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新入社員の育成とも関連が高い社会人基礎力|企業が注目する理由を解説

2022年02月02日更新

時代の変化とともにビジネス環境も大きく変わり、新入社員も早期戦力化が求められるようになりました。戦力化と聞くと、一般的には実務に関する能力やスキルを身につけることをイメージしがちですが、実務能力以外にも業種や職種を問わず幅広く求められている「社会人基礎力」が存在します。

今回の記事では、社会人基礎力とはなにか、なぜ社会人基礎力が求められるのかを紹介するとともに、能力評価に関して評価者(上司や先輩)と新入社員の間にギャップが生じた場合の対処法も詳しく解説します。

目次 【表示】

新入社員の早期戦力化が必要な理由

新入社員の早期戦力化が求められるようになった背景のひとつに、日本における労働人口の減少が挙げられます。国勢調査の結果では、15〜64歳の生産年齢人口は1995年に8,700万人でしたが、2015年には7,700万人まで減少。さらに、2060年には4,800万人まで減少すると予測されています。

また、総務省が毎年実施している「労働力調査」では、60歳以上の労働力人口の割合が年々増加しているのに対し、15〜24歳の若年労働者の割合が減少傾向にあることもわかっています。1990年代まで若年労働者の割合は12〜13%台で推移してきたものが、2000年代以降は10%以下が続いており、減少率は深刻といえるでしょう。

また、昨今はVUCA時代といわれ、企業を取り巻く環境も不確実で将来の予測が困難な状況になっています。日本全体の労働人口が減少し、若年労働者の割合も下がっており、かつ「VUCA時代」においても、企業は生産性の維持・向上を目指さなければなりません。

新入社員にもいち早く戦力となってもらわなければ、生産力の維持・向上が困難となり、企業存続のリスクにつながる恐れもあるでしょう。そのため、企業は新入社員にも早期に戦力となってもらい、生産力を維持・向上させる必要があるのです。

なお、新入社員を早期戦力化する方法のひとつとして、「育成や学習の個別最適化」が注目を集めています。なぜなら、画一的な教育プログラムによる育成よりも、個人の特性に合わせた教育・育成のほうが、定着・実践の機会が高まるためです。個別最適化するには、新入社員一人ひとりの現在の能力を把握することが重要といえるでしょう。また、社会人のベースとして必要な社会人基礎力についても、個別最適化した育成をしていくことがひとつの観点として有効といえます。

社会人基礎力が求められる背景とメリット

では、職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な力である「社会人基礎力」の詳しい概念と、なぜ社会人基礎力が求められるのかもあわせて解説しましょう。

社会人基礎力とは

社会人基礎力とは、経済産業省が2006年に提唱した概念で、以下の3つの能力と12の能力要素に分けられます。

前に踏み出す力:「主体性」「働きかけ力」「実行力」
考え抜く力:「課題発見力」「計画力」「創造力」
チームで働く力:「発信力」「傾聴力」「柔軟性」「情況把握力」「規律性」「ストレスコントロール力」

いずれの能力も組織やチームの一員として働くうえで重要なものであり、業種や職種を問わず幅広い場面で求められます。

教育現場と社会のギャップを解消する社会人基礎力

社会人基礎力が提唱された大きな目的は、教育現場と社会のギャップを解消することが挙げられます。高校や大学といった教育現場では、生徒や学生の学力を高めることが重視される傾向があります。

しかし、学力を向上させたからといって、社会に出た後に即戦力人材として活躍できるとは限りません。企業が人材を採用するにあたって、学業の成績だけではどのような人材かを判断することは難しいものです。

そこで、社会人として広く求められる能力を社会人基礎力として定義づけ、身につけてもらうことで、教育現場とのギャップを解消できるようにしたのです。

新入社員へ社会人基礎力を身につけさせるメリット

新入社員が社会人基礎力を身につけることによって、企業にはさまざまなメリットがあります。

たとえば、主体性や働きかけ力が身についていれば良好なチームワークを維持でき、社員同士の連携不足が解消され業務がスムーズに遂行できるでしょう。その結果、社内の業務効率化が進み生産性向上も期待できます。

また、課題発見力や柔軟性が身についていれば、あらかじめ指示された業務だけでなく、自ら課題を発見し改善を図ることにより、想定外のトラブルや問題が発生しても臨機応変に対応できるようになるでしょう。

新入社員と評価者の能力評価ギャップ

社会人基礎力を身につけるために、まずは新入社員一人ひとりの現在の社会人基礎力の現状を把握することが必要です。新入社員の自己評価と周りからの客観的な評価にはギャップが生まれることもあります。

では、新入社員の社会人基礎力の発揮度合いを客観的に把握できる評価者は、彼らをどのようにみているのでしょうか? 実際に、マイナビ研修サービスが提供している「社会人基礎力診断」のデータを分析したところ、以下のようなギャップがあったことがわかりました。

新入社員の自己評価より評価者の評価が高い項目

「発信力」と「ストレスコントロール力」は、評価者(上司または先輩社員)の評価のほうが高い傾向が見られました。また、「実行力」や「規律性」、「計画力」、「情況把握力」などの能力要素も、わずかに評価者からの評価が高い傾向にあります。

上記のように、新入社員の自己評価が低くく、評価者の客観的な評価のほうが高い能力要素があった場合には、その能力が発揮しやすい業務を積極的に任せてみるとよいでしょう。

ただし、「ストレスコントロール力」については、新入社員が評価者に対してストレスを感じている様子を見せないようにしているだけの可能性もあります。心のなかではストレスを抱えているケースもあるため、悩みを打ち明けてもらえるよう相談に乗ることも重要です。

評価者の評価より新入社員の自己評価が高い項目

「傾聴力」や「課題発見力」、「柔軟性」の能力要素については、新入社員の自己評価が高い一方で、評価者の評価が低い傾向が見られました。

評価者からの「課題発見力」や「柔軟性」の評価が低い理由として、新入社員は上司や先輩社員から業務を教えてもらう機会が多いことから、業務課題を発見し、柔軟性を発揮できるだけの機会や経験を持ち合わせていないだけのケースも考えられます。

重要なのは、なぜギャップが生じているかを具体的な新入社員の行動に照らし合わせて考えることです。そのうえで、1on1などを通して新入社員へフィードバックしつつ、改善に向けた行動に対し合意を得て、相互理解ができている状態で指導に臨むようにしましょう。

新人研修とあわせて社会人基礎力の可視化を目指そう

新入社員の育成においては、業務に必要な能力を身につけてもらうこととあわせて、社会人基礎力を身につけてもらうことも重要なポイントです。社会人基礎力を含め、新入社員がもともと持っている能力は一人ひとり異なるため、まずは自己評価や評価者評価による現状把握を行いましょう。

そして、新入社員と人材育成を担当する先輩社員や上司との間で、能力の発揮度合いの認識を合わせ、新入社員一人ひとりに最適な育成をしていく必要があります。そのためには、社会人基礎力の現状を把握するためのサービスを活用するのも有効です。

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