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エンゲージメント・サーベイを無駄にしない!サーベイ結果を組織改善に活かす方法

2023年12月20日更新

組織の「現状」や、組織と従業員の関係性を可視化する「エンゲージメント・サーベイ」。パフォーマンス向上や離職防止などの成果を期待して、実施を検討している人事担当者も多いでしょう。
しかし、エンゲージメント・サーベイを実施しただけでは成果には繋がりません。サーベイ結果をもとに組織改善施策を検討・実施することが重要です。

そこでこの記事では、エンゲージメント・サーベイの結果を無駄にせず、組織改善へ活かす方法や効果的に組織改善をおこなうポイントについて解説します。

目次 【表示】

エンゲージメント・サーベイとは

エンゲージメント・サーベイとは、エンゲージメント(従業員と組織の心的なつながり)を測定することで、組織の現状を可視化し、組織課題の改善に向けた示唆を得るためのツールです。

一般的にエンゲージメント・サーベイでは、働きがいや職場の人間関係・労働時間に対する満足度、仕事に対する意欲・達成感などに関する質問項目をアンケートで調査します。そして回答をデータとして収集し、組織のエンゲージメント状態を可視化します。

エンゲージメント・サーベイ実施のメリット

エンゲージメント・サーベイ実施のメリットは「組織改善を図るためのデータ(サーベイ結果)を収集し、そのデータをもとに組織の現状を可視化できること」です。エンゲージメント・サーベイでは、部署別・役職別・性別などの軸から多面的に分析したデータが得られるほか、「なにが現在のエンゲージメント状態を引き起こしているのか」という影響要因も測定可能です。

具体的にはサーベイ結果を踏まえて、次のような組織改善に繋げることができます。

  • ● 人事制度の見直しや職場風土を変革することで、離職率の低下が期待できる
  • ● 労働環境の改善により仕事に対する意欲・達成度をより高められ、生産性の向上が期待できる

しかしエンゲージメント・サーベイを実施するだけでは、上記のような成果に繋げることはできません。サーベイ結果をもとに組織課題の要因を分析し、その改善に向けた施策を立案・実施することで始めて、成果に繋げられるのです。

効果的に組織改善をおこなう4つのポイント

エンゲージメント・サーベイの結果をもとに、効果的に組織改善をおこなうための4つのポイントを解説します。

管理職に組織改善を促すアプローチをする

組織改善のキーが「管理職」であるケースが少なくありません。そのため、組織の状態を把握してもらうことを通じて、管理職一人ひとりに「主体的に組織改善をおこなうマインド」を醸成することが大切です。マインド醸成の一例として、「経営層から管理職へ経営理念やパーパスを継続的に発信し、理解と行動変容を促す」という取り組みがあげられます。

また管理職には、組織改善に繋がる「職場環境づくり」を進めてもらうことも有効です。たとえば、エンゲージメント・サーベイの結果「若手社員が主体性を発揮できていない」という課題が浮き彫りになった場合、若手社員が主体性を発揮しやすい環境を管理職に整えてもらうことで、課題解決を進められる可能性があります。

<若手社員が主体性を発揮するための、管理職のアクション例>

  • ● 管理職がチームの目的・方針・目標を、若手社員に浸透させるよう働きかける
  • ● 若手社員からの意見を管理職が聞く機会を設ける

このように組織改善を進めるうえでは、アプローチの対象として「管理職」の継続的な育成も重要です。

取り組むべき施策の優先順位をつける

エンゲージメント・サーベイの結果から課題の要因を仮定するだけでなく、仮定した要因のうち、どれから解決すべきか優先順位をつけて取り組むことも重要です。このとき、解決したい組織課題を明らかにしたうえでエンゲージメント・サーベイを実施しましょう。

サーベイ結果は数値化されるため、データをもとにした優先順位がわかります。それを踏まえ、取り組みやすさや期待される効果を総合的に判断して、取り組む施策を考えましょう。

たとえば組織課題・改善の目的・課題の仮説が以下のケースを考えてみます。

  • ● 課題:社員の離職が多い
  • ● 目的:定着率を向上させる
  • ● サーベイ結果から考えられる課題要因の仮説:
  • ①業務内容と社員のスキルにミスマッチが生じている
    ②人間関係に不満を持つ社員が多い

上記ケースで仮に「①業務内容とのミスマッチ」よりも「②人間関係に不満を持つ社員が多い」の方が、離職に与える影響が大きいことが判明した場合、取り組むハードルはやや高いものの②を解決する優先順位が高くなるでしょう。

