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ジョブ・クラフティング~若年労働者の職場における能力向上~

2021年07月14日更新

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本コラムのポイント

ポイント①
上司が業務プロセスに対してフィードバックを与えることで、若手社員のジョブ・クラフティングを促進することができる(タスク・人間関係・認知の全てで有効)

ポイント②
これまで認知次元のジョブ・クラフティングにのみ焦点が当てられてきたが、意識を変えるだけでなく、実際に労働環境や人間関係について物理的に変化させることも「職場で必要な能力の向上」には重要である。

本コラムの概要

新しく入社した若手社員をどのように育てていくかは、企業にとって長年頭を悩ませる課題であるといえるでしょう。昨今では、大学教育の現場においても実社会で必要な知識・技能の乖離が問題視され始めていますが、まだまだ実社会で活かすような人材を育てるような学習環境が整備されているとは言い難い現状があります。

本コラムでは、「ジョブ・クラフティング」という考え方に注目し、若手をどのように育てるのかについて考察します(本コラムは教育工学会誌に掲載された、池田ほか(2020)の論文を基にしています)。

すでに明らかになっている研究の結果(Weseler & Niessen 2016, Yang et al.,2017など)として、ジョブ・クラフティングが起こることによって、社員のやる気や仕事への愛着を増進する効果が確認されています。社員長期雇用制度の崩壊や社員の職場での出世意欲の減退などの問題が指摘される中、どのような対応が若手社員の就労意欲を向上させるのか、若手社員の知識・技能を向上させるのかについて、貴社の若手社員教育の一助となりますと幸いです。

ジョブ・クラフティングとはなにか? ―ジョブ・クラフティングの3つの次元

ジョブ・クラフティングは、ペンシルバニア大学のヴェジェスニエフスキーとダットンによって2001年に提唱された比較的新しい考え方です。平易な言い方をすれば、ジョブ・クラフティングとは「社員本人が働き方を変えていくこと」を意味しています。

働き方を変えるとは具体的にはなにを変えるのでしょうか?ヴェジェスニエフスキーらによると、社員が働き方を変える要素は3つあると言われています。

・タスク(労働環境):仕事の内容の範囲や、やり方を変える(配置転換など外部からの強制的な変化とともに、本人自身が同じ仕事でもやり方を変える場合も労働環境の変化に含まれる)

・人間関係:仕事を遂行する上で関わる人とのコミュニケーションの量および質を変える

・認知:仕事に対する捉え方を変える(労働環境や人間関係が変わらなかったとしても、その捉え方そのものを変えることで働く自分自身の意識に変化を起こすことができる)

 
言い換えるならば、ジョブ・クラフティングとは、「社員一人ひとりが仕事に対して物理的(タスク・人間関係)、心理的(認知)な変化を起こすこと」と言えるでしょう。とくに認知次元での変化は、昨今の若手社員に失われがちな、モチベーションやワークエンゲージメントなどと関連していると指摘されています。

ジョブ・クラフティングとやりがい

ジョブ・クラフティングと、モチベーションやワークエンゲージメントといった、いわゆるやりがいとの関連をよく表した例として、著名な経営学者であるドラッカーの「3人の石工の例え話」が挙げられます。まったく同じ仕事をしている石工3人になにをしているのかを尋ねるという例え話です。

この時、全員が同じ仕事をしているにもかかわらず、一人は「生活のためにレンガを積んでいる」と答え、もう一人は「素晴らしい建物を建てる技術を磨くためにレンガを積んでいる」と答え、最後の一人は「みんなが祈ることができる教会を作るためにレンガを積んでいる」と答えた、というものです(それぞれの答えは、Job – Career – Callingという仕事観と関連していますが、本コラムにおいて説明は省きます)。

ドラッカーの例は同じ仕事をしていても、本人の捉え方によってやりがいが変わるというものです。しかし、この例でなお大事なことは、こうしたやりがいは、当然のことながら本人が自主的にそう思うものであるということです。上司、あるいは周囲が「やる気をだせ」「やりがいを見いだせ」と言ったところで、社員をそのように誘導することはできません。

では、どうすれば、若手社員のジョブ・クラフティングを引き起こすことができるでしょうか。

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