コンプライアンス研修が企業にとって重要な理由とは?カリキュラムの一例も紹介
企業経営において、社会的責任を果たし、社会からの信頼を損なわないためにも、コンプライアンスは極めて重要であり、最優先に取り組むべきものといっても過言ではありません。社員一人ひとりにコンプライアンス意識を高めてもらうためにはさまざまな方法があります。なかでも代表的なのがコンプライアンス研修です。
本記事では、企業がコンプライアンス研修を行う目的やメリット、具体的なカリキュラムの例もあわせて詳しく紹介します。
コンプライアンス研修とは
コンプライアンス研修とは、社員のコンプライアンス意識を高めるためにおこなう研修のことを指します。
コンプライアンスとはなにかという基礎を学ぶことはもちろんですが、コンプライアンス違反を犯した場合にどのような影響が考えられるか、コンプライアンスを守るうえで押さえておくべき知識や法令の内容なども学習します。
コンプライアンスとは
そもそもコンプライアンスとは、企業や組織が法令を遵守することに加えて、社会的な良識やルールに沿って行動・活動することを指します。
つまり、法令を遵守し、ルールに沿っていても、社会的に問題視されるような内容であればコンプライアンス違反にあたる可能性があります。
近年では、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントといったハラスメント行為の防止や、情報セキュリティ対策などもコンプライアンスとして重視されるようになりました。このように、コンプライアンスの範囲は時代とともに変化・拡大しています。
コンプライアンス違反につながりやすい「不正のトライアングル」
不正を未然に防止するためには、不正が起こりやすい構造的な問題を理解することが第一歩となります。そこで重要となるのが、「不正のトライアングル」です。これは、不正行為が発生するのは「機会」、「動機」、「正当化」という3つが揃ったときであるとした理論です
1.機会:不正を成功させる状況があること
例)業務内容を特定の社員しか理解できておらず、不正に気付けない など
2.動機:不正を行うに至った背景や理由があること
例)厳しいノルマを課せられているが、達成が難しい状況にある など
3.正当化:不正行為が悪いことではないと理由づけること
例)書類を一時的に改ざんしたが、後で正しい書類に入れ替えるため問題ない など
コンプライアンス違反をなくすためには、社員一人ひとりの意識を高めることはもちろんですが、不正のトライアングルを生まないような組織づくりも重要となるのです。
企業がコンプライアンス研修を行う目的
企業がコンプライアンス研修を実施する背景には、どういった目的があるのでしょうか。それぞれ解説します。
目的1.企業としての信頼や企業価値を向上させる
コンプライアンス意識の高い企業は、自社の製品やサービスに対する安全管理および品質管理が徹底されており、不正を起こさないような土壌がしっかりとつくられています。
その結果、消費者から企業への信用が高まると同時に、取引先からも信頼性の高い企業であると認識され、企業価値の向上につながっていくことが期待できるでしょう。
目的2.経営リスクの回避
コンプライアンスが徹底されていないと、社員による不適切な行動がSNSなどで拡散され、大きな問題に発展することで、経営に重大な実害をもたらすことも考えられます。
コンプライアンス研修を行うことによって、社員一人ひとりのコンプライアンス意識を高められ、社員の不適切行為や情報漏えいといった経営リスクにつながる事象の回避につながります。
コンプライアンス研修のメリット
コンプライアンス研修を実施することで得られるメリットはなにがあるのでしょうか。具体的なメリットについて解説します。
メリット1.コンプライアンス意識を高めることができる
社員がコンプライアンス違反を重大な問題と認識しておらず、「これくらい問題ないだろう」と考えるケースも少なくありません。また、一般的な常識と社員にとっての常識がかけ離れていることでルール違反と認識しないまま誤った行動をとり、コンプライアンス違反が起こるケースも考えられるでしょう。
コンプライアンス研修をおこなうことにより、守るべきルールや常識を全社員で共有し、認識を合わせることができます。その結果、社員一人ひとりのコンプライアンス意識が高まり、コンプライアンス違反を未然に防ぐことにつながるでしょう。
メリット2.コンプライアンスの違反事例を学べる
ルールや常識を学んだとしても、日々の業務のなかでは具体的にどのようなことが違反にあたるのか判断に迷うことも多いものです。
そこで、コンプライアンス研修のなかで具体的な違反事例を紹介することにより、社員が日々の業務のなかでどういった行為に注意すべきかを学ぶことができます。
コンプライアンス研修の主なカリキュラム
コンプライアンス研修は、具体的にどのようなカリキュラムで行われるのでしょうか。カリキュラムの一例を紹介します。
コンプライアンスの定義
法令や社則、社会的な良識を守ることといったコンプライアンスの定義を紹介します。コンプライアンスと聞いても抽象的で具体的なイメージが湧かないこともありますが、研修のなかで定義を紹介することでその意味を正確に理解できるようになるでしょう。
また、企業にとってなぜコンプライアンスが重要なのか、その背景の解説もカリキュラムに取り入れることにより、社員一人ひとりにコンプライアンス意識を高めてもらうきっかけになります。
コンプライアンス違反が企業・違反者本人に与える影響
万が一、コンプライアンス違反が生じた場合、どのような影響が及ぶのかを社員に学んでもらいます。
企業の信頼性が低下することによる業績の悪化や、最悪の場合倒産に陥る可能性があることはもちろん、企業だけでなく違反をした社員本人にも損害賠償請求や懲戒処分が下される可能性があります。
コンプライアンス違反は会社の問題であると同時に、社員自身の生活にも影響を与える問題でもあることを理解してもらう必要があります。
コンプライアンス違反が起きる原因
コンプライアンス違反の一因としては、過度な利益至上主義やサービス残業の許容といった体質が組織に根付いている場合が挙げられます。このような原因があると、利益のためという名目の違反行為や、サービス残業を理由とした不正の正当化などが発生しやすくなり、コンプライアンス違反の引き金になることもあります。
そこで、なにがコンプライアンス違反にあたるのか、さまざまな事例を参考にしながら、どういった原因によってコンプライアンス違反が起こるのかも研修のなかで紹介します。
コンプライアンスを守るための意識と行動
企業としてコンプライアンス違反を起こさないようにするためには、なにがコンプライアンス違反となるのか、社員一人ひとりが正しい知識を身につけ、高いコンプライアンス意識をもち行動に移すことが重要です。
日々どういった意識をもって業務にあたるべきか、コンプライアンスを守るために注意すべきポイントも研修を通して学習していきます。
コンプライアンス研修を実施し、企業価値を高めよう
コンプライアンス違反は社員本人に自覚がある場合もあれば、違反という自覚がないケースもあります。
故意ではなかったとしても、社員のコンプライアンス違反をきっかけに、企業が社会からの信用を失い、企業価値の低下や業績悪化による企業存続のリスクにつながるおそれもあります。
そこで、コンプライアンス研修を定期的に実施することにより、社員一人ひとりのコンプライアンス意識を高めることができます。また、ルールや倫理観について共通の認識をもつことで、コンプライアンス違反を未然に防ぐことができるのです。
企業としての信頼性を獲得し、さらに企業価値を高めていくためのひとつの方法として、コンプライアンス研修に取り組んでみましょう。