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2022年度 意識調査から読み解く新入社員の傾向と関わり方のポイント

2022年08月17日更新

コロナ禍での就職活動2年目となった2022年4月入社の新入社員。2021年に引き続き、生活におけるさまざまな活動が制限されたり、学業や就職活動の形式や形態が変わったりと、前例のない経験を経て社会人になった世代であるといえます。

変化への対応が求められる局面も多く、そうした時流に柔軟に対応しながら就職活動を進めてきたと考えられますが、『2022年卒 学生就職モニター調査』(※)からWeb面接が80%を超えており、オンライン主体の活動であったことがわかります。そのため、実際の社会人生活や働くことに対して少なからず不安を抱いている新入社員もいることでしょう。

マイナビ研修サービスでは、2022年入社の新入社員4,306名を対象とした意識調査を実施しました。本調査では、18の設問を通じて新入社員の「社会人生活に対する期待や不安」や「働くことに対する価値観」を明らかにしています。過去5年間の同調査結果との比較も踏まえながら、2022年度新入社員の傾向をみていきましょう。

(※)2021年4月に就活生が受けた面接のうち、Web面接が占める割合は、4月前半が84.7%(前年同時期比2.1pt増)、4月後半が81.8%(前年同時期比12.8pt減)(マイナビ『2022年卒 学生就職モニター調査 4月の活動状況』)

<調査概要>
・調査期間/2022/3/29~2022/4/12
・調査方法/記入選択式アンケート
・調査対象/弊社 が提供する新入社員研修に参加した新入社員
・有効回答数/4,306名
※2017年~2021年の調査比較(2020年は調査実施なし)
※構成比の数値は、四捨五入しているため、100%にならないことがあります。
※未回答を含まないグラフもあります。
>>2022年度新入社員意識調査のダウンロードはこちら

 

目次 【表示】

2022年度新入社員意識調査結果

2022年度新入社員について回答結果からわかることとして、主に以下3点があげられます。

「考え抜く力」「チームで働く力」が足りないと考えている

問1「あなたが今、会社で発揮できる力はどのような力だと思いますか」では「相手の意見を丁寧に聞く力」が46.9%(昨年比0.2pt減)が1位の項目となり、問2「これから自分に必要だと思う力は何ですか」では、「自分の意見をわかりやすく伝える力」が37.2%(昨年比1.5pt減)となりました。

この設問での特徴は『考え抜く力』『チームで働く力』(※)に関して、9項目中6項目において過去最低(2018年~2022年内)の数値となっている点です。一方で『前に踏み出す力』については、2021年度調査結果との大きな差は見受けられません。

(※)問1、問2は経済産業省が提唱する『社会人基礎力』12の要素にもとづいて作成されています。調査項目「物事に進んで取り組む力」=主体性といったように、それぞれの項目が『社会人基礎力』12の要素と対応しています。尚、経済産業省によると、12の要素はさらに①前に踏み出す力(主体性、働きかけ力、実行力)、②考え抜く力(課題発見力、計画力、創造力)、③チームで働く力(発信力、傾聴力、柔軟性、情況把握力、規律性、ストレスコントロール力)の3つに定義されています。

指導に対しては厳しさよりも「優しさ」を求める

問7「先輩にはどのように接してほしいですか」において、「優しく接してほしい(“どちらかといえば優しく接してほしい”含む)」が91.9%(昨年比4.1pt増)となりました。

特に「優しく接してほしい」という回答は約半数の新入社員が選択しており、2018年度と比較すると17.5pt増加していることがわかります。

社会人になる「ストレス」は感じながらも対応力がある

問16「社会人になることに対してストレスを感じたことはありますか」という設問に対し「ある」と「どちらかといえばある」を合計すると80.5%となり、過去5年間のうちで最多となっています。

一方で、問17「ストレス耐性(ストレスへの抵抗力)の有無について、お聞かせください」では過去最多の31.0%の新入社員が「ある」と回答しており、また問18「ストレスから身を守る術をもっていますか」という問いに対しても過去最多の85.9%の新入社員が「もっている」と回答しています。

2022年度新入社員の特徴

2022年度新入社員が過ごしてきた環境も踏まえながら調査結果を分析してみると、以下のような特徴があると考えられます。

周囲の人と関わりながら目標を達成する経験が不足している

2022年度新入社員は、学生生活の半分以上の時間がコロナ禍の影響を受けており、学業、部活・サークル、アルバイトなどを通して対面で多くの人と関わる機会が不足しているといえます。

他には、問9「仕事とプライベートについて、お聞かせください」の回答からみられるように、プライベートを重視する傾向があります。他の設問からも業務時間外に仕事に関する事柄は避けたいという意識があることが特徴です。

