従業員の働きがいを高める5つの方法!企業の取り組み事例も解説

労働人口の減少や働き方の多様化が進むなかで、あらためて「働きがい」の重要性が高まっています。働きがいを高めることで人材獲得や定着、生産性向上、企業の持続的な成長にも寄与します。
この記事では、「働きがい」の基本的な定義から、注目されている背景、働きがいを高める具体的な方法までを解説します。働きがい向上に取り組む企業の成功事例も紹介しているので、自社の取り組みを進めるうえでのヒントとしてお役立てください。
働きがいとは

「働きがい」とは、従業員が充実感と誇りを感じながら熱心に働ける職場環境を示す概念です。単に給与や地位といった外的な条件だけでなく、仕事の内容そのものや職場環境、人間関係などから得られる内的な満足感も働きがいに含まれます。
具体的には、自分の仕事が誰かの役に立っていると実感できる、自分の能力や強みを活かせていると感じられる、仕事を通じて成長実感があるなどの感覚が「働きがい」を形成します。
なお、「働きがい」と混同されやすい概念として、「働きやすさ」と「やりがい」があります。
| 概念 | 主な焦点 | 特徴 |
|---|---|---|
| 働きやすさ | 外的な環境要因 | ワークライフバランス、福利厚生、労働時間など |
| やりがい | 内的な感情 | 仕事の面白さ、達成感、充実感など |
| 働きがい | 包括的な概念 | 上記両方に加え、組織への帰属意識や貢献実感、成長感なども含む |
「働きがい」は「働きやすさ」と「やりがい」を総合したような概念といえるでしょう。単に労働環境が良いだけでも、仕事自体が面白いだけでも働きがいにはつながりづらいです。
働きがいが注目される背景

近年、「働きがい」が企業経営において重要視されるようになった背景には、いくつかの社会的要因があると考えられています。
一つ目は、少子高齢化による労働人口の減少に伴う、人材の獲得競争の激化です。企業が魅力的な雇用主として認識されるためには、給与などの条件だけでなく、「働きがい」を提供できることが重要な差別化要因となっています。
二つ目は、働き方の多様化と価値観の変化です。リモートワークの普及や副業の解禁など、働き方の選択肢が広がるなかで「何のために働くのか」を考える機会が増えています。単なる生計維持以上の意味を求める傾向が強まっている点も働きがいの重要性が増している理由のひとつです。
三つ目は、国際社会における「ディーセント・ワーク」(働きがいのある人間らしい仕事)の重視です。SDGs(持続可能な開発目標)の「目標8:働きがいも経済成長も」が掲げられるなど、国際社会においてディーセント・ワークの実現が重要課題と認識されるようになりました。
このような社会的背景から、働きがいへの取り組みが重視されるようになっているのです。
働きがいのある会社の特徴は?働きがいを構成する要素

働きがいのある会社がもつ特徴としては、以下のような点が挙げられます。
- ・従業員と組織がともに「エンゲージメント」や「働きがい」を意識している
- ・企業文化やビジョン、自社の価値観を大切にしている
- ・従業員や組織が現状とあるべき姿とを比較し行動している
- ・社員一人ひとりの成長を大切にしている など
なお、働きがいに関する研究や理論構築は日々進められていますが、なかでも基礎的な理論となっているのはアメリカの臨床心理学者であるフレデリック・ハーズバーグが提唱した「二要因理論」です。
これは、人間の仕事での満足度は「衛生要因」と「動機づけ要因」の2つで成り立つとする理論です。衛生要因は、職場環境や人間関係、給与など、満たされない場合に不満につながる要素を指します。一方、動機づけ要因は、仕事そのものへの興味、達成感、成長機会など、満たされることで積極的に働きがいを感じられる要素です。
働きがいのある会社は、衛生要因で不満を解消しつつ、動機づけ要因を充実させることで、従業員が前向きに仕事に取り組める環境を作り出しています。
働きがい向上がもたらす効果・メリット

従業員の働きがいを高めることは、ビジネス面でも多くの効果をもたらします。ここでは、働きがい向上がもたらすメリットを一つずつ見ていきましょう。
従業員のエンゲージメントが上がる
働きがいを感じている従業員は、仕事に意義を見出し、組織への愛着や貢献意欲が高まります。この状態が継続することで、ワーク・エンゲージメント(従業員の仕事に対する意欲や熱意、没頭度などを数値化した指標)の向上につながります。
エンゲージメントが高まることで、生産性の向上といった副次的な効果も期待できます。実際、厚生労働省の調査では、ワーク・エンゲージメントが高い従業員ほど生産性も高くなることが明らかになっています。
働きがいの向上は自律的な業務遂行、集中力の向上、創意工夫の増加などにつながり、結果として組織全体の生産性の向上につながります。
出典:
ワーク・エンゲイジメントと企業の労働生産性について|厚生労働省
組織の活性化と新たなアイデアの創出
働きがいの高い職場では、従業員が仕事に対して前向きな気持ちで取り組むため、部署や役職の壁を越えた積極的なコミュニケーションが生まれます。
なぜなら、働きがいを感じている従業員は、組織への帰属意識が高く、より良い成果を生み出すために他部署との連携や情報共有に意欲的になるからです。情報共有が活発になることで、部署間の連携が強化されるケースもあるでしょう。活発なコミュニケーションから生まれる創造的な発想により、イノベーションも生まれやすくなります。
人材の確保と定着率の向上
働きがいのある職場は、優秀な人材を引き付け、定着させることにもつながります。優秀な人材ほど、単に給与や福利厚生だけでなく、仕事を通じた成長機会や自己実現、組織への貢献実感を重視する傾向があります。働きがいのある会社は、こうした内発的な動機に応えられるため、質の高い人材からの注目を集めやすくなるのです。
また、既存の従業員にとっても、働きがいを感じられる環境は長期的なキャリア形成の場として価値があるため、離職率低下にも寄与するでしょう。
働きがいを高める5つの方法

