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コロナ禍において内定者フォローはどう実施すべき?2021年卒の調査データから読み解く

2021年05月12日更新

近年、人材採用は売り手市場が続き、企業間では新卒者の獲得競争が激しさを増しています。しかし、せっかく内定を出したものの、さまざまな理由によって学生側から内定辞退を申し出る場合もあります。このようなリスクを少しでも軽減するため、内定者フォローを重視する企業が増えています。

コロナ禍において採用活動はさまざまな制約を受けていますが、そのような状況下で効果的な内定者フォローはどのように実施すればよいのでしょうか。今回は、2021年卒業者を対象としたマイナビ独自のアンケート調査の結果を参考に、詳しく解説していきます。

目次 【表示】

内定者フォローとは

内定者フォローとは、内定辞退を防ぐために、内定を出した学生に対して入社までの間におこなう施策やフォローのことを指します。なお本記事では、内々定者向けの施策・フォローのことも内定者フォローと呼ぶこととします。

内定が決まったあと、企業側から学生に対して一切の連絡やフォローがないと、「本当にこの会社でやっていけるのか」といった不安を覚える学生も少なくありません。また「他の内定者にはどのような人がいるのか」「会社の人と良好な人間関係が築けるか」など、対人関係に不安を覚え、内定辞退につながるケースもあるでしょう。

そのような不安を払拭するために、内定が決まってから入社までの間に密なコミュニケーションをとり、安心して入社してもらえる環境を整えるうえでも内定者フォローは重要です。

新型コロナウイルスに大きく影響を受けた2021年卒

2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(※以降の文章では、「新型コロナウイルス」とする)の影響もあり、会社説明会や採用面接をオンラインに移行した企業が少なくありませんでした。また、当初予定されていた説明会やインターンシップが中止になるケースもあり、計画通りに就職活動を進められなかった学生が多かったことがうかがえます。

マイナビが2020年6月から7月に調査した「2021年卒内定者意識調査」(※1)によると、新型コロナウイルスの影響が出る以前に就職活動をおこなった2020年卒は、2社以上の内々定をもらった学生は全体の58.7%でした。それに対して、2021年卒は50.2%にまで減少しています。全体の傾向として売り手市場が続いているとはいえ、2022年卒に対しても影響を及ぼす可能性は高いといえるでしょう。

内々定が出た時期を2020年卒と2021年卒で比較してみると、2020年4月中旬頃までは前年の2020年卒を上回るペースだったものの、4月下旬以降になると一転して鈍化。内々定をもらい、「入社予定先の企業を決めたか」という問いに対して「決めて就職活動を終了した」と回答した学生が2020年卒で71.3%であったのに対し、2021年卒は60.8%と減少しています。

一方で「ほぼ決めたがまだ就職活動継続中」、または「まだ決めていない」と回答した学生は2020年卒が28.7%であったのに対し、2021年卒は39.3%にも上りました。

内々定辞退者の割合は少数

マイナビが2020年6月に調査した「2021年卒企業採用活動調査」(※2)の結果によると、内々定の辞退率を前年の2020年卒と比較した場合、「前年より高い」と回答した企業は10.1%、「前年並み」と回答した企業は51.4%、「前年より低い」と回答した企業は38.6%であったことがわかりました。

新型コロナウイルスによって早期退職や雇い止め、内定取り消しなど、労働者にとってネガティブなニュースが多かった2020年。就職活動をする学生に、「万が一、内定が取り消しになったら」という不安もあってか、すでに内々定が決定している企業に対して、辞退を申し出る学生は少なかったことがわかります。

2021年卒が内定後に抱いた不安とは?企業が行ったフォローの内容

一度は内定を受諾したものの、その後に辞退するのは、学生がさまざまな不安を抱えているケースが多いものです。具体的にどのような不安を抱えているのかを、企業が実施したフォローの事例とともに解説します。

「内々定者同士の交流機会の減少」や「内々定の取り消し」への不安が増加

「2021年卒内定者意識調査」では、入社予定先を決めている学生に対し、「不安になったことがあるか」という質問をしたところ、「不安になったことがある」と回答した学生が61.0%でした。2020年卒の61.4%と比較すると、割合はほとんど変わっていないことがわかります。

