リクルーターとは?役割や求められるスキルを解説

採用活動において、学生と直接向き合う「リクルーター」の存在は、企業の印象や採用成果を大きく左右します。説明会や面談、座談会など、さまざまな場面で学生と接するリクルーターは、情報を伝える役割にとどまらず、学生の不安や迷いに寄り添い、意思決定を支援する役割を担っています。
さらに、リクルーターの育成は、社員育成の観点からも重要な意味を持ちます。リクルーターとして学生と向き合う経験は、自社理解や言語化力の向上、プレゼンテーション力などの強化に繋がり、社員自身の成長機会にもなります。
本記事ではリクルーターの概要と役割、リクルーター育成が重要な理由、育成ポイント、リクルーターに求められるスキルを解説します。
リクルーターの概要と役割

リクルーターは、主に新卒採用活動において採用部門と連携しながら活動する社員であり、「採用協力社員」とも呼ばれます。新卒採用活動のゴールである「将来的に企業の中核となるコア人材の採用」を見据え、学生と企業を繋ぐ重要な役割を担います。
リクルーターは、企業や仕事の魅力をわかりやすく伝えることで学生の理解を深めるとともに、学生一人ひとりが必要とする情報を適切に伝え、志望意欲の醸成や魅力付けをおこないます。また、学生とのコミュニケーションを通じて、選考において参考となる情報を得る役割も持ちます。
リクルーターは、「プロモーター」と「クローザー」の2つに分かれます。共通する部分もありますが、具体的な役割は以下のとおりです。
プロモーター
プロモーターは、自社の幅広い魅力をさまざまな切り口から伝え、一人でも多くの学生を次のステップ(選考会への参加・推薦取得)へ移行させることを目的とします。学生と年齢や年代が近い先輩や若手社員がプロモーターを担うことが多いです。
採用プロセスの初期段階において、学生に自社への興味喚起を促進するために、業務内容やキャリアについて具体的にプレゼンテーションをおこない、自社セミナーへの誘導をするなど多くの学生の関心を引き出す役割を担います。
広報からエントリー、説明会へと続く「興味喚起」から「意欲形成」までの選考フェーズにおいて必要とされる存在であり、本音で話せる雰囲気をつくりながら、魅力を伝えることが求められます。
クローザー
クローザーは学生一人ひとりのキャリア観を深く掘り下げ、それぞれに適した自社の魅力や、ビジョン、将来性を伝え最終的に意思決定へ導くことを目的とします。クローザーには企業の将来や自身が培ってきたキャリアを話せることが求められるため、中堅社員や管理職クラスがこの役割を担うことが多いです。
選考フローにある学生に対して意欲形成をおこなうだけでなく、学生の能力把握や選考前の情報収集など、評定的な視点を持って対応します。
また、最終面接や内定提示のタイミングにおいては、情報提供や面談によって自社への惹きつけや意思決定、意思決定後の辞退を防ぐためのフォローも実施します。複数の内定を持ち自身のキャリアに迷う学生に対しては、アドバイスをおこなうとともに、仕事や組織に対する不安を解消し、入社準備を後押しする役割も担います。
選考から内々定、内定フォロー、入社に至るまでの「意欲形成」から「意思決定」のフェーズにおいて必要とされ、学生のやりたいことを引き出し、入社を動機づけることが求められます。
リクルーター育成が重要な理由

