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企業文化とは?重要性や形成するために必要な8つの要素

2025年07月28日更新

企業文化とは、企業のなかで共有されている価値観や考え方、行動のあり方のことです。企業文化が広く深く根付くことで、社員にとっては同じ価値観・行動規範を共有する連帯感が生まれ、ある種の指針となってチームワークを良くする潤滑油のような役割を果たしてくれることが期待できます。

本記事では、企業文化の概要や重要性、企業文化形成のために必要なこと、作り方、企業事例、企業文化を作るうえでの注意点を解説します。

目次 【表示】

企業文化とは

企業文化とは、企業のなかで共有されている価値観や考え方、行動のあり方を指します。これは、企業の歴史や経営方針、これまでの経験の積み重ねによって形成されていくものであり、時には経営者の考え方や社内の慣習として受け継がれていくものです。

また、従業員の行動や意思決定に影響を与えるだけでなく、社外に伝わる企業イメージにもつながるため、企業文化が及ぼす影響は大きいといえるでしょう。ただし、企業文化に絶対的な正解があるわけではなく、重要なのは自社の価値観や組織のあり方に合った文化を意識的に育てていくことです。

企業文化と企業風土との違い

企業文化とよく似た言葉に「企業風土」がありますが、両者は指すものが異なります。

企業文化は、企業の歴史や経営者方針の理念など企業の「ありたい姿」に近い存在であり、これまでの経験の積み重ねによって意図的・体系的に培われた価値観や考え方を指します。一方、企業風土は、従業員の間で自然と共有されてきた暗黙のルールや習慣といった「職場に根付いた空気感」ともいえるでしょう。

企業文化は経営層や現場の従業員など、組織のさまざまな層が関与して形成されるのに対し、企業風土は現場での積み重ねや実態にもとづいて醸成されるという違いがあります。

企業文化と社風との違い

社風は、従業員が日々の仕事のなかで感じる会社の雰囲気や特徴を指す言葉であり、「活発」「おおらか」「アットホーム」など感覚的な要素が中心です。従業員の感じ方によって社風の印象が異なることもあり、「見える・感じる雰囲気」に重きがあるともいえ、より主観的・表層的な特徴が強くなりやすいでしょう。

企業文化は、その企業が大切にしてきた価値観や行動のあり方などを指すのに対して、社風はより雰囲気や性格といった表面的な部分を表すといえるでしょう。

企業文化の重要性

黒板にチェックボックスを描く様子

企業文化は、企業と従業員が共通して持つ価値観や行動指針となるものです。

企業文化がしっかりと根付くことで、従業員が同じ方向を向いて業務に取り組め、組織としての一体感が生まれます。その結果、チームワークの向上や業務の効率化、離職率の低下など、企業にとって多くのメリットが期待できるでしょう。

チームワークを強化する

企業文化が明確であり、それが社内に浸透していれば、従業員は判断や行動の基準を共有されている状態のため、意思疎通がスムーズになり、チームとしてのまとまりが生まれます。

とくに社員数の多い企業や、部門ごとに業務が細分化されている企業では、企業文化が一体感を保つための軸となります。共通の目標意識があれば、部署の垣根を超えた協力体制や、日常的なコミュニケーションも活性化しやすくなります。

業務パフォーマンスを高める

企業文化が組織に浸透していると、企業として、あるいは業務において「なにを大切にするか」という価値判断が明確になり、業務における迷いや判断の遅れが減るとともに、自主的に行動できるようになります。

たとえば、「変化に柔軟に対応すること」を重視する文化がある職場では、現場での工夫や調整が自発的におこなわれ、結果として業務の質やスピードの向上といった業務パフォーマンスを高めることにつながるでしょう。

離職率の低下と人材定着につながる

企業文化が従業員にとって共感でき、納得感のあるものであれば、社内の雰囲気が良くなり、働くことへの満足度が高まることで離職のリスクを下げる効果が期待できます。

とくに、価値観や行動指針が一貫している環境では、「なにを期待されているのか」が明確になり、日常のコミュニケーションや評価に対する納得度が高まりやすくなると考えられます。こうした積み重ねが、帰属意識を高め、長期的な就業意欲にもつながるでしょう。

