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サーバントリーダーシップは従来のリーダーシップとなにが違う?求められる属性も解説

2022年03月16日更新

さまざまな社員が働く組織のなかでは、社員をまとめ上げるリーダーの存在が欠かせません。一般的にリーダーといえば、部下に対して命令したり指示したりといった支配型リーダーシップをイメージすることが多いものです。

しかし、時代の変化とともにビジネス環境も大きく変わっている現在、従来のような支配型リーダーシップとは異なるリーダーシップ理論が注目されるようになりました。代表的なもののひとつが「サーバントリーダーシップ」です。

今回の記事では、サーバントリーダーシップと従来型リーダーシップとの違いや、サーバントリーダーシップに求められる属性についても解説します。

目次 【表示】

サーバントリーダーシップとは

サーバントリーダーシップは、「リーダーである人は、まず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」という考えにもとづくリーダーシップ理論であり、アメリカのロバート・K・グリーンリーフ氏が1970年に提唱しました。

「サーバント」とは、召使いを意味する言葉です。召使いとリーダーは一見相反する存在と考えられがちですが、奉仕型のリーダーシップであることからサーバントリーダーシップとよばれます。

支配型リーダーシップとの違い

従来の支配型リーダーシップでは、リーダーからのトップダウンによって指示や命令を出し、それに部下が従います。

これに対しサーバントリーダーシップは、まずリーダーが部下の話を傾聴し、コーチングやメンタリングによって部下とともに協力して目標を達成します。また、部下に対して奉仕や支援をし、部下からの信頼を得ることもサーバントリーダーシップの特徴です。このように、サーバントリーダーシップは、従来の一般的なリーダーシップ理論である支配型リーダーシップとは対極にある考え方といえます。

サーバントリーダーシップを発揮することで、部下の強みや主体性を引き出し、成長へと導くことができるため、部下はリーダーから指示される前に行動するようになると期待できます。

VUCA時代を生き抜くために有効なサーバントリーダーシップ

現在は不確実で将来の予測が難しいVUCA時代といわれ、ビジネス環境が大きく変化しています。かつてのような、モノをつくれば売れた時代は過ぎ、顧客ニーズが多様化している時代ともいえます。

大量生産が求められる時代であれば、業務を効率化し生産性を高めるために、多くの部下を統率する強力な支配型リーダーシップが有効でした。しかし、顧客ニーズが多様化している現在では、リーダーの意見が必ずしも正しいとはいえません。

そのため、企業には多様な経験や知識をもった人材を活用することが求められます。言い換えれば、VUCA時代に企業が生き残っていくためには、リーダーを信頼しつつ、企業のビジョンを理解したうえで主体的に行動できるメンバーが必要ということでもあります。

そのような人材を育てるためにも、従来のような支配型リーダーシップではなく、サーバントリーダーシップがVUCA時代を生き抜くために有効なリーダーシップのひとつとして考えられています。

サーバントリーダーに求められる10の属性

サーバントリーダーシップを提唱したロバート・K・グリーンリーフ氏は、サーバントリーダーシップを発揮するためには、以下の10の属性が求められるとしています。

1.傾聴(Listening)

傾聴とは、部下の声に耳を傾け、真摯に聞く姿勢のことを指し、コミュニケーションの基本ともいえます。

部下からの信頼を得るためには、自分の意見ばかりを主張するのではなく、部下の考えや意見にも積極的に耳を傾けることから始まります。部下にとっては「自分の意見も聞き入れてくれている」と感じられ、リーダーのことを信頼できるようになるでしょう。

同時に、リーダーは自分自身の意見ももつ必要があります。部下と自分自身の両方の声を傾聴することで、リーダー自身が部下や組織からどう必要とされているかを客観的に考えられます。

2.共感(Empathy)

共感とは、部下の立場に立って気持ちに寄り添うことを指します。

表面上は部下の話を聞いていても、共感が足りないと部下がリーダーに対してなにを求めているのかがわからないものです。傾聴の姿勢を見せることも重要ですが、それだけでなく部下の話に共感することで、さらに信頼を深められるでしょう。

3.癒し(Healing)

癒しとは、部下に対して安心感を与えることを指します。

組織のなかでさまざまメンバーと一緒に働く以上、意見や立場の違いから衝突し、傷つく部下も出てくるでしょう。リーダーとして組織をまとめあげるためには、心に傷を負った部下をケアしたりフォローしたりすることも重要です。

また、組織内のメンバー同士で欠けているものを補い合える組織にすることも、リーダーに求められる要素といえるでしょう。

4.気づき(Awareness)

気づきとは、客観的な視点から、リーダー自身と自組織を知ることを指します。

倫理観や価値観は人によって異なり、立場によっては偏った見方になることもあります。そのため、リーダーとして公平かつ正しい倫理観や価値観を身につけるためには、客観的な視点が不可欠です。

リーダーが自分自身、および自組織を客観的に見つめ直すことで、新たな気づきを得られるでしょう。

5. 説得(Persuasion)

説得とは、部下に対して十分な説明をおこない、理解を得ることを指します。

サーバントリーダーシップでは、権限によって部下を服従させるのではなく、部下の理解を得ながら職務を遂行することが重要です。そのためリーダーには、部下をはじめとしたさまざまなメンバーを説得する力が求められます。

6. 概念化(Conceptualization)

概念化とは、部下に対してわかりやすく伝える力のことを指します。

企業や組織を成長させていくためには、リーダー自身が大きな夢や将来を見通したコンセプトをもつことが欠かせません。しかし、リーダーが夢やコンセプトをもっていたとしても、部下もそれを理解できているとは限らないものです。

そのため、組織として実現したい夢やコンセプトを部下に対してわかりやすく伝える力が求められます。

7. 先見力・予見力(Foresight)

先見力・予見力とは、過去の経験や教訓、現在の状況などをもとに、将来を見定める力のことを指します。

組織としてとるべき行動を見定めるためには、現在の状況から未来を予見しようとすることもリーダーに求められる要素のひとつです。

8. 執事役(Stewardship)

執事役とは、部下に対して適切なアドバイスをおこなうことを指します。

たとえば、リーダー自身が利益を得ることを優先するのではなく、部下に対して適切なアドバイスなどをおこない、部下にとって利益をもたらしてくれるリーダーは信頼を得やすいでしょう。

9. 人々の成長に関わる(Commitment to the Growth of people)

「人々の成長に関わる」とは、その名の通り、部下の育成を促すことを指します。

部下を成長させるためには、一人ひとりの特性を理解したうえで、秘めている価値があると信じることが重要です。

10. コミュニティづくり(Building community)

コミュニティづくりとは、部下にとって働きやすい環境をつくり出すことを指します。

メンバー同士が支え合える、愛情と癒しに満ちた職場のコミュニティをつくることで、一人ひとりが働きやすく成長できる環境が実現できます。

サーバントリーダーシップを発揮し企業の持続的な成長につなげよう

サーバントリーダーシップは1970年に提唱されたリーダーシップ理論ですが、VUCA時代に対応できるリーダーシップ理論として、現代においても支持されています。

顧客ニーズが多様化し不確実な社会において、企業が持続的に成長していくためには、多様な人材が活躍できる環境が求められます。サーバントリーダーシップを発揮することで、リーダーを信頼し、自社のビジョンを理解したうえで主体的に行動できる部下の育成が期待できます。

今回紹介したサーバントリーダーに求められる10の属性を参考に、まずはリーダー自身が行動を変革することから始めてみましょう。

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