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カッツモデル(カッツ理論)とは?人材育成に活用する方法を紹介

2025年10月17日更新

腕を組むビジネスパーソン

カッツモデル(カッツ理論)は、マネジメント層を3つの階層に分け、各階層に必要なスキルやその割合を導き出したフレームワークです。人材育成やマネジメント研修、人事評価など広く活用されています。

本記事では、カッツモデルとはなにか、カッツモデルを形成する3つの階層と3つのスキル、カッツモデルを人材育成に活用する方法を階層別・役職別に解説し、カッツモデルに関するQ&Aも紹介します。

目次 【表示】

カッツモデル(カッツ理論)とは?

カッツモデル(カッツ理論)とは、アメリカの経営学者ロバート・L・カッツが提唱した理論です。組織内のマネジメント層に必要な能力を3つの種類に分けて、どの階層の管理職がどのスキルをどれくらい身につけるべきかを、図で示した考え方です。

3つの階層は、経営者・幹部クラスを指す「トップマネジメント」、中間管理職クラスの「ミドルマネジメント」、主任・リーダークラスの「ロワーマネジメント」に分けて考えられます。

カッツモデル

必要な3つの能力のうち「ヒューマンスキル」はどの階層においても一律で必要とされます。
これは、人を動かすことで組織の成果を上げるマネジメント層であれば、上司や部下、同僚、他部門との円滑なコミュニケーションや信頼関係の構築が常に求められるためです。部下の状況を把握し、適切に指導・支援できなければ、組織の目標達成にも支障をきたすでしょう。

一方で、「テクニカルスキル」「コンセプチュアルスキル」は、階層の高さにより必要とされる割合が異なります。

現場に近いロワーマネジメントでは、実務を理解し具体的な業務を遂行するためのテクニカルスキルが、コンセプチュアルスキルよりも重要視されます。対して、経営者・幹部クラスを指すトップマネジメントでは、組織全体の方針決定や将来のビジョン策定といった大局的な判断が求められるため、複雑な物事の大枠を理解し、本質を捉える力であるコンセプチュアルスキルの割合が大きくなります。

それぞれの階層と必要とされるスキルについて詳しく解説します。

カッツモデルを形成する3つの階層

まず、カッツモデルを形成する3つの階層について説明しましょう。

トップマネジメント(経営者・幹部クラス)

トップマネジメント層には、経営陣(CEOや取締役、執行役員など)が挙げられます。
経営方針の決定や戦略の策定など、企業全体の業績を上げるための方策を検討し、その結果に対して責任を持つ立場でもあります。現場での作業や指示に直接関わることはあまりありません。

ミドルマネジメント(中間管理職クラス)

ミドルマネジメント層には、部門長や課長などの中間管理職クラスが含まれます。
主に担当する部門や支社、支店などの業績に対して責任を持つ立場です。トップマネジメント層が決定した経営方針や戦略にもとづいて方針を決定し、部門や支社ごとの具体的な数値目標などを決定します。

部下に組織の方針や指針をかみ砕いて伝えるとともに、モチベーションの維持や向上のために働きかけたり、現場の意見を経営陣に伝えたりする役割も担っています。

ロワーマネジメント(主任・リーダークラス)

ロワーマネジメント層は係長・主任・グループリーダーなど、現場で業務にあたり、指揮を執る立場です。指示や方針に忠実に従い、実行できる能力が必要とされています。

また、一般社員であっても、プロジェクトリーダーなどの社員をまとめる立場になるとロワーマネジメント層に含まれます。実務的な能力のほかに、社の方針を理解して一般社員の業務に落とし込む能力も必要です。

カッツモデルを形成する3つのスキル

グラフ イメージ画像
次に、カッツモデルで3つに分類されるスキルについて説明しましょう。

テクニカルスキル

テクニカルスキルとは、業務知識や関連する技術など、仕事の方向性を決める力を指します。具体的には、顧客対応スキル・問題解決力・パソコン操作スキル・プレゼンテーションスキル・業界や職種特有の資格など、業務推進に必要な能力です。

ヒューマンスキル

ヒューマンスキルとは、ビジネスマナーやコミュニケーション能力など、その人が身につけている仕事のベースとなる力のことです。互いを理解し尊重しあいながら、円滑に業務を進めるためにヒューマンスキルは求められます。また、マネジメント層においては、さまざまな価値観を持つメンバーと円滑なコミュニケーションを取り、関係を構築する必要があるため、特に重要となります。

