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ナレッジマネジメントの基本と導入のポイント!SECIモデルとは?

2023年11月29日更新

会社のなかには有形無形問わず、さまざまな知識やスキル、ノウハウが存在しています。そして、そういった蓄積された“知”を組織全体で共有・活用する取り組みが「ナレッジマネジメント」です。
人材の流動化、ビジネス環境の急激な変化、働き方の多様化などを背景として、ナレッジマネジメントは多くの企業で取り入れられています。本記事では、ナレッジマネジメントの基本的な定義から、重要性や具体的な導入の流れまでを詳しく解説します。

目次 【表示】

ナレッジマネジメントとは?基本的な定義と概要

ナレッジマネジメントとは、知識や知見、スキル、ノウハウなど、業務上で利用可能な幅広い情報を「ナレッジ」と称し、それらを組織全体で共有し活用する経営管理手法です。1990年代に一橋大学大学院の野中郁次郎教授らによって生み出されたといわれています。

ナレッジマネジメントを実践することで、生産性向上が図れたり、新たなアイデアが生まれやすくなったりなど、さまざまなメリットが生まれます。さらに問題解決にも大きく寄与し、問題解決のスピードと効率も向上するでしょう。

なぜナレッジマネジメントが重要なのか?

人材の流動化が進んでいるため

近年、日本国内でも人材の流動性が高まるとともに、転職が決して珍しいものではなくなりました。その結果として、意識的にナレッジを蓄積・共有する仕組みを設けない限りは、組織からナレッジが喪失してしまうことが避けられない状況となっています。

また、産休や育休、介護などのライフイベントで休職をしなくてはいけないケースでも、その社員が持っていたナレッジは一時的に組織やチームから失われてしまいます。

そのような背景から、企業が事業を継続していくために、それぞれの社員が保有しているナレッジを収集し、管理するナレッジマネジメントが必要とされているのです。

激しいビジネス環境の変化に対応するため

ビジネス環境の目まぐるしい変化やデジタル技術の進歩なども、ナレッジマネジメントが重要視される理由のひとつです。市場のニーズや競争環境は日々変化し続けており、企業が生き残るためには変化に対応する速度と柔軟性が欠かせません。

そのような背景から、新たな知識や情報を迅速に取り入れ組織内で共有し、価値創造につなげていく必要があるのです。

最近ではデジタルツールでできることの範囲がどんどん広がっており、ナレッジマネジメントに取り組む人的コストも下がっているといえるでしょう。

たとえば、クラウドストレージや共有プラットフォームを利用すれば、組織内のメンバーがリアルタイムに情報を共有しあい、ナレッジを効率的に活用できるようになります。ナレッジマネジメントに関するツールを手軽に導入できるようになったことで、中小企業やリソースが限られた組織でも取り組みやすい環境が整ってきているといえるでしょう。

ナレッジマネジメントのメリット

ナレッジマネジメントに取り組むことには、さまざまなメリットがあります。

業務効率・生産性が向上する

ナレッジマネジメントの考え方を組織に取り入れることで、業務効率や生産性が向上します。たとえば、あるセールスパーソンが独自に生み出した効果的な営業手法を組織全体で共有できれば、ほかの社員も同じ成功体験を得られる可能性が高まります。

また、失敗を犯してしまった場合も、組織でその事例を共有し、再発防止に努めることができれば、同じミスを繰り返しづらくなるでしょう。その結果として、組織全体の業務効率・生産性の向上が期待できます。

新たなアイデアが生まれやすくなる

ナレッジマネジメントは、新たなアイデアやイノベーションが生まれやすい環境づくりにも寄与します。なぜなら組織内でナレッジ共有されれば、人や部門を横断してさまざまなナレッジが交差するからです。すると、蓄積されたナレッジが有機的に作用し、新たなアイデアが生まれやすくなります。

たとえば、商品開発とマーケティングのナレッジが相互に共有されることで、マーケティングチームは商品の特性を活かした新しいマーケティング戦略を立てられるようになり、逆に商品開発チームは市場の動向や顧客の声にもとづいた新たな商品開発のアイデアが生まれやすくなります。

意思決定の質が高まる

ナレッジマネジメントの実践により、質の高い意思決定が可能となります。過去の事例や知識にもとづいて意思決定プロセスを進めることで、新規プロジェクトにおいても適切な判断で業務を遂行できます。組織全体で情報を共有することで、各部署でより的確な判断がおこなわれ、戦略的な成果を上げることができるでしょう。