リクルーターの育成は、「採用力の強化」だけでなく、「社員の育成・成長」といった2つの観点で重要です。
人材獲得競争が激化する中で、人材獲得の難易度は年々高まっており、リクルーター一人ひとりの関わり方が採用成果に与える影響も大きくなっています。加えて、候補者体験(Candidate Experience/採用CX)の重要性が高まる現在、学生と直接接点を持つリクルーターの対応力や発信内容が、企業の印象を左右する重要な要素となっています。
実際に、「2024年卒マイナビ学生就職モニター調査 4月の活動状況(※)」によると、「良い印象が残っているWEBセミナー」では43.6%が「社員が魅力的だった」、42.9%が「質疑応答の時間がきちんと設けられていた」、42.4%が「セミナーの雰囲気が和やかだった」と回答しています。
一方、「悪い印象が残っているWEBセミナー」では、28.4%が「社員のプレゼンテーションが下手だった」、26.8%が「不必要な話を長々とされた」、21.1%が「社員の態度が悪かった」といった結果も示されています。
これらの結果からも、学生と接する社員の振る舞いや発信内容が、企業の印象に大きく影響していることがわかります。そのため、職務の遂行に関係のない事柄や、学生のプライバシーに過度に踏み込むことは避けるとともに、リクルーターとしての意識や行動面も含めて育成していくことが重要です。
※出典:マイナビ キャリアリサーチLab|マイナビ 2024年卒 学生就職モニター調査 4月の活動状況
リクルーターの育成ポイント

リクルーターの育成において、プロモーターとクローザーそれぞれの役割に応じて、求められる視点やスキルを明確にし、段階的に育成していくことが重要です。その際、「採用成果の最大化」という観点だけでなく、リクルーターを担う若手・中堅社員自身の成長やスキル向上に繋がるような育成設計をおこなうことも、ポイントとなります。
プロモーターは、自社の幅広い魅力をさまざまな切り口から伝える必要があります。そのため他社との差別化された魅力を正しく理解・整理する力や、それを学生にわかりやすく伝えるスキルの育成が重要です。
加えて、自社の魅力を言語化し発信する経験は、自身の仕事を振り返る内省の機会にもなり、プレゼンテーション力や論理的に伝える力の向上にも繋がります。
一方、クローザーは、学生一人ひとりのキャリア観を深く掘り下げ、最終的な意思決定へ導く役割を担います。そのためには、学生の本音や迷いを引き出すための対話力、質問力、助言力といったスキルを重点的に育成することが求められます。
こうしたプロセスを通じて、リクルーター自身も自らのキャリア観や仕事に対する考え方を整理する機会となります。また、相手の考えを引き出し、意思決定を支援する経験は、後輩育成に求められるスキルの習得にも寄与します。
このように、リクルーター育成は「採用力の強化」という観点で重要であることはもちろんですが、リクルーター育成を通じて得られる効果は採用面に限らず、社員育成にも繋がります。そのため、若手・中堅社員の成長を促す機会としても位置づけることが重要です。
リクルーターに求められるスキル

