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【研究論文】タレントマネジメントの探求 vol.3

2022年03月09日更新

前回のタレントマネジメントの探求vol.2(HR Trend Report vol.4掲載)では離職についてお話ししました。今回は、離職を防ぐためのリテンション(以下、定着)施策に注目したいと思います。

定着と一言でいってもさまざまな種類の施策があります。例えば、ハイパフォーマーのモチベーション向上のための業績連動型評価や、新入従業員の早期離職を防ぐRealistic Job Preview(以下、RJP)(※1)など、対象から手法までさまざまです。

本論文では、対象を全従業員とし離職防止または定着を促す施策にフォーカスしてお話しできればと考えています。

※1:採用活動の段階で、組織や仕事について良い面だけ伝えるのではなく、悪い面や実情も含めて情報提供することを意味します。

目次 【表示】

1章 組織において従業員の定着(リテンション)がなぜ必要なのか~組織の抱く課題~

組織が重要視している従業員の定着(リテンション)ですが、そもそもなぜ重要視されているのでしょうか。前回のおさらいを兼ねて、その背景を整理したいと思います。

1つめは、労働力の不足です。原(2017)によると、日本企業は日本の総人口の減少、生産年齢人口(15~65歳までの労働人口)の減少、人口の高齢化という問題に直面しており、労働力の獲得難易度が上がっています。

2つめは、人材の流出です。終身雇用制度が薄れたことや転職サービスの発展などによって、転職へのハードルが低下し、人材が流出しやすくなっています。

これらの背景により、従業員の定着の重要性が高まってきているのです。

また、人材流出によって企業が負担するコストへの意識が高まっていることも後押ししています。もし定着施策を実施せずに人材流出が加速すると、次のようなコストやリスクが発生してしまいます。

①人材を採用するために掛けるコスト(採用広告費、人件費など)の増大
②採用した人材に掛けるコスト(教育費など)の増大
③人材不足による他従業員の業務負担増加に起因する不満の発生
④人材流出による企業のブランドイメージの低下(退職者が多いという噂が採用業務促進を阻害する可能性)

労働力の不足、人材流出、また人材流出によって生じるコストの負担は組織の業績低下に繋がってしまう、だからこそ従業員の定着が重要視されているのです。

2章 定着施策の実態

前章で定着施策が重要視されている背景を見てきました。この章では、実際にどのような定着施策が各企業で実施されているのかを見てみましょう。

定着施策では現在の状況をもとに、組織の現状、資産に合わせて個別具体的な対応をしていると思います。では、実際に日本ではどのような定着施策が実施されていることが多いのでしょうか。一例として厚生労働省の調査結果(表1)をもとに、若年労働者を対象とした施策を見てみましょう。

表1から、次の3つの特徴が見てとれ受けられます。
①調査対象の事業所のうち、72.0%が何らかの定着施策を実施している
②調査対象の事業所のうち、半数(50%)以上で実施されている施策は3つ
 ・職場での意思疎通の向上(59.0%)
 ・本人の能力・適性にあった配置(53.5%)
 ・採用前の詳細な説明・情報提供(52.0%)
③前回(平成25年)調査時から実施事業所数が5%以上増加した施策は2つ
 ・労働時間の短縮・有給休暇の積極的な取得奨励(11.9%増加)
 ・仕事と家庭の両立支援(ワークライフバランス)(6.9%増加)

およそ7割の企業において何らかの定着施策が実施されていることから、定着施策自体の重要性は広く認知されていることが分かります。

そのうち、職場内コミュニケーションの促進は6割近い企業で実施されていることから、多くの企業がコミュニケーションに課題を抱えていることがうかがえます。また、個人の適性にあった配置も5割程度の企業で実施されており、個人のキャリアパスへの配慮や個人の生産性向上への意識、あるいは仕事の専門性の考慮が進んでいることも分かります。さらに、RJP(採用前の詳細な説明・情報提供)も半数以上の企業で実施されていることから、採用段階でのミスマッチを減らす方向性が重視されていることもうかがえます。

また、平成25年~30年の5年間でダイバーシティ推進やワークライフバランスへの取り組みが国主導で行われていたこともあり、労働条件の改善に取り組む企業が増えてきています。

次に、表1の定着施策をExperience & Growth(以後、E&G)の各プロセス(図1)に当てはめて整理してみましょう。(E&Gは弊社独自に作成したタレントマネジメント実践のためのプロセス図です。ご興味ある方は「タレントマネジメントの探求」(HR Trend Report vol.3掲載)をお読み下さい。)これらをまとめると、表2のようになります。
 

表2から、「採用」「配置」「教育」のプロセスでは、およそ半数~半数以上の企業で定着施策が実施されていることが分かります。

一方で、「戦略」におけるプロセスで定着施策を実施している企業は20%~40%と半数以下にとどまっており、「組織開発」「評価」「キャリア」「モチベーション」「エンゲージメント」のプロセスではほとんど実施されていないのが現状です。もちろん、「組織開発」「キャリア」「モチベーション」「エンゲージメント」のプロセスで定着施策を実施している企業が全くない訳ではないと思いますが、実施している企業が少数であったり、実施していても定着施策と関連付けて考えられていないのかもしれません。

タレントマネジメントの探求(HR Trend Report vol.3掲載)にて、E&Gのプロセス全体における統合的な施策を実施することで、組織としてうまく機能していく可能性が高いというお話をしました。同様のことが、定着施策においても言えると考えられます。というのも、定着施策が実施されていないプロセスにおいて、従業員が離職意思を高めてしまう可能性があるためです。その点において、現在の日本の定着施策については改善の余地がありそうと言えるでしょう。

「【研究論文】タレントマネジメントの探求 vol.3」続きは下記フォームよりダウンロードください。

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