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コンプライアンスとは?違反例や企業が取り組むべき対策を解説

2022年08月26日更新

コンプライアンスの重要性が叫ばれるようになり、経営課題としてコンプライアンス対策に取り組んでいる企業も少なくありません。しかし、企業や組織で働く社員の中には、コンプライアンスの重要性を十分に認識していないケースもあり、それが原因で不祥事や不正が発生することもあります。

そこで今回は、企業にとってのコンプライアンスの重要性をあらためて確認するとともに、コンプライアンス違反の例や、企業として取り組むべきことも詳しく解説します。

目次 【表示】

コンプライアンスとは

コンプライアンスとは、企業や組織が法令を遵守することに加えて、社会的な良識やルールに沿って行動・活動することを指します。国が定める法律や政令などを守ることはもちろんですが、社員が就業規則や社内規程といったルールを守ることや、企業倫理や社会的規範に沿った行動をとることもコンプライアンスに含まれます。

企業や組織として法令を遵守するのは当然のことですが、さらに企業倫理やモラルを遵守してはじめてコンプライアンス意識の高い企業といえます。

日本でコンプライアンスが注目されるようになった背景としては、1990年代以降、メーカーにおけるリコール隠しや、食品偽装事件、粉飾決算など、さまざまな企業の不祥事が明らかになったことが挙げられます。

企業においてコンプライアンスが重要な理由

そもそも、なぜ企業や組織にコンプライアンスが求められるのでしょうか。企業にとってコンプライアンスが重要である理由を解説します。

企業の社会的責任を果たし、社会的な信用を得るため

コンプライアンスに沿って行動する最大の目的は、「企業が社会から信用を獲得し、企業価値を維持すること」です。そもそも企業には「CSR(Corporate Social Responsibility)=企業の社会的責任」を果たすことが求められています。CSRを果たすためには、コンプライアンス(法令、就業規則、企業倫理などの遵守)が前提となるため、多くの企業で重要な課題として取り組んでいます。

たとえば、あるメーカーが製造過程において発生した産業廃棄物を適切に処理せず不法投棄をしていた場合、そのような企業や組織で働く社員のモラルも低下し、職場におけるコンプライアンス意識の欠如にいっそう拍車がかかることが予想されます。

また不法投棄が発覚した場合は、罰金といった罰則の対象となるだけでなく、地域住民や取引先、顧客などの利害関係者からの信用を一気になくしてしまうことが考えられます。仮に産業廃棄物の処理コストが一時的にカットされたとしても、不祥事が明るみにでてしまうと多くの顧客や取引先は不法投棄をした企業から離れ、事業そのものが継続できなくなる可能性もあります。

自社の利益ばかりを追求するのではなく、自社の事業が社会に与える影響について考え、あらゆる利害関係者からの要求に応えられるよう行動することが企業には求められています。コンプライアンスに沿って行動している企業は、企業価値を維持し、顧客や取引先の離脱を防止することにもつながっていきます。

コンプライアンス違反の例

一口にコンプライアンス違反といっても、さまざまなケースが考えられます。企業においてとくに注意すべきコンプライアンス違反の例を6つ紹介しましょう。

1. 不当な労働環境

定められた上限を超えた時間外労働や残業代の未払い、ハラスメント行為の黙認などは「労働基準法」および「労働契約法」といった法令で禁止されており、コンプライアンス違反にあたります。

2. 情報セキュリティの不備

個人情報や機密情報への不正アクセス、社員の不正な持ち出しによる情報漏えいは、取引先や顧客に対して被害がおよぶ可能性があります。また昨今では、リモートワークの普及により、パソコンや記憶媒体の紛失が情報漏えいにつながるケースも懸念されます。

企業や組織としておこなうべき情報セキュリティ対策に不備があり、それが原因で情報漏えいが発生すると企業としてのコンプライアンス意識が問われることとなります。

3. 不正会計

売上や経費の架空計上、会計書類の改ざん、会計基準の不適切な適用などによる不正会計は、「有価証券報告書虚偽記載罪」や「詐欺罪」として処罰される可能性があります。

4. 不正受給

企業が一定の要件や条件を満たすことにより、さまざまな助成金や補助金などの支給対象になることがあります。しかし、条件を満たさないにも関わらず、受給資格を偽り不正に受給することは「詐欺罪」となる可能性があります。

