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生産性向上につながるセルフマネジメントとは?メリットや強化のポイントを解説

2025年12月17日更新

ハートのイメージ図

「セルフマネジメント」とは受け身ではなく、自律的に状況の整理と行動の調整を図りながら、安定した業務成果を生み出す能力のこと。人手不足への対応や従業員の自律性が求められる現代において、とくに注目を集め始めている能力です。

セルフマネジメントをおこなえるようになれば、生産性の向上や良好な人間関係の構築といった効果が期待できます。一方、有効なセルフマネジメントをおこなうためには、いくつか押さえておくべきポイントも存在します。

そこで本記事ではセルフマネジメントを強化する方法やそのメリット、強化する上でのポイントなどについて解説します。

目次 【表示】

セルフマネジメントとは

会議をしている様子

セルフマネジメントとは、与えられた業務や状況に受け身で対応するのではなく、自らの意志で状況を整理し、行動を調整しながら安定した成果を生み出す能力のこと。具体例は次の通りです。

<セルフマネジメントの具体例>

  • ●タスクの優先順位をつけることで効率的に業務を遂行する
  • ●部下の失敗に対して湧いた失意や怒りを抑え、前向きに失敗の原因を探る
  • ●自ら目標を設定し、その達成に向けて具体的な行動をする

「セルフ」という言葉から「自分だけの力ですべてを管理・遂行する力」というイメージが湧くかもしれません。しかし、他者を頼ったり、巻き込んだりしながら業務を遂行・管理することもセルフマネジメントに含まれます。

セルフマネジメントの代表的な3つの構成要素

セルフマネジメントは次の3つの代表的な要素で構成されます。

  • ●業務マネジメント:業務を整理・計画的に遂行する力
  • 「業務マネジメント」とは自らの業務を可視化し、計画的に遂行し、必要に応じて他者と連携して成果を出す力を指します。業務の可視化・整理・進捗管理などのスキルに加え、他者への依頼や巻き込み、引き取りといった「協働力」も重要な要素に含まれます。

  • ●感情マネジメント:感情を安定させる力
  • 「感情マネジメント」とは自身の感情やストレス反応を把握し、過度な緊張や焦りをコントロールする力です。業務量の増加や不確実な状況でも安定的なパフォーマンスを出すために必須の力といえます。

  • ●行動の主体性:自ら物事を選んで動く力
  • 「行動の主体性」とは、他者の指示に依存せず、自らの役割や進むべき方向を定義していく意識および姿勢です。単なる「意識の高さ」ではなく、仕事の成果や価値観を自ら考え、組織における自身の役割や在り方を構築してく力といえるでしょう。

これら3つの要素が相互に作用し合うことで、セルフマネジメントが実現されていきます。

セルフマネジメントが注目を集めている3つの背景

データのイメージ図

セルフマネジメントが注目を集めている3つの背景を解説します。

人手不足を背景とした「生産性向上」という課題

少子高齢化による「人手不足」や働き方改革による「長時間労働の抑制」を背景とした、企業が抱える「生産性向上」という課題もセルフマネジメントが注目を集めている背景です。

とくに中堅社員には自身の担当業務に加えて、部下育成や上司・他部署との各種調整など、負荷の大きなタスクが集中しているため、生産性向上がより求められる立場にあります。

その点、セルフマネジメントは生産性向上に大きく貢献します。セルフマネジメントは「優先順位の高いタスクから処理する」「他者を巻き込んでスピーディーに業務を進める」などを可能にする、業務の「効率性」に寄与し得る能力のためです。

このようにセルフマネジメントは生産性向上に向けたアプローチの一つの手段として注目されています。

求められる従業員の自律性

現在、事業環境の急激な変化や働き方の多様化(テレワークや副業解禁など)が進んでいます。こうした環境下ではセルフマネジメントによって、従業員一人ひとりが自ら考えて行動をしなければ、高いパフォーマンスを発揮することができません。

マニュアル通りの対応、あるいは指示待ちでは通用しない場面や自身を律しなければならない場面が増えているためです。従業員自身の自律性という観点からもセルフマネジメントはその重要性を増しています。

メンタルヘルスやレジリエンスの重要性

目まぐるしいビジネス環境の変化や企業間の競争激化などを背景に、逆境や重圧に対応するための「メンタルヘルス(=心の健康)」および「レジリエンス(=逆境を乗り越える力)」の重要性も増しています。

その点、セルフマネジメントには「感情を安定させる」「過度な緊張や焦りをコントロールする」などの要素も含まれます。このような力は変化の激しいビジネス環境下において、安定したパフォーマンスを発揮するために必須といえるでしょう。

セルフマネジメントの強化が従業員にもたらす2つのメリット

メリットイメージ図

では、従業員自身がセルフマネジメントを習得および強化することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。

生産性が向上する

生産性を向上させるためには、優先順位の高いタスクを可視化し、他者と連携して業務を進める必要があります。さらに、心身の状態を安定させ、モチベーションの維持・向上を図ることも重要です。

セルフマネジメントはこれらの行動・作業を従業員自ら意識的に実行できる力になります。そのため、セルフマネジメントは業務の生産性を向上させる大事なベースといえるでしょう。とくに中堅社員は自身の業務や後輩のサポート、上司との各種調整など、タスクの種類および業務量が多くなります。

