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思いのマネジメント=MBB”がエンゲージメントの高い人材を育て、成果主義に疲弊した日本企業を救う

2019年06月25日更新

多摩大学大学院教授・研究科長の徳岡晃一郎氏と弊社マイナビの教育研修事業部 開発部 部長でHR Trend Lab所長の土屋裕介

多摩大学大学院教授、研究科長/株式会社ライフシフトCEO 徳岡晃一郎氏(左)
株式会社マイナビ 教育研修事業部 開発部 部長/HR Trend Lab所長 土屋裕介(右)

日本の産業界で“成果主義”が謳われるようになって久しい。昇級・昇格は仕事の成果次第。よって目標数値の達成が社員にとっての最重要課題となり、そこではピーター・ドラッカーの提唱した「MBO(Management By Objectives/目標管理)」が、組織マネジメントの有効な手段としてもてはやされてきた。しかし、成果主義一辺倒で管理し、働く人を疲弊させる可能性が高いとも言われている。そんな日本でのMBOに一石を投じる手法がある。目標を上から押しつけるのではなく、「この仕事を通じて成長したい」「社会に貢献したい」といった社員個々のビジョンや強い思いを反映させた“やり遂げる意味のある目標”を設定し、仕事に取り組んでもらう「MBB(Management By Belief)」だ。“思いのマネジメント”と訳されるこのMBBについて、提唱者のひとりである多摩大学大学院教授・研究科長の徳岡晃一郎氏に、弊社マイナビの教育研修事業部 開発部 部長でHR Trend Lab所長の土屋裕介が話をうかがった。

目次 【表示】

自らの“思い”に周囲を巻き込んでいくことから変革は始まる

──まずは徳岡先生がMBBを提唱されるようになった背景を教えてください。

徳岡晃一郎教授(以下、徳岡教授)

日本の経営管理や業績マネジメントにはMBOが広く取り入れられているわけですが、実はドラッカーがこの概念を提唱した際には「Management by Objectives and Self-Control」と、末尾に「Self-Control(自己統制)」が付いていました。そこには、社員自身に業務目標を設定させ、進捗の管理もさせることで強いモチベーションを持って仕事に臨んでもらおう、という意図が込められていたのです。

ところが日本に入ってくる際にSelf-Controlが抜け落ち、上から与えられた数値目標を達成できるかどうか、達成すれば昇進や昇給につながるぞ、という形になってしまいました。これを是正したいと考えて提唱したのがMBBです。

徳岡晃一郎氏の写真
土屋裕介(以下、土屋) MBO自体は悪いとは思いませんが、数字を追うことばかりに目が行くと、現場で働く人が疲弊し、モチベーションが下がるといったスパイラルに陥る可能性があるように思います。

徳岡教授 MBBは、上から与えられた目標達成への報酬、すなわち“外因的モチベーション”ではなく、「自分がこうしたいからする」という“内因的モチベーション”をベースにした働き方といえます。自分の仕事を自分自身はどう進めていきたいのか、という社員個々の思いを上司や周囲と共有し、熱い思いを原動力にして成果を出してもらおう、というわけです。

土屋 最近は日本の企業でも、考え方としてはMBBへシフトしつつあるように思います。先だって日本を代表する某電機メーカーの会長とお会いする機会があったのですが、出てくるのは「仕事には情熱が必要だ」といったことが中心。数字の話より多かったぐらいです。ですが、そうしたトップのもとでも、実際の企業運営は依然として数値目標管理で回っているケースがほとんどだと感じます。

徳岡教授 企業のトップは、ビジョンや情熱を語りながら、同時に数値目標も管理しなければなりません。株主に対して今期の売上を約束し、それを果たすことが求められているわけですから。業績やガバナンスの透明化という点でも、数字にこだわることは避けられません。それに数値目標の達成も、本来は楽しくてやりがいのあること。ところが日本では、とりわけモノづくりでは大量生産・薄利多売が主たるビジネスモデルとなっていて、利益率が高くないのに数値目標を追い求めるから疲弊してしまう。この呪縛から抜け出すためにも、思いを原動力としてイノベーションを起こし、付加価値のより高い新たなビジネスモデルを創造して「楽しくて儲かる」という地点を目指すべきなのです。

土屋裕介氏の写真

土屋 MBB的な考え方を成果主義的に個人だけに求めるのではなく、思いを周囲と共有する、周囲を巻き込んでいくことが必要、ということですよね。具体的にどうしていくのがよいのでしょうか。

徳岡教授 夢や情熱をベースとして仕事に臨んでいるつもりの人も「本当に自分はそこまで熱い思いを抱けているのか?」と不安を持っているものです。そこで周囲に“語る”ことで自分の思いをより明確にし、心を燃やし、周りも燃やして一体感を作っていくことが大切。ここで重要なのが“ストーリー”です。「自分はゆくゆくはツーカーで話せるお客さんを世界中に増やしたい」などと大きく構えていい。むしろ小さい夢だと面白味に欠け、周囲も巻き込めません。

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