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女性活躍推進法で企業に求められる行動計画とは?2022年4月からなにが変わった?

2022年04月06日更新

ジェンダー平等や格差の是正が叫ばれる現代において、女性が活躍できる社会の実現は重要な課題となっています。共働きが当たり前の時代とはいえ、必ずしも女性にとって働きやすい社会とはいえない現実もあります。

そのような社会課題を打破すべく、2015年に「女性活躍推進法」が施行されました。そして、2022年4月には改正女性活躍推進法の施行期日を迎えました。今回は、女性活躍推進法によって企業に義務づけられていることはなにか、法改正によって義務の課せられる対象企業はどこまで拡大されたのかも含めて詳しく解説します。

目次 【表示】

女性活躍推進法とは

女性活躍推進法の正式名称は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」で、2015年9月に施行されました。この法律は、10年間の有効期間のみ効力を有する時限立法です。女性活躍推進法はその名の通り、女性が活躍できる社会を推進することを目的として制定されました。

女性活躍推進法の基本原則

内閣府では、女性活躍推進法の基本原則として以下の3点を定めています。

1. 女性に対する採用、昇進等の機会の積極的な提供及びその活用と、性別による固定的役割分担等を反映した職場慣行が及ぼす影響への配慮が行われること

2. 職業生活と家庭生活との両立を図るために必要な環境の整備により、職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立を可能にすること

3. 女性の職業生活と家庭生活との両立に関し、本人の意思が尊重されるべきこと

なお、上記の基本原則のうち1に含まれる「性別による固定的役割分担」とは、雇用管理における男女間の格差のことを示しており、具体的には以下のような例が挙げられます。

・総合職などにおいて男性のみ、または男性に偏った採用を行うこと
・長時間労働によって子育てと仕事の両立が難しく、出産後に退職を余儀なくされること
・女性であることを理由に公正な評価が行われず、昇進・登用に影響すること

法律によって義務づけられる行動計画とは

2022年3月31日までの女性活躍推進法では、適用範囲を国や地方自治体、および従業員数が301人以上の企業として、以下の項目を義務づけていました。従業員数が300人以下の企業に対しては努力義務となっていましたが、2022年4月1日より従業員が101人以上300人以下の企業には義務化されています。

1. 自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析
2. その課題を解決するのにふさわしい数値目標と取組を盛り込んだ行動計画の策定・届出・周知・公表
3. 自社の女性の活躍に関する情報の公表

「えるぼし・プラチナえるぼし認定」とは

女性活躍推進法にもとづき、一定基準を満たすと女性活躍促進が優良な企業の認定として「えるぼし・プラチナえるぼし認定」が受けられます。認定を受けた企業は自社の商品や広告、求人票などに認定マークを使用でき、女性の活躍を推進していることを対外的にアピールできます。

なお、「えるぼし認定」は1〜3までの段階が存在し、認定基準を満たしている数に応じて認定の段階が変わります。さらに、2020年6月からは、より高い基準を満たした場合に「プラチナえるぼし認定」を受けることができます。

※嘉穂無線様のインタビューでは、えるぼし認定を受けた事例もお話いただきました。

企業に求められる行動計画の内容

女性活躍推進法では、従業員数が301人以上の企業(2022年4月1日以降は従業員数が101人以上)に対して3つの項目が義務付けられていると紹介しましたが、具体的にどのような内容なのでしょうか。それぞれの項目を詳しく解説します。

1.女性の活躍に関する状況把握・課題分析

「女性の活躍に関する状況把握・課題分析」では、以下の4つの基礎項目について把握し、課題を分析することを必須としています。

・女性採用比率
・平均勤続年数の男女差
・平均残業時間等の労働時間の状況
・女性管理職の比率

上記のうち、「女性採用比率」と「平均勤続年数の男女差」については、職種や雇用形態、就業形態といった雇用管理区分ごとに把握する必要があります。

課題分析の方法としては、把握した基礎項目のうち、たとえば女性採用比率が4割を下回っている場合、採用選考基準に問題がないかを振り返ってみましょう。さらに、非正規雇用から正規雇用への転換状況など、上記以外の任意項目についても把握することで、より深い課題分析に効果的であるとしています。

2.一般事業主行動計画の策定・届出・周知・公表

上記で分析した課題に対し行動計画を策定します。行動計画の策定にあたっては、厚生労働省が公開している「一般事業主行動計画策定・変更届の記入例」を参考にしながら作成し、書類は都道府県労働局へ届出します。

行動計画の策定にあたって必要な項目と具体例は以下の4点です。

・数値目標(例:男女ともに平均勤続年数を7年以上とする)
・取組内容・実施時期(例:2022年10月〜フレックスタイム制・時短勤務制度の導入 2023年4月〜育児休暇制度の拡充)
・計画期間(例:2022年4月1日〜2025年3月31日)

なお、行動計画を策定しただけで終わりではなく、社内へ周知したうえで具体的な取り組みの実施と目標達成も努力義務に含まれます。

外部への公表方法としては、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」への掲載、または自社ホームページなどへの掲載といった方法があります。

3.女性の活躍に関する情報の公表

常時雇用する労働者数が301人以上の事業主(2022年4月1日以降は従業員数が101人以上)については、以下の1と2の区分ごとに、 それぞれ1項目以上を選択して、2項目以上を公表する必要があります。

1. 女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供
採用における男女別の競争倍率、役員に占める女性の割合、管理職に占める女性労働者の割合、男女別の再雇用または中途採用実績 など

2. 職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備
男女の平均継続勤続年数の差異、男女別の育児休業取得率、労働者の一月当たりの平均残業時間、有給休暇取得率 など

なお、上記内容を公表する際には、「女性の活躍推進企業データベース」への掲載のほか、自社ホームページ、および求人情報サイトなど、求職者の方に向けて閲覧しやすい方法を選択することが重要です。

女性の求職者の方にとって、入社後のキャリアを検討するうえでも女性の活躍に関する情報は重要な項目であり、企業選びにおいて参考にすべき内容であるためです。

2022年4月の女性活躍推進法のポイント

2019年5月、女性活躍推進法の改正が成立しました。すでに2020年6月には「女性活躍に関する情報公表の強化」と「特例認定制度(プラチナえるぼし)の創設」が施行されていますが、2022年4月からはなにが変わったのでしょうか。

一般事業主行動計画の策定義務の対象拡大

2022年3月以前の女性活躍推進法では、常時雇用する労働者が301人以上の企業に対してのみ、行動計画の策定・届出・情報公開が義務付けられていました。しかし、法改正にともない、2022年4月1日から「常時雇用する労働者が101人以上300人以下」の企業に対しても義務化されました。

女性活躍推進法の施行内容を正しく理解しておこう

女性が活躍できる社会を推進することを目的として制定された女性活躍推進法は、国や自治体、従業員数101人以上の企業に対しては行動計画の策定や情報公表が義務づけられています。

2022年3月31日までは従業員数が301名以下の企業は努力義務となっていましたが、、2022年4月1日からは従業員数が101人以上300人以下の企業に対しても、行動計画の策定や情報公表の義務化対象が拡大されました。

「義務化になったことを認識していなかった」という事態にならないよう、「女性の活躍に関する状況把握・課題分析」や「一般事業主行動計画の策定・届出・周知・公表」、「女性の活躍に関する情報の公表」といった内容を正しく把握し、対応漏れがないよう注意しましょう。

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