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ビジネススキル向上が期待できる、観察学習(モデリング)とは?2つの注意点も

2023年11月22日更新

心理学者のアルバート・バンデューラ氏が提唱した、ビジネスにも応用可能な「観察学習(モデリング)」。実は、誰しもが子供の頃に経験している学習理論です。そう聞くと簡単に取り入れやすそうな理論ですが、ビジネスに役立てようと思った場合、2つの注意点を踏まえることが大切です。今回の記事では観察学習(モデリング)の理解を深めるために、同理論の概要やビジネスに取り入れる際のポイント・注意点などを解説します。

目次 【表示】

観察学習(モデリング)とは

観察学習(モデリング)とは、心理学者のアルバート・バンデューラ氏が提唱する「他人(モデル)の行動を観察および模倣することによって学習が成立する」という学習理論です。

たとえば、「プレゼンテーションが上手な上司のやり方を模倣してみる」「先輩の電話の受け答えを真似してみる」などが該当します。子供の頃に親の言動を真似たり、遊びでヒーローごっこ・お姫様ごっこをしたりするのも観察学習の一種です。

なお、「観察学習」と「モデリング」は同じ意味で使われることが多々あります。

観察学習(モデリング)の4つの過程

観察学習(モデリング)には以下4つの過程があります。

  • ・注意過程:モデルの行動に注意する過程
    (例:先輩の電話応対の仕方に関心を寄せる)
  • ・保持過程:観察したモデルの行動を記憶する過程
    (例:先輩の電話応対の仕方を記憶する)
  • ・運動再生過程:記憶したモデルの行動を実際におこなう過程
    (例:先輩の電話応対の仕方を真似てみる)
  • ・動機づけ過程:行動によりポジティブな経験を得て、モチベーションが向上する過程
    (例:先輩のような電話の受け答えができて嬉しい・モチベーションが上がる)

ちなみに、観察学習を通して他者の成功体験を見聞きすることで、「自分にもできそうだ」という自己効力感の醸成にも繋がります。

ビジネスシーンにおける観察学習の活用例

観察学習(モデリング)はビジネスシーンにも活用できます。ここではビジネスシーンにおける観察学習の2つの活用例を解説します。

リーダーシップを高められる

周囲の「このようなリーダーになりたい」と思える人(モデル)の、仕事のやり方や考え方を真似ることで、自然と自身にリーダーとしての要素が身についていきます。

実践時には可能であれば、なぜそのような仕事の進め方・行動を取っているのか、モデル本人に理由を聞いてみましょう。理由を知ることで、その人の考え方・価値観にも触れられ、より体系的な理解に繋がります。

なお、理想のリーダーが周囲にいなければ、模倣するモデルは著名人でも構いません。書籍や動画などを確認し、理想のリーダーを探してみましょう。

新入社員の能力向上に寄与する

上司や先輩が新入社員へ実際の業務を通じて教育をおこなう「OJT(On the Job Training)」も観察学習(モデリング)の一種といえます。OJTには上司や先輩のやり方を模倣する要素が多分に含まれているためです。

そんな観察学習の一種であるOJTにおいて、観察学習の4つの過程を踏むことで、新入社員の能力向上が期待できます。たとえば以下は、4つの過程における新入社員の営業スキルの向上例です。

  • ・注意過程:上司の商談のやり方に関心を向ける
  • ・保持過程:上司の商談のやり方を記憶する
  • ・運動再生過程:上司の商談のやり方を真似て実践する
  • ・動機づけ過程:上司の商談のやり方を真似て実践することで、成績が良くなり、モチベーションが上がる

なお、所属する組織へうまく馴染んでパフォーマンスを発揮するためにも、観察学習は有効であるといわれています。

観察学習(モデリング)実施時の2つのポイント

観察学習(モデリング)実施時に押さえておきたい2つのポイントを解説します。

外的要素→内的要素の順で模倣する

観察学習(モデリング)では、まず「外的要素」を真似し、次に「内的要素」を模倣しましょう。前者はたとえば服装や髪型、振る舞い、声のトーンなど外から見聞きできる要素、後者は価値観や考え方などモデルの内側にある要素が該当します。

両者を比較すると、目や耳で確認できる外的要素の方が模倣しやすいでしょう。外的要素にはその人の価値観・考え方といった内的要素が表れます。したがって、外的要素の模倣は内的要素の理解にも繋がります。「形から入る」ではないですが、まずは外的要素から真似ることから始めてみましょう。

観察力を養う

観察学習(モデリング)は、その名の通り、観察力が肝になります。ときにモデル本人に聞いたとしても、意識していないがために答えられない考え方や価値観といった「内的要素」を見抜くためには、観察力が必須なためです。

観察力を養うためには、周囲の小さな変化によく目を凝らすトレーニングが効果的です。同僚の髪型やお客さんの表情など、なにか一つ着目するテーマを決め、その変化を意識して過ごします。すると、より変化に対してのセンサーが働くようになるでしょう。

観察学習(モデリング)の2つの注意点

観察学習(モデリング)をおこなう際の2つの注意点も押さえておきましょう。

適切なモデル選定が必要

観察学習(モデリング)においては、モデル選定が重要です。自身の目標達成に寄与するであろうモデルを選ぶようにしましょう。モデル選定を誤ると、自身の目標とする姿とは異なる方向に進んでしまう恐れがあるためです。

また、自身よりレベルの高すぎるモデルを選んでも、そもそも模倣が難しく、観察学習が成立しないかもしれません。適切なモデルを選ぶためには、まず自身の目標を明確にすることが大切です。

ただし、注意して選んだモデルのやり方・行動であっても、必ずしも自分に合うとは限りません。モデルの選定・観察学習の実践後も適宜振り返りをおこないながら、自身に合わないと判断した場合はモデルの変更を検討しましょう。

一度自身の考え方・価値観を手放す必要がある

モデルを模倣するにあたり、自身の考え方や価値観とは異なる行動をしなければならない可能性があります。そのような際、「なぜこのようなことをするのか」「これはやりたくない」などと思ってしまうこともあるでしょう。

このように、ときに観察学習(モデリング)の実践には、精神的な負荷が伴う恐れがあります。一方、異なる考え方・価値観にもとづく行動こそが、新たな視点の獲得や成長に繋がるのも事実です。

自分の考えや行動とモデルの言動を照らし合わせながら、模倣をする部分・模倣をしない部分を調整するようにしましょう。

目標を据えて、観察学習(モデリング)を実践しよう

観察学習(モデリング)は「模倣することによって学習が成立する」という学習理論です。観察学習をビジネスシーンで応用し、仕事ができる上司や先輩の業務の進め方や振る舞い、考え方などを真似ることで、自身のビジネススキル向上を図ることができます。自身の目標を明確にした上でモデルを選定し、まずは服装や声のトーンなど外的要素から模倣することから実践してみましょう。

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