ただし、必ずしも新入社員の協働意欲が低いと言い切ることはできません。問2「これから自分に必要だと思う力は何ですか」において「他人に働きかけ巻き込む力」「意見の違いや立場の違いを理解する力」「自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力」が、3年前と比較すると2021~22年で軒並み減少していることからも、単純に“共に成果を上げる”“共に価値を生み出す”といった他者と協働する経験が少ないために、その重要性を体感できていない可能性が考えられます。

自ら情報を取りにいったり、目標に向けて実行したりする意識が高い

問1において「目的を設定し確実に行動する力」が過去最高の数値となっています。これは、コロナ禍の就職活動で縦・横の関わりにおける情報収集機会が減るなか、情報不足にならないよう努めていたことが背景にあるかもしれません。

また、問8「上司や先輩から特に指導してほしいことはどんなことですか」に対し、「専門知識」と回答した割合が5年前と比較すると12.1ポイント下がっています。

一方で、前述の通り直接人と関わる機会が不足したことが影響したのか、「マナーや社会常識」といった実務的な部分を教えてもらいたいという回答が5年前よりも3.6ポイント増えています。

これらを踏まえると、情報に対する感度が高い一方で“検索すれば得られる知識はまず自分で調べる”特徴があることがわかり、得られた知識や情報をもとに確実に実行に移したいという意識が垣間見えます。

ストレスへの対応力が高く、自身の内面や意志を重視する

問16のストレスに関連する回答からもわかるように、コロナ禍による学生生活や就職活動という異例の経験をしたためか、2021年度から継続して社会人になることに対して不安を抱いている新入社員が多いようです。

ただし、そうしたストレスの多い環境下で対応する力が養われていることも、問17や問18からの回答から読み取れる事柄であり、ストレスに対する耐性が高いという“自認”があることも事実でしょう。

さらに、問6「社会人として仕事をしていく上で重要だと思うことは何ですか」において、2021年は「人への影響」「社会貢献」「良好な人間関係」「多様性」の回答数が多かったのに対し、2022年は「成功・評価・地位」「収入」「楽しさ」のポイントが上がっており、自己成長意欲が高いという特徴が表れています。

2022年度の新入社員との関わり方でおすすめしたい3つのポイント

このような新入社員の傾向と特徴に対して、受け入れ側の上司・先輩として留意したい3つのポイントをご紹介します。

仕事の本質や、協働して成果を上げることの意義を明確に伝える

日々の仕事において求められる成果を生むためには、他者と協働しながら業務に取り組むことが必要不可欠です。

他者との協働経験が不足している新入社員に、周囲との協働イメージを高めさせるためにも、まずは仕事の意味や、どういう価値提供を期待しているのかを具体的な言葉でしっかりと伝える必要があります。

「協働することが自分にとってどのような成長につながるのか」を新入社員自身に考えさせることも一つの手といえるでしょう。2022年度新入社員の特徴として、自ら成長していく意欲が高く(問6)、また、実行力も高い(問1)ため、腹落ちして行動に移してくれることが期待できます。

新入社員の不安に寄り添うコミュニケーションを心がける

先輩にのぞむ関わり方(問8)からもわかるように、新入社員の傾向として、会社内のコミュニケーションに関して厳しい指摘や指導を求めない姿勢が見受けられます。

そうした思いを尊重しながら、新入社員が抱えるさまざまな不安に対して受け入れ側が理解を示し、伝えるべきことはしっかりと伝えつつも、寄り添うコミュニケーションをおこなうことが大切です。まずは上司・先輩側から自己開示をすることで、徐々に信頼関係を構築していくこともおすすめです。

新入社員と組織の協働関係を高める工夫をする

プライベート優先の生活を送りたい(問9)、なるべく残業はしたくない(問10)といった回答に表れているように、業務外の時間で仕事に関するコミュニケーションを好まない傾向にある新入社員にとって、社内でのコミュニケーションが不足するとエンゲージメントの低下にもつながりかねません。

そうした事態を防ぐために、業務中のコミュニケーションの量・質を意識して高める姿勢が求められます。具体的には、意識的にコミュニケーションの場を設けることで新入社員との関係性を強化するため、1on1制度を導入したりすることも有効です。

人事部門としても組織として新入社員を育てる意識を持ちながら、新入社員の育成を現場任せにするのではなく、定期的に人事面談を行ったりフォロー研修を実施したりといった、サポートをおこなっていくことが望ましいでしょう。

まとめ

今回は意識調査のデータをもとに2022年度新入社員の傾向を考察しました。「周囲との協働意識」や「組織の一員としての意識」は、新入社員が今後さまざまなビジネスパーソンと接していくなかでさらに磨かれていくものだと考えられます。

受け入れ側に求められるのは、彼らの成長につながる経験を積ませるために、いかに後押しできるかということでしょう。本調査における新入社員世代の一般的な傾向や、自社の新入社員の特徴をしっかりと捉え、定着・戦力化に繋がるアプローチを検討していきましょう。

>>2022年度新入社員意識調査のダウンロードはこちら

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