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【意識調査結果から紐解く】2025年度新入社員の特徴と有効な人材育成とは

2025年07月16日更新

新入社員意識調査 トップビジュアル

マイナビ研修サービスでは、2025年度入社の新入社員8,043名を対象とした意識調査を実施しました。本調査では、新入社員の「仕事やプライベートに関する価値観」や「社会人生活に対する期待・不安」について、18の設問を通じて明らかにしています。

そこで本記事では、過去の調査結果と比較しながら、2025年度新入社員の傾向や考え方などを紐解いていきます。とくに新入社員を育成する人事担当者や新入社員を受け入れる管理職・先輩社員は、本記事の内容をぜひ新入社員一人ひとりと向き合う際のヒントにしてください。

<調査概要>
・調査期間/2025/3/17~2025/4/13
・調査方法/記入選択式アンケート
・調査対象/弊社が提供する新入社員研修に参加した新入社員
・有効回答数/8,043名
※今回の調査と2021年~2024年4月調査を一部比較
※構成比の数値は、四捨五入しているため、100%にならないことがあります。
※未回答を含まないグラフもあります。
>>2025年度新入社員のキャリア意識調査のダウンロードはこちら
目次 【表示】

2025年度新入社員のキャリア意識調査結果の傾向

始めに2025年度新入社員のキャリア意識調査結果の傾向を見ていきましょう。

社会人になることへ高い期待を寄せている

問3「社会人生活に対する“期待の度合い”を教えてください」によると「かなり期待している」もしくは「どちらかといえば期待している」と回答した人が、過去3年と比較して最高の74.0%に上りました。

期待の度合い

では、新入社員は具体的になにに期待しているのでしょうか。問4「社会人生活の中でどのようなことに期待をもっていますか」の回答では「自分が成長できる(59.6%)」がもっとも高く、「収入が得られる(37.4%)」、「新しいことに挑戦できる(33.7%)」が続きました。

社会人生活という新たなステージに対して「自己成長」や「新たなことへの挑戦」に期待している新入社員が多いことがわかります。

プライベートを優先したい

問9「仕事とプライベートについて、お聞かせください」に対して「どちらかといえばプライベート優先の生活を送りたい」と「プライベート優先の生活を送りたい」の回答の合計が70.0%でした。ここ4年間の回答において、高い水準が続いています。

また問11「アフター5(業務終了後)の過ごし方について、お聞かせください」では、「会社以外の人と過ごしたい」と「なるべく会社以外の人と過ごしたい」の回答の合計が、過去3年と比較して最高の81.4%に上りました。

引き続きプライベートを重視したい新入社員が多数派と見られます。

自発性を自負する一方、他者を巻き込むスキルに課題を感じている

問1「あなたが今、会社で発揮できる力はどのような力だと思いますか」では、「物事に進んで取り組む力」の回答割合が過去2年と比べて最高の41.2%。それに比例して、問2「これから自分に必要だと思う力は何ですか」における「物事に進んで取り組む力」の回答割合は過去2年と比べて最低の19.8%でした。

一方、同じく問2「これから自分に必要だと思う力は何ですか」で回答割合が多かったトップ1・2が「自分の意見をわかりやすく伝える力(36.3%)」と「他人に働きかけ巻き込む力(28.9%)」でした。このことから「自身の考えを他の社員に伝え、他人を巻き込みながら仕事を進める力が足りない」と自覚する新入社員が多いことが推測されます。

仕事をする上で他の社員との協力は不可欠です。新入社員が自負する自発的に取り組む力に、これから必要だと思う他を巻き込むスキルが組み合わされば、将来的に大きな戦力となり得るでしょう。