しかし、不安になった理由について分析してみると、「他の内々定者と会う機会がない」が13.8%(2020年卒は6.3%)、「内々定の取り消しがあるかもしれないと思って」が13.5%(2020年卒は8.5%)と、前年と比較して顕著に上昇した項目がありました。

これらは、新型コロナウイルスによって企業の採用活動が制限されたことも影響していると考えられます。実際に内定取り消しの話題はニュースでも取り上げられたことから、学生にとっての不安を倍増させる大きな要因になったことがうかがえます。

企業による学生へのフォローが不安を払拭

企業の立場で考えると、2020年度は新型コロナウイルスによって採用活動が従来に比べてさまざまな制約を受けた1年であったほか、「内定辞退者が増えるのではないか」といった不安要素もあったことでしょう。「2021年卒内定者意識調査」の回答にもあった「他の内々定者と会う機会がない」「内々定の取り消しがあるかもしれないと思って」などの項目は、内定辞退にもつながる可能性があります。

そのような中で、コロナ禍でも対応可能なオンラインでの内定者同士の交流や人事担当者とのコミュニケーションに力を入れ、内定辞退を防止する取り組みを強化した企業が多かったようです。

マイナビが2020年7月に調査した「2021年卒 学生就職モニター調査 7月の活動状況」(※3)によると、「人事担当者とWebを通して話し合った」「Webの内々定者懇親会に出て」「先輩社員とWebを通して話し合った」などのフォローにより、不安が解消されたと回答する学生もいました。

2022年卒者に対して企業がフォローすべきことは?

2021年卒者の就職活動はコロナ禍によって大きな影響を受けましたが、2022年卒者が就職活動をおこなう2021年度も引き続き影響が出ることが予想されます。2022年卒者が内定獲得後、企業はどのようなフォローをおこなうべきなのかを解説しましょう。

内々定者との交流の機会を設ける

2021年も半ばに差しかかった現在においても新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、就職活動が本格化する近春以降も2020年度と同様に「他の内々定者と会う機会がない」と不安を抱く学生が増えることが予想されます。

そのような不安を解消するためには、まずは内定式のような交流の場を設けることが効果的といえるでしょう。内定式は内定者同士の交流の場になると同時に、入社までのスケジュールや予定をあらためて確認できる機会でもあり、少しでも学生の不安を払拭することにつながります。

従来のような対面形式での開催は難しくても、いくつかのグループに分けてオンラインで開催することも検討してみましょう。また内定式のほかにも、オンライン上での内々定者同士の懇親会を実施する方法もあります。

Webを活用し悩みや相談に対応する場を設ける

内々定を出した後、企業側からアプローチや連絡がないと「内定取り消しになるのではないか」と不安を抱く学生も多いため、こまめな連絡を心掛けることも重要です。

2021年卒者の中には、人事担当者や先輩社員とWebを通して対話したことにより、不安の払拭につながったケースもありました。コロナ禍によってさまざまな制約がある中でも、オンラインを活用することで学生も気軽に相談でき、内定辞退を未然に防止することにもつながっていきます。

まとめ

就職活動におけるさまざまな調査データを振り返ってみると、新型コロナウイルスは就職活動にさまざまな影響をもたらしたことがわかります。学生にとっては内定取り消しになる不安があり、一方で企業にとっても学生から内定が辞退され、予定していた人材が確保できないかもしれない、といった不安があったことでしょう。

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、2021年度の採用活動も、説明会や面接、インターンシップなど、さまざまな場面で制約を受けることが予想されます。内定辞退のリスクを最小限に留めるためにも、オンラインによる交流の場や対話の機会を設けるなど、適切なフォローを行いましょう。

<出典>
※1.株式会社マイナビ:「2021年卒内定者意識調査」
※2.株式会社マイナビ:「2021年卒企業採用活動調査」
※3.株式会社マイナビ:「2021年卒 学生就職モニター調査 7月の活動状況

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