も多いのではないでしょうか。

しかし、DXの概念を正しく理解できていないため、DXの推進に着手できていない企業も少なくありません。そこで今回は、DXの概念を解説するとともに、DXを推進するためのポイントや具体的な事例も紹介します。

目次 【表示】

DXの意味・定義とは

はじめに、近年よく耳にするようになったDXとはどのような概念なのか、その意味や定義、注目されるようになった理由について解説します。

DXの意味と歴史

DXとは「Digital Transformation」=デジタルトランスフォーメーションの略称です。Transformationとは、変身や変容、変形といった意味を指します。
すなわち、Digital Transformationとは「デジタルによって人々のライフスタイルの姿や形を変える」ことを意味します。

DXの概念が提唱されたのは2004年までさかのぼります。当時、スウェーデンのウメオ大学教授であったエリック・ストルターマンが「ICT(情報通信技術)の浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」ことをDXの概念として定義しました。

経済産業省におけるDXの定義

2004年に定義されたDXですが、経済産業省が2018年に公表した「DX推進ガイドライン」では、DXを以下のように再定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

DXと聞くとIT化やデジタル化といった概念と混同されがちですが、単にアナログな業務をデジタル化するのではなく、デジタル技術を活用し、ビジネスモデルや企業文化を根本から変革していくことが、経済産業省により再定義されたDXです。

DXが注目されるようになった理由

現在、多くの企業がDXの重要性を認識し、大企業を中心にDXの取り組みがスタートしています。なぜこれほどまでにDXは注目されるようになったのでしょうか。

その理由のひとつに、経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」で、「2025年の崖」という問題が取り挙げられたことがあります。

これまで企業で使用されてきた基幹システムのなかには、専門的な構築やカスタマイズが進んだ結果、構造が複雑化してしまっているものがあります。また、内容が解明できないプラックボックス化しているものもあります。そのため、全社での横断的なデータ活用ができないという状況に陥っていることもあるでしょう。

このような既存システムの問題を解決しようとしても、組織全体で業務改善が必要であったり、それに対する現場からの抵抗が生じたりと、システム以外の問題が発生することもあります。

これらの問題を解消できないと、

1. 市場の変化に対応したビジネスモデルへの変更ができず、デジタル競争の敗者となる
2. システム維持管理費の増大
3. サイバーセキュリティにかかわるリスクの増大

といった大きく3つの懸念により、2025年以降、毎年最大12兆円もの損失が生じるおそれがあるとされています。

そこで、経済産業省が「2025年の崖」の対策として、既存システム上のデータを活用しながら新たなデジタル技術へシフトし、新ビジネスを創出していくというDX実現のシナリオを打ち出したことで、DXへの注目度が高まっています。

DXの前段階にあるデジタイゼーションとデジタライゼーション

DXを実現するうえで重要となるのが、デジタイゼーションとデジタライゼーションという概念です。
これらはDXと混同しやすい概念ではありますが、DXをゴールとする段階的なものとして捉えるとわかりやすいかもしれません。DXの前段階として最初にデジタイゼーションがあり、次にデジタライゼーション、最後にDXへと繋がる関係性です。

今回はわかりやすい例として、営業活動をもとに説明します。

デジタイゼーションとは

デジタイゼーションとは、それまでアナログな手法でおこなわれてきた特定の作業を、ITツールに置き換えることを意味します。

たとえば、請求書や見積書などの書面に電子印を利用することにより、紙からPDFファイルやWordファイルなどの電子データに置き換えることがデジタイゼーションにあたります。

デジタライゼーションとは

デジタライゼーションとは、アナログな手法からITツールへの置き換えによって、ワークフローそのものがデジタル化することを意味します。

たとえば、書面のやり取りだけでなく、営業活動そのものを電話やメール、Web会議ツールなどで完結させることで、商談のために出向く必要がなくなります。

移動時間がなくなることで、これまで以上に商談準備に時間を割けるようになるほか、商談そのものの頻度もあげることができ営業機会の増加にも貢献できるでしょう。その結果、商談内容の精度もあがり、生産性の向上も期待できます。

このように営業活動に関わる一連の流れをデジタル化することがデジタライゼーションにあたります。

デジタイゼーション・デジタライゼーションの先にあるDX

デジタライゼーションが進んだ結果、人々のライフスタイルが変化し、それにともない新たなビジネスモデルが生まれ浸透した状態がDXにあたります。

たとえば、従来のカタログやプレゼン資料だけでは伝えきれなかった製品の仕様も、ARやVRなどのテクノロジーを活用することで、実物に近いイメージを直感的に伝えられるようになります。さらに、見積もり作成や受注などの社内ワークフローをRPAで自動化することで、顧客との取引をすべてオンライン上でスムーズに完結できるようになるでしょう。

このように、企業が従来型のビジネスモデルを変革し、顧客に新たな価値を提供していくことがDXにあたります。

DX推進のポイント

企業がDXの推進に向けて取り組みを開始する場合、どのようなポイントに注意して進めるのがよいのでしょうか。経済産業省が公開している「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」に沿って解説します。

経営トップがコミットメントし、ビジョンを示す

はじめに、企業としてどの事業分野に取り組み、どのような価値を生み出すのか方針を決めます。これには経営トップのコミットメントが不可欠であり、経営者自らが明確なビジョンを示す必要があります。

また、ビジョンを具現化するためにDX推進部門を設置するなど社内体制も構築しましょう。体制構築にあたっては、DXの推進に向けた積極的な挑戦を行っていくマインドセットの醸成や、サポート体制の整備、DXへの取り組みをリードする人材確保・育成が求められます。これには人事部門の協力も不可欠となるでしょう。

全社的なITシステムの再設計

現状のITシステムがどのように運用されているかを分析し、全社でどのようなITシステムが求められるのかを判断します。

それに応じて既存システムの改修や、新たなシステムの導入などの方針を決定しましょう。その際には、経営トップが示したビジョンを実現するにあたって、必要な要件を盛り込んだシステムを設計していくことが求められます。

DXの参考事例

DXはIT分野と関連の深い業界だけでなく、さまざまな業種・企業で推進されています。

これまでDXに成功した業界の一例として、エンタメコンテンツの業界が挙げられるでしょう。以前は、映画や音楽はレンタルショップへ足を運び、CDやDVDを借りてくるのが当たり前でした。

しかし、パソコンやスマートフォンの普及によってユーザーの視聴環境が変化したことで、映画やドラマ、音楽などのストリーミング配信サービスが登場し、自宅から出ることなく見たい映画や音楽を楽しめるようになりました。

ほかにも、飲食業界におけるDXとして、店内で頼んだ料理を自席まで届けてくれる配膳ロボットを採用する企業も、徐々に増えています。

DXの第一歩はデジタイゼーションから

デジタル技術によってビジネスモデルを変革すると聞くと大掛かりなイメージがあり、自社では実現が難しいのではないかと考えがちです。

まずは自社の業務プロセスのなかで、アナログな業務からデジタル化できるものはないかを検討してみましょう。はじめは業務プロセスの一部をデジタイゼーションとしてスタートし、デジタル化に対応した業務が増えてきたら徐々にデジタライゼーションへ、やがてはDXへと拡大していくことが重要といえます。

デジタイゼーションからデジタライゼーション、DXと段階的に取り組みながら新たなビジネスモデルを創出することで、企業の中長期的な成長や競争力強化に繋がっていきます。

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