さらに、採用時に企業文化や価値観を丁寧に伝えることで、それに共感できる人材を採用しやすくなり、ミスマッチによる早期離職を防ぐことも期待できます。結果として、人材採用や教育にかかるコスト削減にもつながる可能性があるでしょう。

企業文化を形成するために必要なこと


ここでは、企業文化を構成する8つの要素について解説していきます。企業文化を定着させるためにも、まずは必要な要素を把握しましょう。

ビジョン(Vision)

「ビジョン(Vision)」とは、企業の理想や目標のことです。「理念」とも呼ばれており、企業文化の根源といえます。ビジョンがしっかりと定まっている企業は、それを達成するための価値観もうまく作りあげていけます。簡潔明瞭で優れたビジョンは、従業員の意思決定の道標となり、ビジネスパートナーや顧客など外部からの支持も得られやすくなります。

果たすべき使命(Mission)

「果たすべき使命(Mission)」とは、事業を通じて成し遂げたいことを意味しており、企業活動をおこなううえでの基礎となる考え方のことをいいます。使命は、企業としての社会的な存在意義や存在価値にも大きく関わってきます。また社内へのメッセージ性も高く、企業文化が醸成される過程で重要な役割を果たします。

価値観(Values)

「価値観(Values)」とは評価基準のこと。企業にとってなにが重要で、なにが重要でないかの価値を示します。そのなかでも中核的な存在の価値観は「コアバリュー」と呼ばれており、企業文化を構成する要素の中心となります。

ビジョンが企業の使命を明確に表現しているのに対し、価値観はビジョンを達成するために必要な行動様式や考え方について一連の方針を示しています。また、仕事の質や顧客への誠実さ、社内での言動にも影響を与えます。

これらのことから価値観は、ビジョンと結びついたものにする必要があります。また価値観は、多くの人に受け入れられなければ意味がありません。価値観で大事なのは、独創性ではなく、信ぴょう性です。

慣行(Practices)

「慣行(Practices)」とは、企業のなかで「継続的」「日常的」におこなわれている行動や習慣のこと。ビジョンや価値観がどんなに素晴らしいものでも、企業の慣行に反映させなければ、企業文化を醸成することはできません。企業文化を醸成するためには、ビジョンや価値観を日々の業務の一つひとつに組み込む必要があります。

人材(People)

企業文化を築くには、ビジョンや価値観に共感してくれる人材が必要です。共感してくれる人材が多いほど、企業文化を揺るぎないものにできます。またこのような人材は、離職率が低いため、生産性の向上や経営の安定にもつながります。

ストーリー(Narrative)

「ストーリー(Narrative)」とは、企業が持つ歴史のこと。創業時の話、商品やサービスを生み出した経緯など、企業の歴史はさまざま。このようなストーリーが後々まで語られ、さらに現代の文化も取り入れられることで、企業文化はより揺るぎないものになるでしょう。

場所(Place)

「場所(Place)」も、企業文化を構成する要素です。そのため本社や支社を置く地域の特色に合わせた企業文化を作っていくことも大事。またオフィス内の環境も企業文化を左右することがあるため、場所に含まれています。

外部からの影響(Environment)

企業文化は「外部からの影響(Environment)」を受けて変化することもあります。たとえば企業を取り巻く状況が変化することにより、これまでのビジョンや価値観に変化が起きたときは、今後の企業の方向性を合わせて、企業文化を見直してみるのもよいでしょう。

企業文化の作り方


企業文化を構成する8つの要素を確認したところで、今度はどのように企業文化を作っていけばよいのかをみていきましょう。可視化と醸成の2ステップに分けてポイントを紹介します。

企業文化を把握し、掲示する

企業文化を作るにあたり、まずは自社の現状を把握しましょう。自社の現状の把握とは、従業員の考えを知ることです。「どのようなビジョンを望んでいるのか」「どのような価値観を持っているのか」「従業員の年齢や性別の構成比」などをアンケートや話し合いの場を設けて、確認していきましょう。

こうした調査をもとに、どのような企業文化を作りたいか定まったら、文章にして従業員や社外へ提示します。文字に起こすことで「従業員一人ひとりが企業文化を意識できる」「社外へアピールしやすい」といったメリットが生まれます。