そのため、セルフマネジメントによって、タスクの優先順位の整理や他者と連携して業務を進める力を身につけることのメリットはより大きいでしょう。

良好な人間関係を築ける

セルフマネジメントのスキルを高めることで、人間関係含む仕事にまつわるネガティブな感情を上手くコントロールできるようになります。結果として、コミュニケーションが円滑になり、今よりも良好な人間関係を築けるようになる可能性があります。

職場の人間関係に悩む従業員は少なくありません。とくに上下関係の板挟みになりやすい中堅社員は悩みも深いことでしょう。他人を変えることは難しいですが、セルフマネジメントにより自分自身を変え、人間関係を好転させることは十分可能です。

従業員のセルフマネジメントのスキルを高める3つの方法

How toイメージ図

従業員セルフマネジメントを構成する「業務マネジメント」「感情マネジメント」「行動の主体性」の3つの要素を身につけてもらう方法の具体例をそれぞれ紹介します。

業務マネジメント:タイムマネジメントを実践する

業務マネジメント(=業務を整理・計画的に遂行する力)を習得するためには、タイムマネジメントの実践が有効です。
タイムマネジメントとは最大限、仕事を正確かつ効率的に進めることができるスキルのこと。タイムマネジメントでは、限られた時間の中で目標の達成のために必要な業務を効率的にこなすことで、生産性の向上を図ります。具体的には以下2点の実践から取り組んでみましょう。

  • ●業務全体の把握および可視化をした上で、タスクの優先順位を決める
  • ●KPT(Keep Problem Try)法※による一日の業務の振り返り

※振り返り対象を、Keep(良好)・Problem(問題あり)・Try(新たに実践したいこと)に分類すること

なお、タイムマネジメントについて詳しくは以下の記事でも解説をしています。

感情マネジメント:メンタルヘルスやレジリエンスに対する知見を高める

感情マネジメント(=感情を安定させる力)を身につけるためには、メンタルヘルス(=心の健康)やレジリエンス(=逆境を乗り越える力)に対する知識を増やすことが効果的です。

メンタルヘルスについてはとくに、従業員自身でストレスを把握してメンタル不調に対処する「セルフケア」の方法を学ぶことがポイントです。またレジリエンスについては「こうあるべきだ」という思い込みに気付いた上で、思い込みをコントロールする術を習得することで自ずと逆境を乗り越える力を高めることができるでしょう。

行動の主体性:キャリアデザインを構築する

行動の主体性(=自ら物事を選んで動く力)を培う上で意識したいのが、キャリアデザインの構築です。キャリアデザインとは、自分自身が将来どのような仕事・働き方をしたいのか、ビジョンを明確にした上で行動に移すこと。

キャリアデザインの構築にあたっては、最初に「現在の自分の役割を認識する」というプロセスが必要です。これによって自分に求められているものが分かり、主体的に行動できる可能性が高まります。

あわせて、「自分自身が最終的にどうなりたいのか」も明確になるため、従業員は自主的な行動を起こしやすくなります。キャリアデザインについて詳しくは以下の記事も参考にしてください。

セルフマネジメントを強化する上での3つのポイント

注意点イメージ図

最後にセルフマネジメントを強化する上で押さえておきたい3つのポイントを解説します。

目標や役割を明確にする

マネジメントにおいても上位方針や戦略などがあるように、セルフマネジメントのためには自身の将来像や役割認識を持つことが重要です。なぜなら将来像や自身の役割が不明瞭だと、目の前の業務の意義が分からなくなるためです。業務の意義が不明瞭では、セルフマネジメントをおこなうモチベーションも低下してしまうことでしょう。

周囲を巻き込むことを意識する

受け身の状態で、依頼されたものを段取り良く処理することだけがセルフマネジメントではありません。セルフマネジメントでは、全体像を把握した上で、関係者を意図的かつ計画的に巻き込んで、主体的に進めていくことも求められます。

とくに部下と上層部の橋渡しとなる中堅社員はこの「周囲を巻き込む力を発揮できるか否か」で、大きくパフォーマンスが変わりえます。なお、この「巻き込む力」も含めて、中堅社員に求められるスキルについては以下の記事でも詳しく解説しています。

上司は部下にセルフマネジメントを促す働きかけをおこなう

上司が部下に仕事を任せるだけ任せて、あとは関与しない(丸投げ)ことが必ずしも部下のセルフマネジメントの向上につながるわけではありません。むしろ、上司は部下が自身でセルフマネジメントを促進できるような働きかけ(観察・フィードバック)をすることが大切です。

その際、とくに上司が押さえておきたいのが「エンパワーメント」という概念です。エンパワーメントとは「上司が部下に権限を移し、部下が自律的・能動的に仕事に取り組める環境を整え、能力を開花させる」こと。

エンパワーメントをおこなうことで、部下自身が決定して業務遂行する機会が増え、部下の主体性が促されます。なお、エンパワーメントについては以下の記事で詳しく解説しています。

中堅社員がセルフマネジメントを強化するメリットは大きい

ガッツポーズをする社員

セルフマネジメントを身につけることで、業務の生産性向上や良好な人間関係の構築といったメリットが期待できます。とくに業務量が増加したり、上層部と部下の調整役になったりする中堅社員にとって、セルフマネジメントのスキルを高めるメリットは大きいといえます。

本記事で解説した通り、「目標や役割を明確化する」「周囲を巻き込むことを意識する」などのポイントを意識しつつ、セルフマネジメントの習得を目指してみてはいかがでしょうか。

著者プロフィールHR Trend Lab編集部
タレントマネジメントやエンゲージメントなどの最新トレンドから、組織や人事にまつわる基本知識までマイナビ独自の視点でお届けいたします。
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