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仕事への意欲、人生の楽しさにも 活きる「エンゲージメント」

2020年06月05日更新


一般社団法人日本エンゲージメント協会 代表理事 小屋 一雄氏(右)
株式会社マイナビ 教育研修事業部 事業開発部 部長 土屋 裕介(2023年11月時点)(左)

人材の活性化や組織力の強化、業績向上に結びつくものとして、近年注目が高まっている「エンゲージメント」。この言葉や考え自体は最近生まれたものではなく、早くからエンゲージメントに着目し研究や実践を進めてきた先達がいます。私たちは2018年10月より従業員エンゲージメントの状況を診断する『マイナビ エンゲージメント・リサーチ』というサービスの提供を始めました。この機会にあらためて大先輩の一人、一般社団法人『日本エンゲージメント協会』代表理事の小屋一雄さんに、エンゲージメントの意味や意義、向上させるためのポイントなどをお伺いしたいと考えて企画したのが今回の対談です。

目次 【表示】

今なぜ、エンゲージメントなのか?

土屋 小屋さんは1990年代の半ばからエンゲージメントに携わってきたとお聞きしていますが。

小屋 私がエンゲージメントという概念を初めて知り、これに関する仕事に携わり始めたのは、ギャラップ(米国の調査・コンサルティング会社)の日本支社創設に参画した1995年でした。その後、アメリカでは2000年代初頭にエンゲージメントの大きなブームがあったのですが日本ではそれほど盛り上がらず、20年以上経った今、急に注目され始めたという状況です。

土屋 アメリカで注目された2000年代初頭に日本で広がらなかったのは、どのような理由があったのでしょうか。

小屋 エンゲージメントなどというカタカナ言葉は聞いたことがないし、意味もよくわからない、ということが一番のハードルになったと思います。

土屋 初めて聞く言葉で、意味もわからなければ広がるはずがないですよね。

小屋 加えて、意味を説明しても十分に興味を持ってもらえなかった理由として、当時の日本企業ではまだ「社員満足度」にフォーカスするのが一般的だったことも大きかったと思います。引っ越し費用をすべて負担してくれるからうちの会社は良い会社だとか。そうしたサポートは確かに素晴らしいのですが、それだけで社員が仕事にやりがいを感じ、会社をよりよくしようと頑張ってくれるかというと、そうでもありません。

土屋 私たちも勉強を重ねてエンゲージメントについての理解を深めてきましたが、あらためて、小屋さんがエンゲージメントをどのように定義しているのかをお伺いできますか。

小屋 エンゲージメントにもいくつかの側面があるのですが、いわゆる従業員エンゲージメントについては「仕事を自分事と感じ、楽しみ、組織に貢献しようとする社員の自発的な姿勢・行動」と定義しています。

土屋 そうしたエンゲージメントがこの数年で日本企業において急速に注目を集め始めた理由や背景についてはどのようにお考えですか?

小屋 まず、企業と従業員の関係が大きく変わり、経営層のトップダウンが効かなくなってきたという環境変化が背景にあると思います。今は顧客ニーズの変化が速く、マーケット自体もどんどん変わってしまう。トップダウンで方向性を決めるのは難しい環境になっており、各現場がアンテナを広く張って変化をとらえ、気づいたものをいち早く商品化サービス化しなければ競争に勝ち抜けません。ですから、現場のマネージャーやメンバーがそれぞれ当事者意識を持って「これからはこうしたほうがいい」「これを試してみよう」と積極的に提案できる組織にする必要があります。そのためには職場の風通しのよさや熱意につながるエンゲージメントが重要になるわけです。

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