企業文化の醸成

企業文化を醸成させていくには、社内制度や仕組みなどを見なおす必要があります。社内制度や仕組みを企業文化に沿ったものにすることで、日常的に企業文化を意識して行動してもらえるようになります。また、従業員に企業文化作成の背景を知ってもらうことも大事です。社員研修や社内イベントなどを実施して、自社の企業文化のことを深く理解してもらいましょう。

そして企業文化を根付かせるには、企業文化に沿って取られた言動の評価をおこなうことも必要です。そのため、企業文化に共感して業務をおこなう従業員を適切に評価できるように、企業文化作成と並行して、会社の評価基準を見なおすことも重要となります。またオフィス環境の整備も、企業文化を醸成させるのに役立ちます。

根付かせたい文化が実現しやすいオフィス環境にすることで、よりいっそう浸透しやすくなることが見込めることでしょう。

企業文化が醸成された事例

窓に映るビジネスマンのシルエット
企業文化が醸成された企業事例を2つ紹介します。

freee株式会社様

freee株式会社では、「マジ価値を届けきる集団であること(マジ価値)」を企業文化の中核に据え、全社員がこの価値観を共有するための取り組みを重ねています。特徴的なのは、「あえて共有(あえ共)」という文化の存在です。業務連絡にとどまらず、課題や失敗談、個人の気づきなどを全社員参加型の社内SNSで積極的に共有することで、社員同士の信頼関係や学び合いを生み出しています。

また、「マジ価値」や「あえ共」をはじめ、「ジャーマネ(=マネージャー)」といった親しみやすい呼び名や、クレームを「ラッキー」、バグを「ハッピー」と呼ぶ独自用語を使うことで、「どういう意味なのか」という問い直し、理解しようとする姿勢を生むことが企業文化の理解と浸透につながっています。

株式会社コンカー様

株式会社コンカーは、「働きがいの向上」を経営戦略の中心に据え、社員が働きがいを実感できる企業文化の醸成に取り組んでいます。具体的には、「フィードバックし合う」「教え合う」「感謝し合う」の3つの文化を軸に、全社横断で文化づくりを担う有志プロジェクト「タスクフォース」を推進しています。

さらに、パルスチェックや部門間連携調査などのモニタリングを通じて施策の効果を検証し、PDCAを回すことで、社員の働きがいを高める文化を継続的に育んでいます。これらの取り組みにより、社員のモチベーション向上や組織の活性化を実現しています。

企業文化を作るうえでの注意点

注意点のイメージ
企業文化を作るうえで注意したいポイントを紹介します。

イノベーションが生まれにくくなる可能性がある

企業文化が強く定着しすぎると、既存の価値観ややり方に固執しやすくなり、新しいアイデアや異なる視点が受け入れにくくなるおそれがあります。これにより、変化への柔軟性が失われ、結果としてイノベーションが生まれにくくなる可能性があります。組織の活性化や新しい価値創出のためには、柔軟性を保った文化づくりが求められます。

多様性を損なう可能性がある

企業文化の統一を重視しすぎると、「文化に合わない人材」を排除する空気が生まれ、多様な価値観や背景を持つ人材の受け入れが難しくなる場合があります。これでは本来の企業力を高めるはずの多様性が損なわれてしまいます。企業文化の構築にあたっては、共通の価値観を持ちつつも、個々の違いを尊重するバランスが重要です。

自社にとって最適な企業文化を作ろう


企業文化は、企業の価値観や行動のあり方を形づくる重要な要素です。自社の歴史や経営方針を踏まえて文化を形成し、社内に醸成させていくことで、従業員の一体感や業務パフォーマンスの向上、離職率の低下といった多くのメリットが期待できます。ただし、文化を強めすぎることで柔軟性や多様性を損なわないよう注意も必要です。

自社にとって無理のない、納得感のある企業文化を育てていくことが、組織の持続的な成長につながるでしょう。

著者プロフィールHR Trend Lab編集部
タレントマネジメントやエンゲージメントなどの最新トレンドから、組織や人事にまつわる基本知識までマイナビ独自の視点でお届けいたします。
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