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エンゲージメント・サーベイとは?従業員満足度調査との違いと活用のポイント

2022年06月16日更新

「従業員と組織の心的なつながり」をあらわす従業員エンゲージメント。ビジネスリーダーの間では定着しつつある概念です。エンゲージメントを上げようとしても、なにを見直したらよいか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。この記事では、エンゲージメント向上のための施策の一つ「エンゲージメント・サーベイ」について、従業員満足度調査との違いの説明と比較しながら解説します。

目次 【表示】

エンゲージメントとは?なぜサーベイが必要か

エンゲージメントとは

従業員エンゲージメントは、「従業員と組織の心的なつながり」のこと。エンゲージメントが高い状態とは、「従業員が自ら組織に貢献する意図を持って業務に打ち込んでいる」状態といえます。

エンゲージメントを高めることで、退職による人材流失の抑制や社員のパフォーマンス向上などが期待できます。人材流失を抑えることが出来れば、組織としてのスキルレベルを保った業務の安定的な遂行も期待できるでしょう。さらに社員のパフォーマンス向上は、アウトプットの質・量や顧客満足度の改善にも結びつき、業績の向上にもつながります。組織全体が活性化し、ポジティブな影響をもたらすことにつながるといえます。

従業員満足度とエンゲージメントのちがい

エンゲージメントとは違う従業員向けの指標として「従業員満足度(ES:Employee Satisfaction)調査」というものがあります。従業員満足度調査では、給与額・利用可能な休暇の日数・福利厚生・職場の人間関係など、従業員が組織の用意するものに満足しているか、個々人の満足の度合いを調査します。

従業員満足度が高いことはたしかに、離職率の低下など定着率によい影響を与えるでしょう。しかし、従業員の組織への貢献意欲をあげることにはなかなかつながりません。理由としては、組織に与えられるものを土台として成り立っていることがあげられます。従業員満足度がどれだけ高くとも、組織が従業員個人の期待するものを与えられなくなったときに、従業員と組織の関係に変化が生じてしまうことが考えられるのです。

対してエンゲージメントが高い状態は、従業員が組織の企業理念やビジョン・目標を理解し共感している、従業員と組織の期待が合致している状態といえます。従業員と組織の強い心的なつながりが土台となっているため、パフォーマンスの向上につながっていくのです。

サーベイの活用がエンゲージメント向上につながる

エンゲージメント・サーベイは、エンゲージメントを測定することで、組織の状態を可視化する診断ツールです。
エンゲージメント向上のためには、組織の現状を客観的に把握することが必要不可欠。現状を把握したうえで、理想とのギャップを解消するための施策を継続的に実行していくことが大切です。
そして現状の客観的な把握には適切なサーベイの活用が有効的、と考えられます。

エンゲージメント・サーベイを活用することで、従業員の「本音」を知り、組織全体の状態を可視化、結果をもとに現状の組織に必要な手立てを打ち、エンゲージメントの向上へとつなげることができます。
※注意すべきは、エンゲージメント・サーベイを使うとたちまち従業員のエンゲージメントが向上し、組織が活性化するわけではない、ということです。

エンゲージメント・サーべイの選び方

適切な調査実施のための準備、エンゲージメント・サーベイを選定する

適切な調査をおこなうためには、事前準備が欠かせません。サーベイの導入にあたってまずは、「どうしてエンゲージメント・サーベイを実施するのか?」「実施後どんなことを実現したいのか?」など、自組織におけるエンゲージメント・サーベイ実施の目的やゴールを定めることが必要です。

ゴールが決まったら、つぎは自社に適したサーベイはなにか。測りたい項目をどのくらい的確に測定できているのかという指標である「妥当性」、同じ方法で測定すれば安定して同様の結果が出るかといった「信頼性」、アウトプットから実際の施策にはどのように繋げられそうかといった「活用性」の3つのポイントを重視して選定していきましょう。

エンゲージメントサーベイの測定尺度

一般的にエンゲージメント・サーベイは、エンゲージメントスコア(組織のエンゲージメントの状態)と影響要因(エンゲージメントに影響を与える要素の状態)の2つの測定尺度から構成されています。

エンゲージメントスコアでは、エンゲージメント状態が「高い」のか「低い」のか、現在の組織の状態を把握。影響要因では、職場の人間関係・労働環境・給与・マネジメントなど、「なぜ」現在のエンゲージメント状態なのかという、要因を測定できます。

エンゲージメント・サーベイ活用の流れ

エンゲージメント・サーベイは実施すること以上に、実施前後、課題とどう向き合い施策を打っていくか検討・実行してくことが大切です。ここではエンゲージメント・サーベイ実施の流れと実施後にすべきことを解説します。

調査対象となる従業員へ説明をおこない、実施する

エンゲージメント・サーベイを実施する前に、調査対象となる従業員へ説明をおこないましょう。どんな形で活用されるのか、誰にフィードバックされるのか、誰が回答結果を見るのかといった説明が必要です。適切な説明がない場合は従業員の理解を得られず、結果として正直な回答と診断結果が出ないことも。

個人の回答結果が上司の目に触れ、評価に影響するかもしれないと感じた時点で、従業員は率直な回答をしなくなってしまいます。そのためエンゲージメント・サーベイは、あくまで組織の状態の診断であり「個人の回答結果が上司や同僚に見られることはない」などきちんと説明するとよいでしょう。

実施後は施策へ繋げるための検討が必要

エンゲージメント・サーベイを実施すると、組織の現状とその状態に影響を及ぼしている要因が明らかになります。自組織はどんなことができていて、どんなことに課題があるのか、明らかになった結果に対してきちんと向き合うことが重要です。

満足のゆく結果でなかったからといって「なんでこんなことになっているんだ」と、特定の誰かや部署を責めても改善にはなりません。エンゲージメント・サーベイはあくまで組織の状態を測るものであり、特定の個人の責任を追求するものではありません。結果については、人事部や経営陣だけでなく可能であれば従業員へも開示し一緒に検討することで、組織全体・従業員一人ひとりが働きやすい環境について考えることにもつながります。

継続して取り組む

エンゲージメント・サーベイにより明らかになる課題への施策はさまざま。施策をおこなっていく中であっても、新たな問題が浮上すれば、さらなる改善が必要となります。

エンゲージメント・サーベイは単発で終わらせるのではなく、半年~1年のスパンでPDCA(計画→実行→評価→改善)を回しながら課題解決につなげていくことが大切です。

エンゲージメント・サーベイで組織課題を可視化しよう

エンゲージメント・サーベイ実施の目的は、従業員の「本音」を知り、組織全体の状態を可視化することで見えた課題と向き合い、組織を活性化すること。

実施にあたっては、「なぜ実施するのか、実施によってなにを実現したいのか」といったことを従業員にしっかりと説明しましょう。実施後、組織の現状が明らかになったときには「組織のどこを改善すべきか、改善のためになにをすべきか」課題と向き合い、施策を実行します。

エンゲージメント・サーベイと、その結果を踏まえた改善施策を定期的におこなうことによってはじめて、従業員のエンゲージメント向上を達成できるのです。

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