コンセプチュアルスキル

コンセプチュアルスキルとは、「複雑な物事の大枠を理解し、本質を捉える力」のことです。なかでも組織やチームを率いていく立場にあるマネジメント層は、状況の把握・判断を下す必要があるため、重要となるスキルです。コンセプチュアルスキルを活用し、物事の本質を見抜くことで組織が抱える課題を根本的な解決へと導きます。

ただし、実際に解決策を実行に移すためには、専門的な知識や技術に関するテクニカルスキルや、関係者との円滑なコミュニケーションを図るためのヒューマンスキルも不可欠です。コンセプチュアルスキルはあくまで課題解決の出発点であり、他のスキルと組み合わせることで効果が発揮されます。

また、柔軟な発想や探求心、知的好奇心といった資質は、組織に新たな価値を創造し、発展させるために欠かせません。こうした姿勢を支えるのが、概念化能力・洞察力・俯瞰力といったコンセプチュアルスキルであり、これらを日常的に磨いていくことで、古い慣習や習慣にとらわれず生産性の向上や、新しい分野の活躍など、組織の成長に繋げることができるでしょう。

【階層別】カッツモデルを人材育成に活用する方法

ディスカッション イメージ画像
カッツモデルを人材育成に取り入れることにより、組織に必要な人材や求めるスキルの明確化が期待できます。自社の業務内容や方針にもとづき、各階層で必要なスキルを具体的に洗い出すことで、研修の方向性や人材配置の見直しに役立てることが可能です。また、社員一人ひとりのスキルアップやモチベーション向上にも繋がるでしょう。

以下では、階層別にカッツモデルを活用した育成の進め方の例を紹介します。

ロワーマネジメントの育成

ロワーマネジメント層には、すでに備わっているテクニカルスキル(業務遂行能力)をさらに高めることを目的とした研修が効果的です。たとえば、顧客や電話応対の質をさらに向上するための研修や、現場責任者としての判断力・対応力を磨く研修、プレゼンテーションスキルや営業力の強化を目指す研修、より専門性の高い商品知識や関連資格の取得支援などが挙げられます。

同時に、上司や部下・顧客との関係性構築に必要なヒューマンスキルも重要です。現場の第一線でチームをまとめる役割を担うため、信頼関係の構築やコミュニケーション能力向上を意識した研修も有効です。

ミドルマネジメントの育成

ミドルマネジメント以上の層には、コンセプチュアルスキルの求められる割合が高くなっていきます。問題解決力、論理的思考を体系的に学ぶ研修や、戦略思考を身につけるトレーニングが有効でしょう。
また、語学力や財務・会計知識といった不足しがちな分野に対応できるテクニカルスキルの向上も考えられます。

トップマネジメントの育成

トップマネジメント層には、経営視点を磨くためのリスクマネジメントや、ビジョン構築研修をはじめとしたコンセプチュアルスキルの向上が効果的です。適切に状況を見極める能力や、新しい事業展開を見据える力を養うためにも重要です。また、必要に応じて社外アドバイザーや他業界の専門家の意見を取り入れ、多角的な視点や新たな発想力を育むことも求められるでしょう。

カッツモデルにおける各スキルの高め方や具体的な研修を紹介

話しあうビジネスパーソンカッツモデルを人材育成に活用する方法と具体的な研修内容を3つのスキル別に解説します。

テクニカルスキル

テクニカルスキルは、業務の現場で直接求められる知識や技術であり、実務を通じて磨かれるのが特徴です。

そのため、OJT(On-the-Job Training)を用いれば、実際の業務に取り組みながらマニュアルでは得られない判断力や応用力を養うことができるため、有効な手段の一つです

ただし、指導する人の力量や相性によって効果に差が出る可能性があるため、育成担当者の選定や育成計画の工夫も重要です。OJTに加えて、業務に必要な知識を体系的に習得できるOff-JT(集合研修)やeラーニングの活用も効果的でしょう。

テクニカルスキルを身につける研修

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ヒューマンスキル

ヒューマンスキルを高めるには、日常的なコミュニケーションや対人場面での経験の積み重ねが重要です。
そのために、まずは座学で必要な知識をインプットしたうえで、ロールプレイといった実践の場も用意し、経験を通じてスキルを磨くことが効果的です。

また、上司や同僚からのフィードバックを受ける機会を設け、本人が自身のコミュニケーション傾向や対人行動の癖に気づくことも大切です。1on1 を継続的に行い、対話を通じて本人の課題や成長の方向性を明確にし、行動変容を促すこともヒューマンスキルを高めることにつながります。