企業として従業員の働きがいを高めるための効果的な5つの方法を紹介します。
理念・ビジョンを浸透させ、仕事の意義を共有する
従業員が「なぜこの仕事をするのか」という意義を理解することは、働きがいを高めるうえで非常に重要です。具体的な取り組みとしては、経営陣による定期的なビジョン共有会の開催、業務が企業目標にどう貢献しているかの可視化、理念やビジョンを体現したエピソードの社内共有などが挙げられます。
ただし、こうした取り組みは、一回の研修やワークショップだけで十分な効果は得られません。定期的かつ継続的な発信が必要であり、さまざまな機会を通じて繰り返し伝え続けることが重要です。
「適材適所」を実現し、成長機会を提供する
従業員一人ひとりの強みや思考性を活かした配置、継続的な成長機会の提供も、働きがいの向上に欠かせません。定期的なキャリア面談の実施、スキルや強みの可視化、社内公募制度やジョブローテーションの導入などが有効です。
従業員が「自分の強みを活かせている」「成長している」と実感できることで、仕事への満足度と意欲が高まります。
オープンなコミュニケーションを促進する
組織内のコミュニケーションの質と量は、働きがいに大きな影響を与えます。コミュニケーションが活発な職場環境は、従業員同士の信頼関係構築に寄与することが多くの研究でわかっています。
なお、オープンなコミュニケーションを促すためには、個人のコミュニケーション能力強化支援も大切です。そのうえで部門間や部署間の良好な関係性が構築できれば、従業員が組織への一体感や貢献感を得やすくなるため、働きがいの向上につながります。
公正な評価と適切なフィードバックをおこなう
「自分の貢献が正当に評価されている」と従業員が感じられることも、働きがいの重要な要素です。そのためには、まず適切に評価できる評価制度そのものを構築することが前提となります。評価基準を明確にし、客観的で公正な評価が可能な仕組みを導入することが重要です。
そのうえで、評価の仕組みを「ブラックボックス」にせず、透明性を高めます。評価プロセスや基準を従業員に明示し、個人の成長や組織力強化につながるようなフィードバックをおこないます。
また、評価制度には、現場の声を反映させつつ、全従業員に周知徹底する取り組みも欠かせません。評価者であるマネージャーだけでなく、被評価者である従業員も含め、評価制度の目的や仕組み、評価基準などを理解するための研修・説明会を継続的に実施したりするとよいでしょう。
働きがいを測定し、継続的に改善する
働きがいの向上は一度の施策で達成されるものではなく、継続的な測定と改善のサイクルが必要です。定期的なエンゲージメント・サーベイの実施、部署ごとの課題分析と改善計画の策定、改善活動への従業員参画の促進などをおこない、PDCAを回しましょう。データにもとづいて現状を把握し、具体的な課題を特定することで、効果的な改善策を講じられます。
働きがいを実現した企業の取り組み事例

働きがいのある職場づくりに成功した企業の事例を3社紹介します。
株式会社コンカー
出張・経費管理クラウドを提供する株式会社コンカーは、働きがい向上を経営戦略に位置付け、全社横断の「タスクフォース」や「CCO」(チーフカルチャーオフィサー)という役職を設置。
共通の価値観「コアバリュー」を社員全員で作成したり、部門を越えたレクリエーション「バディ活動」を導入したりと、さまざまな取り組みを実施しています。さらに、複数のモニタリング手法で働きがいを測定し、継続的にPDCAサイクルを回すことで企業文化の改善に注力しています。
freee株式会社
クラウド会計ソフトのfreee株式会社は、「マジ価値を届けきる集団」(マジ価値=ユーザーにとっての本質的な価値)をカルチャーの中心に据え、全社員参加のディスカッションで理念を共にしています。
「あえて共有」(あえ共)という文化も特徴的で、業務連絡だけでなく課題や失敗経験も社内SNSで共有しています。さらに、人事評価「インパクトレビュー」では成長のためのフィードバックを重視し、エンゲージメント調査では「ワクワク感」を最終指標に置いて組織文化の進化を図っています。
GCストーリー株式会社
屋外広告物施工のGCストーリー株式会社は、「貢献のための成長」と「自律」を重視した組織文化で働きがいを高めています。ヒエラルキー型からティール型組織への改革を進め、フラットな組織づくりに注力しているのが特徴です。
半年ごとに従業員の内面的成熟度を測定し、「360度評価」で互いに評価し合う仕組みも導入。管理会計の全社共有や全員参加の事業計画作成をして、従業員一人ひとりの当事者意識を高めています。
働きがいのある職場づくりに取り組もう

働きがいのある職場を築くためには、理念・ビジョンの共有、オープンなコミュニケーションの促進、公正な評価制度の構築などがポイントとなり、取り組みの進捗を継続的に測定・改善していくサイクルが重要です。
また、組織運営の要である管理職の役割も欠かせません。管理職は日々従業員と接する機会が多く、働きがいに大きな影響を与えます。管理職自身が働きがいの重要性を理解し、部下との信頼関係構築やキャリア支援、適切なフィードバックの提供などに努めることも求められます。
働きがいへの投資は、従業員の満足度向上だけでなく、企業の競争力にもつながります。本記事で紹介した働きがいの要素や高める方法を参考に、自社に合った職場づくりを始めましょう。

















