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コンピテンシーとは?人事評価・採用面接・人材育成における活用のポイント

2024年05月22日更新

キーボードを打つビジネスパーソン

「コンピテンシー」とは、業務において成果をあげている人に共通する行動特性を指し、人事評価や採用面接、人材育成、組織マネジメントなどさまざまなシーンでの活用が注目されています。事業に好影響をもたらす好業績者(以下、ハイパフォーマー)を見極め、評価し、育成していくために、コンピテンシーを理解し、取り入れていく必要性が高まっているのです。

本記事では、コンピテンシーの概要や歴史、混同しやすい言葉や、注目されている理由をお伝えします。あわせて、コンピテンシーの活用シーンや導入ステップについても解説します。

目次 【表示】

コンピテンシーとは

氷山を側面から見た様子

コンピテンシー(Competency)は「能力」「技量」などを意味する言葉で、ビジネスでは、ハイパフォーマーの行動特性を指します。

ハイパフォーマーの具体的な行動を指すのではなく、「どのような考えで、どのように行動しているか」といった行動における傾向を言語化したものであり、可視化しやすい知識やスキルとは異なり、コンピテンシーは可視化が難しいといわれています。

コンピテンシーのもととなったのは「氷山モデル」という考え方です。これは、水面上に浮かんでいるように見える氷山の表層部分(スキルや知識など可視化できる要素)の下には、目には見えない深層部分(動機や価値観、人格など可視化できない要素)が隠れていることを示したモデルです。表層部分に対して影響力をもっているのは、目に見えない深層部分であることが示されています。

コンピテンシーと混同しやすい言葉

コンピテンシーと混同しやすい言葉には、以下のようなものがあります。

「能力」「スキル」との違い

能力・スキルとは、個人がもつ物事をなしとげる力であり、基本的にはコンピテンシーに内包されるものと考えられます。能力・スキルに、業務を遂行する力が加わったものがコンピテンシーといえるでしょう。

同じレベルの能力・スキルを保有していても、コンピテンシーの違いによって、仕事の成果が変わってくることがあります。反対に、能力・スキルに乏しくても、正しく思考し、行動できるコンピテンシーを持ち合わせていれば高い成果につながることもあります。

「コアコンピタンス」との違い

コアコンピタンスとは、他社に模倣されづらく、自社の競争優位性を維持するうえで核となる技術やビジネスプロセスを指します。コンピテンシーが、個人のスキルや能力に焦点をあてている一方で、コアコンピタンスは組織全体の強みを指します。

コンピテンシーの歴史

もともと心理学用語であるコンピテンシーは、1970年代にアメリカの心理学者マクレランドの研究から広く世に知られるようになりました。

それまでは、知識や学歴の高さが、業績の優秀さと相関していると信じられていました。しかし、マクレランドの研究により、優秀な人に共通するのは知識や学歴ではなく、特定の行動や思考パターンであることがわかったのです。

この研究から「業務において高い能力を発揮するハイパフォーマーのベースとなる行動特性」がコンピテンシーとして体系化され、現在のビジネスに応用されるようになりました。

コンピテンシーが注目されている理由

もともとアメリカで注目されていたコンピテンシーですが、近年では日本のビジネスシーンでも注目されています。その背景には、労働人口が減少していることや、将来の予測が困難なVUCA時代に突入していることなどが挙げられます。

限られた人材で、環境の変化に対応しながらいかに企業を存続させるかが課題となっているなか、成果をあげられるハイパフォーマーを見極め、評価し、育成していくためにコンピテンシーが有効活用されるようになっています。

また、ハイパフォーマーがどのような行動・思考で成果をあげたかという過程を明確にして、ハイパフォーマー以外の人材育成に役立てることで、パフォーマンスが底上げされ、組織全体の生産性向上にもつながります。

コンピテンシーの活用シーン

会議をするビジネスパーソン

コンピテンシーの活用シーンは多岐に渡りますが、ここでは人事評価、採用面接、人材育成、組織マネジメントに焦点をあてて解説します。

人事評価

業務に対する意欲や積極性などは、評価者の主観に偏りやすい項目であり、自社に必要な能力を用いて成果を出したのかどうかを正確に評価することは難しいといえます。

コンピテンシーにもとづいて「ハイパフォーマーの思考に沿って行動していたか」といった観点で評価する方法は「コンピテンシー評価」と呼ばれ、曖昧さや評価者の主観をできるだけ低減した人事評価が可能となります。

公正な人事評価は納得感を生み、社員の組織に対する信頼が向上することで、エンゲージメント向上も期待できます。

採用面接

自社で活躍しているハイパフォーマーの行動特性をもとに、採用基準を設定することで、実際に入社後に活躍できる人材かどうかを判断しやすくなり、採用力の強化につながります。

たとえば、面接の際に、候補者が成果をあげた際のエピソードを深掘りし、実績にいたる行動の根底にどのような考え方や価値観があったのかをヒアリングすることも方法の一つです。ヒアリングした内容を自社のコンピテンシーと照らし合わせることで、候補者がどのような行動特性や判断基準をもっているかを把握しやすくなります。