ヒューマンスキルは定量的な測定が難しく、成果の実感を得にくい分野であるため、こうした振り返りの機会や気づきを得る場を継続的に設けることがポイントとなります。

ヒューマンスキルを身につける研修

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コンセプチュアルスキル

コンセプチュアルスキルを高めるには、物事を抽象化および具体化するスキルを身につけることが重要であるため、業務の背景や目的を意識してもらうことが効果的です。これらを意識することで、目の前の業務だけでなく、組織全体や社会とのつながりを踏まえた思考や判断ができるようになり、結果として複雑な課題に対して本質的なアプローチを導き出す力が養われます。

コンセプチュアルスキルを高めるには、「抽象化」と「具体化」の双方を自由に行き来できる力を養うことが重要です。抽象化とは、日々の業務で発生する複雑な出来事の共通点や構造を捉え、「つまりこういうことである」とまとめるスキルを指します。一方で具体化は、「たとえばこういうケース」といった事例を用いて、抽象的な考えを具体的な行動や業務に落とし込む力です。

また、「モレ・ダブりがない」という状態を指す「MECE(ミーシー)」を意識し、考える対象にモレ・ダブりをなくすことで、複雑な問題にも筋道を立てて向き合えるようになります。

加えて、筋道を立てて考える論理的思考(ロジカルシンキング)、意識の偏りを見つけるのに役立つ批判的思考(クリティカルシンキング)も時には必要です。個別の事象から意味や法則を見いだすことにより本質を捉え、固定観念にとらわれない思考により課題の解決策や効果的なアプローチを導きだすことができます。

コンセプチュアルスキルを身につける研修

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社内に適切な指南役がいない場合や外部講師による緊張感を保ちたい場合などにお役立てください。

カッツモデルに関するQ&A

質問をする イメージ画像

カッツモデルに関するよくあるQ&Aを紹介します。

カッツモデルは古い?

カッツモデルは1950年代に提唱された理論であり、その歴史の長さから「現代のビジネス環境には合わないのでは」と疑問に思う人もいるかもしれません。

しかし実際には、マネジメント層の能力開発を考えるうえで今も有効なフレームワークとして活用されています。

カッツモデルが示す「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」の3つの能力は、どの時代・業種・役職においても求められる基本的な要素です。
たとえば、近年増えているリモートワークやグローバル化といった働き方の変化のなかでも、人や組織のマネジメントには変わらずこれらのスキルが不可欠でしょう。

また、もともとはマネジメント層向けの理論とされていましたが、現在では新入社員や現場リーダーといった層にも活用されるケースが増えていることから、カッツモデルは「古い考え方」ではなく、時代や状況に合わせて柔軟に活用できる汎用的なフレームワークといえます。

カッツモデルとドラッカーモデルの違いは?

カッツモデルとドラッカーモデルは、いずれもフレームワークですが、視点や対象が異なります。
カッツモデルはマネジメント層に求められるスキルを「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」の3つに分類し、階層によって重視するスキルの比重が変わることを示したものです。

一方、ドラッカーモデルとは、経営学者ピーター・F・ドラッカーが提唱した人材育成に活用されるフレームワークで、「成果を上げるための行動や考え方」に重点を置いたものです。知識労働者(ナレッジワーカー)という階層を設け、専門性や創造力を発揮して自律的に価値を生み出す人材の育成を重視しています。

また、カッツモデルが階層に応じてスキルの比重を変化させるのに対し、ドラッカーモデルではコンセプチュアルスキルがどの階層にも同程度必要である点が大きな違いです。
ただし、どちらも人材の成長を通じた組織力の向上を目指している点は共通といえるでしょう。

カッツモデルを活用し適切な人材育成を

カッツモデル(カッツ理論)は、マネジメントに関わるすべての層にとって、どのようなスキルが求められるかを整理するための有効なフレームワークです。階層ごとの育成ポイントや、高めるべきスキルの優先順位を明確にできるため、人材育成の方針づくりや研修設計にも活用できます。
自社のマネジメント層に必要なスキルを見極め、カッツモデルを育成・評価の指針として役立てていきましょう。

著者プロフィールHR Trend Lab編集部
タレントマネジメントやエンゲージメントなどの最新トレンドから、組織や人事にまつわる基本知識までマイナビ独自の視点でお届けいたします。
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