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社員が働きがいを実感できる文化を醸成 | 株式会社コンカー様インタビュー

2020年01月30日更新

世界で5,200万人が利用する出張・経理管理サービスを提供する株式会社コンカー。「高め合う文化」を推進するために、「フィードバックし合う」「教え合う」「感謝し合う」の3つの文化を軸に、組織づくりを進めてきたそうです。こうした文化を醸成するために、同社はどのような取り組みを行ってきたのでしょうか。 今回は取材にご協力いただいた4名を代表して、CCO(チーフカルチャーオフィサー)の田中由香さんと管理部の足立繭子さんのお話をご紹介します。

目次

働きがいの向上」を、経営戦略に位置付ける

――さっそくですが、御社の働きがいが高まっている背景には何があるのでしょうか?

足立:当社の社長が「働きがいを高める」ことを経営戦略として位置付けていることが大きいと思います。この戦略に沿って以下のようなフレームをつくり、社員が働きがいを実感できる文化を醸成してきました。

・会社のミッションや社会の課題に、自身がどうつながっているか理解できること

・高い視座と大きな裁量を持って、役割以上の仕事ができること

・オーナーシップを持った仕事に対して、失敗しても成長の糧になるよう話し合えること

田中:私たちは外資系企業なので、プロダクトを日本で独自につくることはないですし、資金も日本で独自に調達するわけでもない。私たちが「モノ(商品)」「カネ(資金)」といったリソースを動かすことは難しいんですね。では、どのように組織をドライブさせていくかというと、「人(社員)」なんです。こうした背景もあって「働きがいの向上」に注力してきたのだと考えます。

最近では大手企業も含め人材不足に悩まされている企業が多く、「人材のモチベーションをどう高めればいいか」と相談を寄せられる機会も増えてきました。当社の場合、「人材という最も希少な経営資源の価値を最大限発揮する」という方針で働きがいの向上に取り組み、結果的に社員のモチベーションを高めることに成功しています。

全社横断プロジェクトとその活動のハブとなるCCO(チーフカルチャーオフィサー)の存在

――例えば、文化の醸成に向けてどんな取り組みをしているのでしょうか?

田中:1つは、『タスクフォース』です。当社には全社横断の有志社員で構成された「文化づくり」に取り組むグループがあって、会社のためになる取り組みであれば誰でも改善に向けた活動ができます。メール一つでプロジェクトの起案や申請ができ、承認されれば会社から予算もおりるので、多くの社員が自発的にプロジェクトを推進しています。本業と並行してプロジェクトを推進していくことにはなりますが、その取り組みもしっかり評価の対象になるので、いわゆる「部活動」ではありません。

――具体的に、どんなプロジェクトが進行していますか?

田中:『全社横断プロジェクト』は部門をまたいで社内グループをつくる取り組みで、具体的には以下のようなプロジェクトが動いています。

・文化部:1年に4回、季節行事の企画運営を担当

・ハ部:参加型企画やスライドショーなどの掲示物で雑談スポットをつくり、社員のコミュニケーションを促す

・ひよこクラブ:新卒2年目の社員が、新卒生に向けて社会人の基礎をレクチャーする


ひよこクラブのFB BOX

足立:ひよこクラブでは教える側が前年度につまずいたところを教えていて、先輩から後輩に「日報の書き方」など社会人として基礎的な部分を伝えています。私たちは200名程度の会社です。大きな会社と違って人を育てる研修部門がないので、十分な業務トレーニングが提供できていません。だからこそ、お互いを支え合うグループが不可欠だと考えています。

このようなグループは社内に5つあり、社員約250名中、活動に参加しているのは40~50名。参加は自由で、グループに入っていない人もいます。通例、1年でメンバーを入れ替えるのでタスクフォース経験のある社員の延べ数も相当です。

――有志で全社横断的に取り組まれているこのプロジェクトは人事評価に組み込まれているのでしょうか?

田中:数値化が難しいので指標を設けているわけではありませんが、プロジェクトを推進する力は業務能力と関係していますし、プロジェクトは社員のアイデアや課題感を起点にしています。会社の制度整備につながる活動なので人事評価に反映しているのです。

この『タスクフォース』のハブとなり、それぞれの活動をつないでいく役割として『CCO』が存在します。役職は私が担っていて、本業の翻訳を8割、あとの2割をCCOの業務に充てています。

――こちらも珍しいですね。文化を担う明確な役職はあまり聞いたことがありません。

田中:『CCO』は、「会社が大きくなっても文化とコミュニケーションを大切にしたい」という想いから生まれました。とはいえ日常業務もあり、スキマ時間でやれることを超えてきました。文化づくりを実現するには業務にしないと疎かになってしまう。本当に文化を大切にするために、仕組み化として役職を設けました。

モニタリングを行い、施策のPDCAを回す

――こうした文化の背景には何があるのでしょうか?