人材育成

自社で成果をあげている人材がどのような思考や行動をとっているかを社員に示すことで、社員も自身の不足している能力を把握しやすくなります。

社員個人が成果をあげていくための目標を立てやすくなり、自発的な成長につながっていきます。

組織マネジメント

部署や職種によってもコンピテンシーは異なる場合があります。部署や職種ごとのコンピテンシーを明確にし、前述した「コンピテンシー評価」を社員に対して実施することで、社員の適性を判断でき、適切な配置などに役立ちます。適切な組織マネジメントにより、目標達成や成果の向上をはかることができます。

コンピテンシーを活用するステップ

ステップが書かれている紙

コンピテンシーを活用する際、どのような手順で進めていけばよいのでしょうか。

1.モデルとなるハイパフォーマーへのヒアリング

まず、自社で成果をあげている社員をハイパフォーマーのモデルとして設定します。そして、ヒアリングによって、業績や成果をあげた事象を掘り下げ、成果につながった過程やその際の思考に着目していきます。

後のステップで、特定のコンピテンシーを評価するための具体的な行動やスキルを「評価項目」として決定します。

2.コンピテンシーモデルの作成

コンピテンシーには3つの型(コンピテンシーモデル)があります。社内の状況や業務内容によって適したモデルは異なるため、ハイパフォーマーのインタビューから行動特性を割り出し、ベースとなるモデルを決めていきましょう。

実在型モデル

実在型モデルとは、社内で成果をあげている人材をモデルにするものです。実態に即したモデルのため、納得度が高く、実用性があります。ただし、「個人の特性に寄りすぎていないか」「モデルとして再現性があり、他の社員も実行可能か」といった点の検討は必要です。

理想型モデル

理想型モデルとは、社内で求められる人材要件や、人員の状況などをもとに、理想の人物像を想像してモデル化したものです。

理想型モデルは、モデルとなる人物が社内にいない場合などに有効ですが、理想を高くしすぎて実現できないモデルにならないように調整が必要です。

ハイブリッド型モデル

ハイブリッド型モデルとは、先の実在型モデルと理想型モデルの両方を取り入れたモデルです。基本的には実在型モデルをベースとしますが、再現性が低い部分を汎用的なものに置き換えたり、モデルとして運用するには不足していると感じる能力の部分を理想で補ったりするなど、状況に応じてバランスのよいモデルを作ることができます。

3.評価項目の設定

抽出したコンピテンシーを評価するための具体的な行動やスキルを「評価項目」として設定します。設定項目は「成果に大きな影響を与えている項目」「他の社員でも実現可能そうな項目」など、自社の実態や状況に即したものを選ぶとよいでしょう。

4.コンピテンシーのレベル設定

コンピテンシーを人事評価や採用面接、人材育成において活用していくためにはレベル設定が重要です。評価項目ごとにレベル分けをおこなうことで評価しやすくなり、社員にとっても達成度合いが測りやすくなります。ここでは、一般的に用いられる5段階のレベル分けを紹介します。

  • レベル1(受動行動):指示されたことなら、その通りに行動するが、自発性に欠けている。
  • レベル2(通常行動):自分の仕事をこなす意識があり、その状況において当たり前の行動をとるが、意図や工夫がない。
  • レベル3(能動行動):知識や経験にもとづき選択し、主体的に行動をとれる。マニュアルに従うだけでなく、改善のために工夫できる。
  • レベル4(創造行動):答えのない状況のなかでも、チームを巻き込み、達成に向けて工夫し、状況に変化を起こすことができる。
  • レベル5(パラダイム転換行動):発想力に富み、独自性の高いアイデアを出して、組織を巻き込みながら大規模な変革を起こすことができる。

レベル1~3では、答えが用意されている状況において適切な行動をとることができますが、明確な答えがないような状況において、諦めてしまう傾向にあるといわれています。レベル4~5では、そのような状況においても諦めず、成果をあげるために工夫できる傾向があります。コンピテンシーの高さを判断するうえでは、レベル4以上を基準にするとよいでしょう。

5.コンピテンシーモデルの改善

コンピテンシーモデルは導入まで時間がかかるものです。また、時代や状況の変化にあわせて更新とチューニングが必要である点に注意しましょう。

コンピテンシーモデルの運用を開始し、評価に違和感があったり、成果と結びつかないと感じたりしたら改善が必要かもしれません。運用データを集めて検討するほか、試しにハイパフォーマーを評価してみて、高い評価となるかを確認するのもひとつの方法でしょう。

ハイパフォーマーを対象に評価にズレが生じていれば、修正、調整をおこなうことが大切です。

コンピテンシーを取り入れて組織全体のパフォーマンス向上につなげる

オフィスで立っている社員

ハイパフォーマーに共通する行動特性を指す「コンピテンシー」は、表面上のスキルや知識だけでなく、それを支えている動機や価値観などを考慮する考え方です。労働人口の減少やVUCA時代の不確実性に対応するためにも、ハイパフォーマーを見極め、評価し、育成する手段としてコンピテンシーが注目されています。

まずはハイパフォーマーへのヒアリングから始め、コンピテンシーモデルの作成、評価項目の設定、レベル設定、コンピテンシーモデルの改善までを段階的に実施していくことが大切です。コンピテンシーを役立てることで、組織全体のパフォーマンス向上につなげていきましょう。

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