自分に必要と思う力

2025年度新入社員の3つの特徴

続いて、調査から見えてくる2025年度新入社員の特徴を3点解説します。

仕事に邁進したい人も一定数いる

仕事とプライベート アンケート画像

問9「仕事とプライベートについて、お聞かせください」では、「仕事優先の生活を送りたい」と答えた人の割合は過去3年で最多の5.1%でした。また「どちらかといえば仕事優先の生活を送りたい(24.9%)」を合わせると、約3人に1人は仕事優先の生活を送りたいことが明らかになりました。

さらに問10「残業について、お聞かせください」の回答について、「残業してでも働きたい(7.3%)」と「必要な残業であればよい(64.3%)」の割合はそれぞれ過去3年で最多です。ここでも仕事を頑張りたい新入社員が過去3年と比べて多いことがうかがえます。

先述したとおり、プライベートを優先したい新入社員も多くおり「いまの若者世代は、仕事よりもプライベート重視」というイメージがあるかもしれません。一方で、上記回答結果から、2025年度新入社員は仕事熱心な人が過去3年と比べて多い傾向にあるようです。これらの結果は新入社員一人ひとりの仕事への価値観に応じた育成やコミュニケーションが重要であることを示唆しているといえるでしょう。

自己成長や夢に関心を寄せている人が多い

問4「社会人生活の中でどのようなことに期待をもっていますか」で最多の回答割合だったのが「自分が成長できる(59.6%)」です。その割合は過去2年と比べても最多になります。

さらに問14「仕事を通じて叶えたい夢がありますか」では「ある」が70.4%で、これも過去3年と比べて最多です。これらの回答から「社会人として自己成長をして、仕事で夢を叶えたい」と考える新入社員が2025年度は相対的に多いことが推測されます。

社会人生活への期待 結果内容

一方で、問5「社会人生活の中でどのようなことに不安を感じていますか。」では、67.1%の新入社員が「仕事をうまくこなせるか」と回答。つまり、自己成長や夢に関心を寄せている新入社員が多い一方、7割近い新入社員が足下の仕事への不安を抱えていることがわかります。人事担当者や管理職には新入社員の仕事に関する不安をフォローしつつ、その高い意欲を維持または刺激する役割が求められます。

ストレスへの対応力は個人差あり

問17「ストレス耐性(ストレスへの抵抗力)の有無について、お聞かせください」に対して「ある(「どちらかといえばある」を含む)」と答えた人の回答は72.4%でした。また問18「ストレスから身を守る術をもっていますか」へは86.6%が「もっている」と回答しています。ストレスに対応できると思っている新入社員は比較的多いことが推測されます。

一方、問16「社会人になることに対してストレスを感じたことはありますか」において「ある」または「どちらかといえばある」と答えた人の合計は81.7%に上ります。10人中8人は社会人になることへのストレスを少なからず感じたことがあるようです。

さらに問2「これから自分に必要だと思う力は何ですか」で「ストレスの発生源に対応する力」と答えた人の割合は12.2%であり、この数字は過去2年より増加しています。

これらの結果から、ストレスへの対応になれている新入社員は比較的多いものの、ストレスを感じている人やストレスへの対応力がより必要だと考えている人が多いことがわかります。ストレスへの抵抗力や対処方法には個人差があるため、新入社員の性格や特性に応じた関わり方やフォローの工夫が必要です。

2025年度新入社員に有効な人材育成の3つのポイント

最後に本調査の結果を踏まえて、2025年度新入社員の育成に有効なポイントを3つ解説します。

同期意識を醸成する研修をおこなう

先述した通り、2025年度新入社員の10人中8人は社会人になることへのストレスを少なからず感じたことがあり、また12.2%の人が「ストレスの発生源に対応する力」が必要だと感じています。そのため、人事としては新入社員のストレス緩和を図るアプローチが必要です。

そして、そのアプローチの一つが「同期意識の醸成」です。同期の繋がりが強まれば、以下の効果により、新入社員はストレスとうまく付き合える可能性が高まるためです。

  • ・同期だからこそ不満や愚痴を言い合ってストレスを吐き出せる「ストレス発散効果」
  • ・(ストレスを感じていたとしても)切磋琢磨して成長し合う「ライバル効果」
  • ・同期ならではの(ストレスに関するもの含め)情報交換ができる「インフォーマント効果」