人を育てやすくなる

ナレッジマネジメントは、社員の教育・育成にも効果を発揮します。教育内容がナレッジとして組織内で共有されていると、教える側はそれを体系的に教えることができ、学ぶ側もそれを効率的に身に付けられるでしょう。

最近では、動画を使った社員教育の仕組みを導入する企業も増えています。社内に存在するナレッジを上手に共有できれば、教育にかかる時間や手間を大きく削減することも可能です。

ナレッジマネジメントのフレームワーク「SECIモデル」

ナレッジマネジメントを実践するうえで役立つのが、「SECIモデル」(セキモデル)と呼ばれるフレームワークです。このモデルを活用することで、組織内部での知識共有のプロセスを可視化できます。

SECIモデルは4つのステップから成り立ち、それらのステップを繰り返しながら「暗黙知→形式知」もしくは「形式知→暗黙知」という変換を繰り返します。なお、暗黙知とは、言語化されていない個人が持つ知識や経験などのことを指し、形式知とは明文化・マニュアル化されているナレッジなどを指します。

【SECIモデルの4つのステップ】

共同化(Socialization):個々の暗黙知を他者に伝えるために、共同体験を通じてナレッジの共有をおこないます。具体的にはOJTや営業の同行など、直接的な経験を通じて得られる主観的なナレッジの共有を目指します。

表出化(Externalization):暗黙知を形式知に変換するステップです。暗黙知は個人特有のものであり、他者と共有するためにはそれを言語で表現しなくてはなりません。言葉、映像、図表、比喩、ストーリーなどを用いながら、暗黙知を形式知に変換し、組織でナレッジを共有できるようにします。身近な例としては、作業や業務のマニュアル化が表出化のプロセスに該当します。

連結化(Combination):言語化された形式知が組織内で共有されたうえで、今度はそれらを複数組み合わせ新たなナレッジを生み出していきます。たとえば、複数の形式知を組み合わせ新たな方法で業務の効率化を図るといった具合です。連結化のプロセスを通じて、言語化された形式知がより汎用性の高いナレッジへと発展します。

内面化(Internalization):組織の形式知を各個人が体得し、それによってさらに暗黙知を獲得するフェーズです。業務に関するマニュアルを実践するといったケースが内面化に当たります。マニュアルを見なくても問題なく業務をこなせるようになれば、徐々に自分なりの工夫もできます。それこそが形式知から生まれる暗黙知であり、それがまた共同化のステップへと発展します。

SECIモデルは、この4つのステップを絶えず繰り返していくのが特徴です。そうすることで組織内のナレッジが深まっていき、組織の持続的な成長につながります。

ナレッジマネジメント導入の流れ

ナレッジマネジメントの導入は、計画的におこなうことが大切です。ここではその流れを順番に解説します。

目的の明確化と共有

まずはナレッジマネジメントを導入する目的を具体的に定め、それを組織内で共有します。そのメリットと目的を明確に示すことで、社員それぞれがその活動を自分ごととして捉え、積極的に関われるような環境を整えます。

共有すべき情報の決定

目的が決まった後は、「具体的にどのような情報を共有すべきか」を検討します。その際には、社員がどのような情報を必要としているかをリサーチし、それにもとづいて共有すべき情報を決定するとよいでしょう。

情報共有の場の整備

続いて、情報共有をスムーズにおこなえる環境・場を整備します。よくある例としては、文章や日報の共有ツールを導入したり、社内SNSを利用して情報共有を促したりする取り組みが挙げられます。また、ナレッジの共有を評価指標に加えて、社員が情報共有を自発的におこなえるような動機づけをするのもいいでしょう。

定期的な見直し

ナレッジマネジメントの仕組みを構築した後も、定期的に状況を見直し、目指した成果が出ているかを確認します。見直しをすることで問題点が明らかになり、それを改善することでナレッジマネジメントの質がよりいっそう高まっていきます。

ナレッジマネジメントを導入して組織全体の成長を促進しよう

ナレッジマネジメントは、個人が持っているナレッジを組織全体で共有し活用する経営管理手法です。現代の労働環境やビジネス環境の急速な変化に対応するためにも、その重要性はますます高まっています。

ナレッジマネジメントに取り組むことで、業務効率の向上、イノベーション創出、意思決定スピードのアップなどが期待できます。実践するにあたっては、紹介した導入の流れを参考に、組織内の情報共有がスムーズにおこなわれるような仕組みを検討しましょう。

ナレッジマネジメントを導入して、組織全体の成長を促進してみてはいかがでしょうか。

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