HR Trend Lab

MENU

HR Trend Lab

リテラシーとは? 従業員のITリテラシーを高めるメリットや方法を解説

2024年10月09日更新

人がパソコンを操作する通信ネットワークのイメージリテラシーとは、正しい情報を適切に理解し、活用する能力を指します。なかでも現代のビジネス環境においては、「ITリテラシー」の重要性がますます高まっています。企業が成長し、競争力を維持するためには、従業員全員が基本的なITリテラシーを身に付け、最新の技術に対応することが必要となるでしょう。

本記事では、リテラシーとはなにか、リテラシーの代表的な種類を説明した後に、「ITリテラシー」に注目し、従業員のITリテラシーを高めるメリット、高める方法について解説します。

目次 【表示】

リテラシーとは

会議で説明をしている様子リテラシー(literacy)とは、元来「読み書きの能力」を指します。現代では、必要な情報を集め、活用する応用力といった意味を含むこともあります。

ビジネスシーンにおいては、特定の分野に関する知識や能力を指すのが一般的で、「リテラシーが高い/リテラシーが低い」といった表現がされます。たとえば、後述する「リテラシーの種類」にあるように、「ITリテラシー」や「メディアリテラシー」といった特定の分野と紐づいて用いられる言葉になっています。

スキルとの違い

リテラシーと混同しやすい言葉にスキルがあります。どちらも能力を指す側面がありますが、以下の違いがあります。

  • リテラシー:基本的な理解力や思考力を持ち、特定の分野における知識や情報を適切に扱う能力
  • スキル:特定の業務を効果的におこなうための具体的な技術や能力

リテラシーは知識や情報を活用する能力であり、従業員全員が身に付けていることが望ましいといえるでしょう。それに対し、スキルはより実践的で具体的な能力のため、業務に応じて従業員ごとに求められるものが異なります。

リテラシーの種類

人のシルエットが描かれたピースをとる様子
代表的なリテラシーの種類を4つ紹介します。

ITリテラシー

ITリテラシーとは、ITを活用する能力全般を指し、ITリテラシーのなかにも種類があります。以下は代表的なITリテラシーの例になります。

  • コンピューターリテラシー:パソコンやスマートフォンなどIT機器全般の基礎的な操作や、コンピューターを使って必要とする情報を得ることができる
  • インターネットリテラシー:インターネット上の情報を正しく理解し、適切に扱うことができるほか、SNS上の発信のリスクを理解し、不適切な発信を避ける
  • セキュリティリテラシー:情報漏洩やコンピューターウィルスの感染について理解し、インターネットやツールを安全に使うことができる
  • 情報リテラシー: 数ある情報のなかから必要な情報を取捨選択し、正しい情報を見極め、適切に活用できる

メディアリテラシー

メディアリテラシーとは、新聞、テレビ、雑誌、インターネットといったメディアから発信される情報を、正しく理解し、取捨選択して活用できる能力のことを指します。ITリテラシーに含まれる情報リテラシーと似ていますが、メディアリテラシーは、「新聞、SNS、インターネットなどから正しい情報を取捨選択し活用する力」を指します。

一方、情報リテラシーは「メディア以外も含めた情報を取捨選択し活用する力」を指します。そのため、メディアリテラシーは主にメディアからの情報収集に焦点を当てており、情報リテラシーはさらに広範囲の情報源を対象としています。

ビジネスリテラシー

ビジネスリテラシーとは、ビジネスシーンで必要とされる、コミュニケーション能力、論理的思考能力、課題解決能力などといった能力のことを指します。社会人基礎力と同義とする場合もありますが、知識と教養、語学力や統計の知識などがビジネスリテラシーに含まれる場合もあり、企業や組織、役職によって定義が異なることもあります。

DXリテラシー

DXリテラシーとは、DX(デジタルトランスフォーメーション)(※)に関わる単語を理解し、DXの知識を有する能力のことを指します。また、DXを自分ごとに捉え、変革に向けて個々が行動できるようになる能力も含みます。

(※)DX……組織がデジタル技術を活用してビジネスプロセスや企業文化を変革し、競争力を高める取り組み

DXリテラシーを従業員が持つことで、企業がDXを推進するにあたって、IT専門家やDX推進チームと従業員の間でDXの捉え方に齟齬がなく、共通言語として話し合うことができ、円滑な推進につながるとされています。

ここからは、ITリテラシーについて詳しく解説していきます。

従業員のITリテラシーを高めるメリット

人差し指を立て、1番のサインをする様子
近年は多くのビジネスシーンでITが不可欠となり、従業員のITリテラシーを高めることの重要性が増しています。たとえば、従業員のITリテラシーが低いとシステムやデジタルツールの活用も不十分となり、他社に対して生産性や競争力に後れを取り、企業価値の低下につながる可能性があります

また、SNSをはじめとした広報の手段を用いて、企業が情報発信することが増えており、インターネットリテラシーをはじめとしたITリテラシーを高めることで、投稿内容に気を付け、炎上リスクを減らすことも重要になっています。以下で、従業員のITリテラシーを高めるメリットを具体的に紹介します。