足立:社員のアイデアを実現し継続していくため、会社は仕組化や制度化をしていきます。また制度をつくって終わりではなく、数値化できるものは数値化して、地道にPDCAを回し続けています。絶対にやって終わりにはしません。

当社では施策をたくさん行っているので、施策によって組織が上手く動いているのか以下4つのモニタリングを行ない、PDCAを回しています。

・コンストラクティブフィードバック:「会社全体の課題」と「客観的に見た他部門の課題」を吸い上げる調査

・部門間の連携調査:組織のタコつぼ化を防ぐ目的で年1回実施。他部門と連携しやすいかを調査。連携しづらい場合は部門のトップが話し合い、プランをつくって全社にコミットメントする

・パルスチェック:社員全員に働きがいについて質問し、1年に4回行う。急に下がった場合などサポートが必要な場合は、社長と管理部の部長が対応する

・社員の働きがいに関する調査:Great Place to Workが主催する「働きがいランキング」の調査を利用し、「社員が働きがい感じているか」と「会社が働きがいを高めるために行っていること」の2軸で調査する

この中でパルスチェックでは、一人ひとりの値を時系列順にスコアリングして1on1に使用しています。値は評価へ反映せず、あくまで働きがいのモニタリングに使います。特に注意が必要なのは、急に働きがいの数値が下がっている人。そういう人は何らかのアラートを出している可能があります。過去、数値が急激に下がって上がっている人は、次の転職先が決まっていることが多い傾向がありました。そのため最近は、こういった傾向が見受けられる時は、部署異動などの対策をとることもあります。

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社内コミュニケーションを活性化させる取り組み

――他に特徴的な施策はありますか。

足立:社員同士の横のつながりを形成するために、交流を促す制度を設けています。

具体的にはコミュニケーションランチを活用していて、部門を問わず上司と部下、ベテランマネージャーと新人マネージャーのカジュアルな信頼関係の構築に役立てています。ちなみに、ランチ制度は部下からしか申し込めないようになっていて、社員のペースで実施できるようになっているんです。

コミュニケーションを促すイベントには一般的に「飲み会」がありますが、お子さんがいたり、お酒が苦手だったりすると参加しづらいですよね。「相談したいことがあるから飲みに行こう」と誘われたら断りづらいと思います。昼食は毎日とるものですし、その時間を有効に使えるならばそれがいいよねと。コンカーでは海外出張1回分を予算の目安にしているところがありまして、「コスト的にも1回1000円程度だし、かかる費用は海外出張1回分よりは安い」という考えからこの制度をつくりました。

足立:ランチ制度のほかにも、社員4~5人で一組となって活動する「バディ活動」も導入しています。社員同士のつながりを広めるための企画です。文化部が四半期ごとにバディの組み分けを作り、そのメンバーでレクリエーションするよう奨励します。レクリエーションにかかる費用は会社が補助しています。普段は接点のない社員同士でも、これをきっかけに交流を深めています。

――なぜそれほど交流を重視しているのでしょうか?

田中:相互認識がコミュニケーションの第一歩だと考えているからです。交流が活発になればビジネスアイデアが生まれやすくなるし、課題の抽出がしやすくなる。ひいては働きがいの向上にもつながるはずです。コスト面から考えても、イベントや合宿を開催するより費用が抑えられるよね、という考え方で行っています。

そのほかに交流を後押しする施策として、オフィスをオープンにして話しやすいスペースをつくったり、ディスプレイを設置して、新しく入社したメンバーやコアバリューを紹介するスライドショーを流したりしています。これは東京・大阪・大分のオフィスで同じものを流し、拠点間の距離を縮める目的で行っています。


オフィスに設置されているディスプレイ。映っている「ステッカー紹介」は社員のコミュニケーションを促す「ハ部」の活動のひとつ

CSR活動を通じてチームワークを育む

――御社ではボランティア活動に対して休暇が与えられているそうですね。

田中:CSRは積極的に取り組んでいて、過去には希望者28名で福島へボランティアに向かいました。このときには「コンカーのサービス内で電子化された領収書5万枚ごとに1株植樹をする」という活動を行い、300株を植えています。

この例のように会社で主導するボランティアではもちろんですが、個人的な活動にも休暇は適用されます。私は上級救命講座に参加するため休暇を取りました。

――CSRは業績には直結しづらいものという捉え方をされがちですが、力を入れて取り組む理由はあるのでしょうか?