リクルーターに求められるスキルを解説します。
印象管理
リクルーターは学生と接する最前線に立つ存在であり、第一印象がそのまま自社の印象に繋がります。なかでも外見や振る舞いに表れる身だしなみは、他者からどう見られるかが基準となります。
身だしなみの基本としては、清潔感を保ち、相手に不快感を与えないことが第一です。また、業務に支障がなく、安全性や機能性を意識した装いであること、明るく健康的な印象を与えることも求められます。
こうした印象の重要性は、心理学で知られる「メラビアンの法則」からも説明できます。メラビアンの法則では、人が相手の印象を判断する際に言葉の内容そのものよりも表情や視線、身振りといった視覚情報や、声のトーンや話し方といった聴覚情報が大きな影響を与えるとされています。
つまり、リクルーターの外見や立ち居振る舞いは、学生の受け取る印象に強く作用する要素であるといえるでしょう。
学生とのコミュニケーション
リクルーターに求められる重要なスキルの一つが、学生との円滑なコミュニケーションです。採用活動においては、学生の本音や価値観を引き出すために重要です。また、育成の観点でも相手の立場や状況を考えながら発言をしたり、ヒアリングをしたりすることが求められ、良好な関係性の構築や適切な意思疎通に繋がります。
学生とのコミュニケーションにおいては、以下の点が重要となります。
- ●安心して話せる場をつくる
学生が自分の考えを率直に話せる環境を整えることで、相互理解を深める対話に繋がります。 - ●共感スキル
学生の考えや気持ちを受け止める姿勢を示すことで、信頼関係の構築に繋がります。 - ●質問の使い分け
状況に応じた問いかけをおこなうことで、意見や価値観を引き出しやすくなります。 - ●ソーシャルスタイル
相手のコミュニケーションスタイルに合わせて伝え方や関わり方を調整することで、納得感のあるコミュニケーションに繋がります。
自社理解/キャリアの棚卸
リクルーターには、まず自社や自身のキャリアについて正しく理解していることが求められます。
採用の観点では、学生に対して仕事内容や自社の魅力を説明し、必要な情報を提供するために、自社理解が必要となります。
一方で育成の観点では、これまでの仕事や経験を振り返り、自身の価値観やキャリア観を整理・言語化することが重要になります。採用活動を通じて自分のキャリアを棚卸しすることで、物事を俯瞰的に捉える力や、メタ認知の向上に繋がります。
魅力的に伝えるスキル
リクルーターには、情報を一方的に伝えるのではなく、相手にとって「伝わる」形で表現するスキルが求められます。
採用の観点では、学生が求めている情報を加味し、分かりやすく伝えることで、理解を深め企業への関心を高められます。
育成の観点では、相手の視点を意識して伝える経験によって、顧客や仕事の関係者の立場や状況を踏まえて伝える力を養うことに繋がります。
ファシリテーション
ファシリテーションは特にプロモーターに求められるスキルの一つです。
プロモーターは、説明会や座談会など複数の学生が参加する場を円滑に進行し、場の満足度を高めることもおこないます。そのためには、「場」を動かすファシリテーションのスキルが必要です。
採用の観点では、イベントや座談会の様子を見ながら、進行に支障が出ていないかを判断し、必要に応じて内容や流れを調整することが求められます。
開始前や冒頭で場のゴールを明確にし、学生に目的を共有したうえで緊張を和らげる声かけをおこなうことで、参加しやすい雰囲気をつくれます。また、学生からの質問を促し、発言が一部に偏らないよう配慮することで、双方向のコミュニケーションを実現できるでしょう。
育成の観点では、こうしたファシリテーションの経験を通じて、業務やプロジェクトを主体的に進行する力を養えます。場全体を見渡し、関係者の状況を踏まえて働きかける力は、日常業務における調整や進行にも通じるスキルであり、プロモーター自身の成長に繋がります。
クロージングスキル
学生の多くは限られた情報をもとに、自身のキャリアや入社する企業を決定しなければならない状況にあります。クローザーには、こうした学生の不安や迷いに寄り添いながら、意思決定を支援するクロージングスキルが求められます。
クロージングスキルのひとつであるGROWモデルは、質問を通じて相手の考えを引き出すコーチングの基本理論です。
面談においてこの手法を活用することで、学生のキャリアに対する意識を深く掘り下げ、漠然とした就職への不安を整理・解消しながら、自社への適性や志望度、その理由を確認することができます。
加えて、学生が常に十分な情報を持ち、具体的な検討ができているとは限らず、選択肢の多さから判断に迷っているケースもあります。
その場合には以下の点を意識し、適切な情報提供やフィードバックをおこないながら動機づけをおこなうことが重要です。
- ●学生の強みを言語化し、フィードバックする
- ●キャリアの選択肢や実務の実態を情報提供する
- ●学生の適性を認め、期待を伝え、意思決定を後押しする
育成の観点では、こうしたGROWモデルを用いた関わり方は、部下や後輩に対するコーチングスキルの強化にも繋がります。相手の考えを引き出し、納得感を持って行動に繋げる経験は、クローザー自身の育成力向上にも寄与します。
リクルーター育成が企業と社員の成長に繋がる

リクルーターは、学生と企業を繋ぐ存在であり、プロモーターやクローザーといった役割に応じて求められる関わり方やスキルは異なります。採用活動の最前線に立つリクルーターの対応一つひとつが、企業の印象や学生の意思決定に大きな影響を与えるため、役割を理解したうえでのリクルーター育成が欠かせません。
また、リクルーター育成は採用成果を高めるだけではありません。自社理解やキャリアの棚卸、伝える力、対話力、ファシリテーション力、コーチング力といったビジネスに通ずる能力を高める機会にもなります。
採用と育成の両面を意識してリクルーターを育成することで、組織全体の力を底上げすることに繋がるでしょう。

