業務の効率化により生産性が向上する

従業員のITリテラシーが高いことで、社内のペーパーレス化、チャットツールの利用、プロジェクト管理ツールの活用などのIT化の推進もスムーズにおこなえ、効果的な活用も見込めます。さまざまなITツールを活用できることで、業務の効率化や自動化がされ、生産性の向上が見込めるでしょう。

DXの推進につながる

DXの推進によるビジネスモデルの変革といったことは、デジタルを活用し、全社で横断的におこなう必要があり、従業員のITリテラシーが低いとそもそも実現が難しいといえます。また、ITリテラシーだけでなく、DXリテラシーも兼ね備えていることで、社内のDXを推進しやすくなります。

情報共有を素早くおこなえる

ITリテラシーが高いことで、メールやチャット、ビデオ会議ツールを使いこなし、適切なツールを用いて必要な情報を集め、素早く情報を発信することができます。これにより情報共有が素早くおこなえ、社内の情報格差も生まれにくくなります。また、普段から情報共有が盛んになることで、意見や議論が生まれやすく、コミュニケーションも活発になることが期待できます。

セキュリティ強化と情報漏洩リスクの低下

IT化は便利な反面で、IT機器やITツールを適切に扱えなければ情報漏洩をはじめとしたリスクを抱えている側面を持っています。メールの宛先を間違えて社外秘の企画を他所へ送ってしまうことや、社内の情報が入ったUSBの紛失、心当たりのないメールを開いてコンピューターウィルスに感染してしまったなど、普段の業務で起こり得る情報漏洩はさまざまです。

ITリテラシーが高ければ、セキュリティへの意識が高くなり、情報を適切に扱うことができ、情報漏洩を防ぐことにつながるでしょう。

従業員のITリテラシーを高める方法

収益と利益の増加を示す上昇矢印を持つビジネスマン従業員のITリテラシーを高める方法を紹介します。

リテラシー向上の研修を実施する

基礎的なITリテラシーを高めてもらうためには、研修の実施が効果的です。社内にITに精通した従業員がいる場合、講師となってもらうのも一つの方法ですが、外部の講師を招いて実施する方法もあります。外部の講師は、ITに関する高度な知識を備えているだけでなく、効果的な研修を実施する専門家であるため、教えてもらうには適しているでしょう。

全従業員を対象とした研修を実施する場合には集合型の研修のほか、eラーニングも効果的な方法の一つです。eラーニングは、従業員が場所や時間に縛られずに学習でき、同じ学習内容を提供することできるため全員が同じ基準の知識を習得しやすいです。基本的なコンピュータースキルや、情報セキュリティ意識向上など、ITリテラシー向上において前提となる基礎的な内容を盛り込みましょう。

資格取得の推奨や支援をおこなう

従業員個々の希望に合わせてリテラシーを高めてもらうには、従業員の資格取得をサポートすることも一つの方法です。たとえば、従業員の資格取得にかかる受験費用を補助したり、資格手当を導入したりといった方法があります。また、先にも説明したeラーニングによるオンライン学習で、従業員が資格取得に向けて自主的に学習できるような環境を作ることも効果的です。

代表的なITリテラシーに関する国家資格には、「ITパスポート試験」が挙げられます。資格取得により、目標設定や目標達成による達成感、スキルアップの実感を得られ、従業員のモチベーション向上につながります。これらの取り組みを通じて、従業員全体のITリテラシーを高めることにもつながるでしょう。

社内のITシステム・環境の整備

研修の実施や資格取得のサポートをおこなっても、実務でITシステムやツールに触れる頻度が低いとITリテラシーは向上しづらいものです。そのため、従業員が日常的にITツールに触れる環境を整えることが重要です。具体的には、パソコン、スマートフォン、タブレット、周辺機器などの整備をおこない、従業員が快適に利用できることが求められます。

また、ITシステムを新たに導入する場合、業務改善・課題解決を目的として導入しますが、システムの使いやすさに着目することも重要です。実際にシステムを使用する従業員がスムーズに活用できるように、「直感的で使いやすいインターフェースになっているか」「必要な情報がわかりやすく提供されているか」といった点も導入前に確認しましょう。

加えて、IT関連の問題に対するサポート体制を整えることも大切です。たとえば、ITリテラシーの高い従業員をロールモデルとして位置付け、ほかの従業員がアドバイスを求めやすくしたり、サポート窓口を設置したりするなどがよいでしょう。

従業員のリテラシー向上に取り組み、企業の競争力を高めよう

人が握手するチームワークの図
情報漏洩や情報発信による炎上といったリスクを避け、ITシステムの活用によって生産性を高めることや、 DX化の推進が叫ばれる今、「ITリテラシー」が重要性を増しています。従業員のITリテラシーが高いほど、企業にとってビジネスの成果や競争力の向上につながるでしょう。

そのためにも企業は、従業員のITリテラシーを高める研修や資格取得の支援、社内のITシステム・環境の整備に取り組んでいくことが求められています。本記事を参考に、従業員のITリテラシー向上の取り組みを検討してみましょう。

人気記事ランキング
注目キーワード
研修・診断サービス
  • マイナビ エンゲージメント・リサーチ
  • 社会人基礎力診断
  • ムビケーション
→
←
Career Research Lab マイナビ研修サービス ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 外国人採用サポネット 日本エンゲージメント協会 HUMAN CAPITAL サポネット ナレビ マイナビキャリアサポート