サービス企業における人材開発を考える
日本では近年、「サービス」に対する学術的・実務的関心が高まっています。
その背景には、雇用とGDPの約7割を占める広義のサービス業が経済成長の鍵とされることや、増大する訪日外国人旅行者の消費促進に向けた観光関連サービスの強化が要請されていることなどが挙げられます。
たとえば人材面では、顧客接点における従業員の役割の重要性が強調されたうえで、「おもてなし」やサービス・イノベーションを支える経営人材・従業員の能力開発が論じられています。
そこで今回は、サービス企業における人材開発について考えてみましょう。
ここでは大まかにふたつのポイントを取り上げます。
ひとつは、人材開発の対象となる能力(コンピテンシー)とその開発手法です。
ベルギーのルーヴェン・カトリック大学教授バート・ヴァン・ローイ氏らは、サービスをその提供場面における相互作用の特徴をもとに3つのタイプ(ルーティン志向、課題解決志向、対人志向)に分類したときに、タイプごとに重要視されるコンピテンシーとその効果的な開発手法が異なることを指摘しています。
つまり、個別の人材が従事するサービスの特性に合わせた人材開発のカスタム化が重要となります。
しかし他方で、サービスのタイプを問わず求められる能力の開発に向けた全社的取り組みにも注力する必要があります。