5. 景品表示法違反

誇大広告や、根拠のないデータをもとにした広告、消費者に対して誤解を招く表現の使用などは「景品表示法違反」の罪に問われる可能性があり、コンプライアンス違反にあたります。

6. 衛生管理・安全管理の不徹底

飲食店や食品製造の現場においては、衛生管理の実施状況に不備がある場合、「食品衛生法」に則り、行政からの指導がおこなわれます。指導に対して改善が図られない場合には、営業禁止や営業停止といった行政処分が下されることもあります。

コンプライアンス対策として企業が取り組むべきこと

企業がコンプライアンス対策を徹底するためには、どのようなことに取り組むべきなのでしょうか。

チーム・体制の構築

まずは、コンプライアンス対策のチームを構築し、社員に対するコンプライアンス教育やマニュアルの規定、コンプライアンスに関する意識調査などを実施する体制を整えます。

それに加えて、万が一、社内でコンプライアンス違反に気づいた場合、社員が相談できる窓口を設置しておくことも重要です。専用の窓口があることで、不正の事実を早期に把握し適切に対処できるようになります。

また、そもそも不正にあたるのか判断が難しいケースもあるほか、上司や先輩社員にコンプライアンス違反となるような業務指示を受けることも考えられます。同じ部署に所属する社員に相談しづらい場合にも、専門の窓口があれば対処しやすいでしょう。

このように、コンプライアンス対策専門のチームや体制を構築することによって、不正を早期に発見し対処できるばかりではなく、コンプライアンス違反を未然に防ぐことにもつながります。

基本方針と行動基準の策定・周知

次に、コンプライアンス対策チームを中心として、社員がとるべき行動の指針や基準を策定します。

ここで重要なのは、単に法律を守るだけではなく、自社が社会的な規範を守る企業になるためにはどうすればよいか、倫理・モラルの観点からも考えることです。個人によっても基本方針や行動基準に対する考えは異なるため、社員に対してもヒアリングしさまざまな意見を集約しましょう。

また、基本方針や行動基準が決まったら、社員に対してそれを周知することも重要です。全社員に対してメールやチャットなどで情報共有をすることはもちろんですが、オフィスの執務スペースなど、目につきやすい場所に掲示しておく方法もあります。また、企業や組織として本気で取り組むことを印象づけるために、経営層から積極的に周知することも効果的です。

コンプライアンス研修の実施

全社員にコンプライアンスの意識をつねに持ってもらうためには、継続的な啓発が不可欠です。啓発にはさまざまな方法がありますが、効果的な方法のひとつにコンプライアンス研修が挙げられます。

コンプライアンス研修では、そもそもコンプライアンスとはなにか、なぜ自社にとってコンプライアンスが重要なのかなど、基本的な部分を一から学び、コンプライアンスに対する高い意識を醸成します。

また、日常の業務においてどのような行動がコンプライアンス違反になるのか、もしコンプライアンス違反となる行動をとってしまった、または発見した場合、どう対処するべきかを学べると効果的です。加えて、過去に発生したコンプライアンス違反の事例なども紹介するとよいでしょう。

コンプライアンスは重要な経営課題

コンプライアンスには、法令遵守以外にも社会的倫理やモラルを守ることが含まれます。企業の社会的信頼度を高め、企業価値を維持するためにもコンプライアンスは重要な経営課題といえるでしょう。

一口にコンプライアンス違反といっても、業種や企業によってさまざまなリスクがあるため、「自社ではどのようなコンプライアンス違反が発生しそうか」を考えることが必要です。そのうえで、基本方針や行動基準の策定、社内における体制を構築するとともに、コンプライアンス研修などで社員に対して継続的に啓発していくことが企業に求められています。

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