取り組むべき課題要因の優先順位をつけ、組織改善の効果とスピードの最大化を目指しましょう。

スモールスタートで施策を実施する

組織改善だからといって、大きな施策から順番に実行する必要はありません。なぜなら、小さな施策でも十分効果が見込める場合があるためです。

たとえば、上司と部下の1on1を実施するだけでも、双方の相互理解や関係性の構築に繋がるかもしれません。

なお、施策は一部の組織・グループで部分的に実施するのも有効です。そこで効果が見込めた施策については、積極的に全社展開を検討しましょう。

効果検証をおこなう

組織の改善施策は、一度実施して終わりではありません。施策結果をもとに効果検証をおこない、PDCA(計画→実行→評価→改善)を回す必要があります。

その効果検証に有効なのが、定期的なエンゲージメント・サーベイの実施です。時系列順にサーベイ結果を比較して施策の効果を見極め、施策内容の改善を図っていきましょう。

エンゲージメント・サーベイの結果を組織改善に活用する方法

エンゲージメント・サーベイを成果に繋げるためには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、サーベイ結果を組織改善に活用する具体的な方法を3つ解説します。

管理職向けにワークショップをおこなう

1つ目は組織改善の要となる管理職に対し、アプローチする方法です。ポイントでもお伝えしたとおり、管理職は職場の風土や文化、雰囲気づくりに強く影響を与え、組織改善のキーとなります。具体的な方法のひとつとして、管理職向けのワークショップをご紹介します。

  • ① エンゲージメント・サーベイ実施の意図を参加者(管理職)に共有し、サーベイ結果の読み解きをおこなう
  • ② サーベイ結果をもとに、参加者が自組織の課題を共有しあう
  • ③ 課題解決(エンゲージメント向上)の方法をディスカッションする
  • ④ アクションプランを策定する
  • ⑤ アクションプランを実際に職場で実践し、後日振り返りの機会を設ける

ワークショップを通じて、管理職の感じている課題と目指す姿のギャップを明らかにして、サーベイ結果をもとにその要因を探っていきます。

なお、上記③④の過程で、他の参加者の意見を聞くことができ、多様な視点で課題解決策を検討し、アクションプランを導き出すことができます。

課題の要因を仮定し、研修を実施する

2つ目の方法は、組織が抱えている課題を引き起こしている要因について、サーベイ結果をもとに仮定し、その要因を改善できるような研修内容を検討・実施することです。

たとえば「若手社員の育成に時間がかかっている」という課題に対し、サーベイ結果から「若手社員が仕事の役割を認識できていない」ことがわかりました。そこで「組織として若手社員に求める役割が不明確」であることが、課題の要因だと仮説立てたとしましょう。

この場合は、組織が若手社員に期待する役割を明確にし、それを若手社員に認識させるような研修を実施することで、若手社員の意識変革および行動変容を促すことが期待できます。

加えて、研修の場だけでなく、現場に戻ってからも意識・行動の変化を促す仕組みづくりを現場と連携しながら構築することで、より高い改善効果が見込めます。

なお、教育体系(全社の研修をマップ化したもの)の作成・変更にもサーベイ結果は活用可能です。「なんとなく良さそうだから」という理由ではなく、根拠をもって教育体系の作成・変更ができるため、より成果の期待できるものに近づけることができます。

仮説立てた課題の要因に沿って、人事施策を変更する

3つ目の方法は、サーベイ結果をもとに組織の課題要因を仮説立て、その仮説を解決できそうな施策変更を実施することです。

たとえば、離職の多い要因が「人事評価の不透明性」にあると仮定した場合、人事評価のプロセスの公開や人事評価制度の見直しなどの対応が考えられます。

また部署間の連携不足の要因が「異部署間のコミュニケーション不足」と仮説を立てた場合は、会社として相互に意見交換ができる場の提供が必要でしょう。そのため、全社員が利用できるコミュニケーションツールを導入し、ツールの利用を促す施策の実行などが効果的かもしれません。

施策の変更にはそれなりの時間と労力がかかります。また、施策変更が相次ぐ事態も現場が混乱するため避けなければなりません。そのため、課題の要因を仮説立てるにあたっては、サーベイ結果を慎重に分析することが大切です。なお、場合によっては現場へのヒアリングを通して仮説をより強固なものにするのも有効です。

エンゲージメント・サーベイを活用して組織改善を図ろう

組織の現状や従業員の意向・傾向を把握できるエンゲージメント・サーベイですが、実施するだけでは組織を改善できません。サーベイ結果をもとに課題の要因を仮定し、課題解決に資する可能性の高い研修や施策変更を進めることが大切です。さらに施策の実施後には再度エンゲージメント・サーベイを活用して効果検証をおこないます。

エンゲージメント・サーベイの実施を第一歩として、組織改善を図っていきましょう。

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