田中:これもタスクフォースから生まれていて「会社としてCSR活動を始めたい」という従業員の声を実現した結果です。活動内容は業務から見えてくる社会的な課題を参考にしていて、先ほどの植樹活動も、世の中のペーパーレス化から着想を得て形にしています。

こうしたCSR活動はコミュニケーションの活性化に良い影響を与えていて、普段話さない他部門のメンバーと話す機会の創出にもつながっています。特に植樹は体を動かすので、言葉では語れないチームワークを育むことができるんです。CSR活動をブログでも報告しており、お客様から共感や賛辞のお言葉をいただくことも多く、自社のブランディングにもつながっています。

採用ではカルチャーフィットを重視する

――採用でこだわっていることやポイントがあれば教えてください。

足立:採用にあたってベストな人材は「能力が高く・文化適合度が高い方」と考えられますが、そのような人材は限られています。実際には「能力が高く、文化適合度が低い方」と「能力は未開発で、文化適合度が高い方」がほとんどです。私たちは後者を積極的に採用していますが、それは、カルチャーフィットしていた方がモチベーションを維持しやすいし、成果を出しやすくなるからです。カルチャーフィットする人材の見極めには妥協をしていないので、採用率は3%未満になっています。

――採用率3%というのはすごい数字ですね。候補者の文化適合度を重視されていますが、見極めるために御社ではどのような行動を起こしていますか?

田中:採用時には、候補者に「コンカーを職場に選ぶ理由」という資料に目を通してもらいます。これは173ページに及ぶ長編で、私たちはラブレターと呼んでいるんです。内容は社員全員で合宿を行って決めました。

――173ページとは……。すごいですね。

田中:そうなんです(笑)。ここには信念や文化など、会社に入ってみないとわからないことが書かれていて、読めば入社後のギャップが埋められると思います。私たちは「採用はお見合いのようなもの」と捉えていて。入社してから「合いませんでした」になってしまうと、お互いに損ですよね。だからこそ、ラブレターを読んで賛同してくれる方を採用しています。

――「文化」という言葉が何度も出てきましたが、カルチャー醸成には社員も参加しているのでしょうか?

田中: そうですね。コンカー共通の価値観「コアバリュー」は社員全員が参加して作りました。これは5つのキャッチフレーズで構成されているのですが、作った後に定着することが肝心です。5つのキャッチフレーズそれぞれにイメージカラーを持たせ、毎月25日にはそのうちの1色をテーマにしたドレスコードを設定します。たとえば「Happy-Happy」のピンク。オフィスはピンクを身に着けた社員でいっぱいになります。「Happy-Happy」とは文字通り、お客様の「幸せ」が私たちの「幸せ」という、「お客様の視点」に立って考えていこうというコアバリューです。

社長自らが全社員の評価レビューをチェック

――かなりこだわりを持って採用を行なっていることが聞けましたが、入社後の評価はどのように行なっているのでしょうか? 先ほど『全社横断プロジェクト』が評価に含まれることを伺いましたが、その他に特徴的な仕組みはあるのでしょうか?

足立:評価では4年後、10年後と区切りを設け、どうなっていたいかを社員一人ひとりに書いてもらいます。4年後の欄は基本的に社内でのキャリアを記入してもらっていますが、10年後の欄はかなり自由で、とある社員は「映画監督になりたい」と書いていました(笑)。ちなみにコンカーは内部昇格率が100%で、外部から管理職が入ってくることがありません。

――そういえば、社長の三村さんが評価レビュー全てに目を通していると聞きました。

足立:おっしゃる通りで、社長自らが約200名の社員全員の評価を見ています。それは、社長が不公平を生み出してはいけないと考えているからです。部門長によっては評価が優しい場合も厳しい場合もあります。最終的な評価の結果は部門長に任せられていますが、その評価感覚を揃えるという意味で、部門長が社長へ各社員の働きぶりを説明することで、社長が評価尺度の公平性を確認していきます。

――聞いていると、外資らしいところと、日本らしいところの“良いとこ取り”な制度ですね。合理的なところもありつつ、すごく泥臭いところもある。

田中:泥臭いところはありますよね。でも、そうしないと働きがいはつくれないと思います。なにより社長が真剣なので、私たちも本気にならなければと思うんです。

――企業のトップが本気だからこそ、「働きがいのある会社」1位を2年連続で受賞できたのですね。制度のPDCAを回すことなど、細かな取り組みを知ることができてとても勉強になりました。本日はありがとうございます。

 

<プロフィール>
田中由香(たなか ゆか)
株式会社コンカー CCO

足立繭子(あだち まゆこ)
株式会社コンカー 管理部 業務推進担当

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