なお、同期の繋がりを深める研修にはたとえばグループワークが挙げられます。難しい課題に同期のグループで取り組む過程で生じるコミュニケーションにより、同期の絆が深化する可能性が高まるでしょう。

一人ひとりの個性や特性に応じたオーダーメイドのオンボーディングをおこなう

当然ながら仕事に対する価値観・考え方は人によって異なります。

たとえば、問9「仕事とプライベートについて、お聞かせください」において「どちらかといえばプライベート優先の生活を送りたい(56.0%)」または「プライベート優先の生活を送りたい(14.0%)」と回答した割合の合計が70.0%に上ります。

一方で、問10「残業について、お聞かせください」において「残業してでも働きたい(7.3%)」または「必要な残業であればよい(64.3%)」と回答した人の合計は過去3年と比べて最多の71.6%に上ります。

プライベートを重視する人が多い傾向にはありますが、必要な残業であれば受け入れる人、少数派ながらも残業に積極的な人もいます。このようにプライベートと残業の捉え方一つとっても、仕事の価値観・考え方は人それぞれであることがわかります。したがって、本記事で見てきたような新入社員の全体的な特徴を把握しつつも、新入社員個々人と向き合い、オーダーメイドのオンボーディングをおこなうことが大切です。

なお、オーダーメイドのオンボーディングをおこなうことで組織社会化も推進できます。組織社会化とは、個人が会社などの組織へ積極的に馴染んでいくこと。組織社会化は、新入社員のパフォーマンスの発揮やエンゲージメントの強化につながり、早期戦力化にも寄与し得ます。

キャリア自律の考え方を伝える

問8「上司や先輩から特に指導してほしいことはどのようなことですか」では「専門知識」の回答割合が50.0%であり、過去2年より増加しています。その理由はさまざまでしょうが、問4「社会人生活の中でどのようなことに期待をもっていますか」では59.6%の人が「自分が成長できる」と回答していることから「自身のキャリアを切り拓くために専門知識を習得したい」と考えている新入社員が一定数いることが推測されます。

指導してほしいこと 結果内容

とくにそのような上昇志向の強い新入社員には「キャリア自律」の考え方を伝えておくとよいでしょう。「キャリア自律」とは、社員が自身のキャリアを主体的に考えながら、自律的にキャリア形成に向けて取り組むことです。

キャリア自律の考え方を理解することでキャリア実現のための目標を明確化でき、それによってその新入社員はさらなるスキルアップ(自己成長)を遂げられる可能性が高まります。なお、キャリア自律の考え方の浸透は、会社側としても優秀な人材の発掘や人材の定着などのメリットが期待できるでしょう。

調査結果を考慮しつつ、性格や志向に合わせた育成が有効

今回は2025年度新入社員のキャリア意識調査結果の結果をもとに、2025年度新入社員の特徴や人材育成のポイントを解説しました。

本調査により、足下の仕事に不安を抱えつつも、自己成長や夢への期待を寄せている新入社員が多いことがわかりました。

また過去調査結果に引き続き「プライベートを優先したい」という回答が多数派を占めつつも、過去3年と比べて仕事に邁進したい新入社員が多い点が2025年度新入社員の特徴の一つといえるでしょう。

新入社員を受け入れる会社側は、今回の調査結果の全体的な傾向を考慮しつつも、新入社員個々人の性格や志向に合わせたサポートが必要です。本記事で触れた「同期意識の醸成」や「キャリア自律の考え方の浸透」などに取り組みつつ、新入社員を育成してみてはいかがでしょうか。

著者プロフィールHR Trend Lab編集部
タレントマネジメントやエンゲージメントなどの最新トレンドから、組織や人事にまつわる基本知識までマイナビ独自の視点でお届けいたします。
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