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リーダーシップの種類にはどのようなものがある?代表的な理論も紹介

2023年07月05日更新

不特定多数のメンバーが働く組織において、共通の目標やビジョンを達成するためには強力なリーダーシップが求められます。しかし、一口にリーダーシップといってもさまざまなスタイルがあり、組織の特性に応じて使い分けることが重要です。

本記事では、代表的なリーダーシップ理論について紹介するとともに、6種類のリーダーシップスタイルの違いについても解説します。

目次 【表示】

リーダーシップとは

リーダーシップとは、組織のなかで目標を定め、組織を維持しながら成果を出す能力のことを指し、日本語では「指導力」や「統率力」と表現されることもあります。

「リーダーシップがある」と聞くと、周囲を引っ張っていける頼りがいのある人をイメージすることが多くあるのではないでしょうか。そのため、リーダーシップは先天的な性格・人格によって形成されるものと誤解されがちですが、トレーニングによって後天的に身につくスキルであるという考え方が現在では主流となっています。

オーストリア生まれの経営学者であるピーター・ドラッカーは、リーダーシップに必要なのはカリスマ性ではなく人格を高めることであるとしたうえで、以下の3つの考え方を定義しました。これらはいずれもトレーニングによって高められるとしています。

  • ・リーダーシップは仕事−「資質ではなく仕事」
  • ・リーダーシップは責任−「地位や特権ではなく責任とみること」
  • ・リーダーシップは信頼−「『つき従う者』がいるということ」

なお、リーダーシップに関する詳細は以下のページでも解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。

代表的なリーダーシップの理論

ピーター・ドラッカーのリーダーシップの定義はあくまでも一つの考え方であり、これ以外にもさまざまなリーダーシップ理論が唱えられています。

そのなかで代表的なリーダーシップ理論として、「PM理論」「SL理論」とよばれるものがあります。それぞれの理論の概要を紹介しましょう。

PM理論

PM理論とは、日本の社会学者である三隅二不二(みすみじゅうじ)が提唱したリーダーシップ理論です。

リーダーの行動について、目標達成能力を指す「パフォーマンス(P)」と集団維持能力を指す「メンテナンス(M)」の2文字で表しており、それぞれの要素の強弱を大文字と小文字で表現していることが特徴です。

「PM」、「Pm」、「pM」、「pm」の4パターンに分けて表現することで、 リーダーの資質や現状を理解し、解決すべき課題を可視化するために用いられることが多くあります。

SL理論

SL理論とは、アメリカの行動科学者であるポール・ハーシィと、作家・起業家のケン・ブランチャードが提唱したリーダーシップ理論です。

 リーダーシップのとり方を、S1(指示型)、S2(説得型)、S3(参加型)、S4(委任型)の4つに分類し、相手の習熟度によって最適なスタイルを選択することで、より効果的なリーダーシップを発揮するというものです。

ダニエル・ゴールマンが提唱した6種類のリーダーシップスタイル

上記のPM理論、SL理論以外にも、リーダーシップにはスタイルによる分類方法があります。アメリカの心理学者であるダニエル・ゴールマンが提唱した6種類のリーダーシップスタイルを紹介します。

ビジョン型リーダーシップ

ビジョン型リーダーシップは、多くのメンバーを巻き込む、6種類のリーダーシップスタイルの中でもっとも前向きなリーダーシップスタイルです。

リーダーがビジョンを掲げ、そのビジョンを実現するためにメンバーが一体となって取り組むことが特徴として挙げられ、具体的な方法や手段はリーダーが押しつけるのではなくメンバーの自主性を尊重します。

メンバーの組織に対する帰属意識を高められるため、企業の急成長期に用いられることの多いリーダーシップスタイルでもあります。企業規模を問わず、組織として大きな目標を達成しなければならない場合に有効なスタイルといえるでしょう。

ただし、ビジョン型リーダーシップは、リーダー自らが強くブレない信念をもっていることが前提となります。

コーチ型リーダーシップ

コーチ型リーダーシップは、リーダーがメンバーと1対1の関係を重視し、コーチングをしながら進めていくリーダーシップスタイルです。

メンバー一人ひとりの目標に寄り添い、個々の強みや性格、価値観などを尊重し、メンバーに合ったサポートをすることが特徴といえるでしょう。

実務経験者が多い組織や、メンバー一人ひとりに主体性が備わっている組織に有効なスタイルであり、メンバーの高いモチベーションを維持しながら組織目標の達成に近づけることができます。

ただし、リーダーがメンバー全員に目を向けることは難しく、リーダーへの負担がかかってしまう懸念があります。

関係重視型リーダーシップ

関係重視型リーダーシップは、メンバー同士の関係性や感情に配慮するリーダーシップスタイルです。

チーム内のメンバー一人ひとりの人間関係を良好に保てるよう調整し、チーム内の信頼関係を築き上げていくことが特徴です。

さまざまな役割をもったメンバーがチーム内に存在し、それぞれの利害関係を考慮・調整しながらプロジェクトを進めていかなければならない場合に有効なスタイルといえるでしょう。また、さまざまな事情でチームワークや信頼関係が乱れた場合に、それを修復するためにも有効です。

ただし、関係重視型リーダーシップでは、チーム内の関係性を重視するあまり組織の目標達成が後回しになってしまう懸念もあるため、ほかのリーダーシップスタイルとの併用が望ましいといえるでしょう。

民主型リーダーシップ

民主型リーダーシップは、メンバーからさまざまな意見を広く集め、目標の達成や課題解決のための提案を歓迎し、合意形成を図りながら仕事を進めていくリーダーシップスタイルです。

リーダー自らがメンバー一人ひとりと同じ目線や立場で物事を考え、良好な関係性を保てることも民主型リーダーシップスタイルの特徴といえるでしょう。

現場が抱える課題が複雑で、リーダーが判断できない場合などに有効な方法であるほか、新規事業や業務プロセス改革など斬新なアイデアが必要な場合などにも効果的です。

ただし、民主型リーダーシップでは、リーダー一人による意思決定ではなくメンバーの意見を反映しながら物事を決めていくため、メンバー一人ひとりの能力が高く自律性が備わっていることが前提となります。

ペースセッター型リーダーシップ

ペースセッター型リーダーシップは、リーダー自らが実務能力に長けており、組織を引っ張っていけるような優れたパフォーマンスを発揮するリーダーシップスタイルです。

リーダー自身が一流のプレイヤーでもあることから、メンバーからの信頼を得やすく、組織全体のパフォーマンス向上にも貢献できるでしょう。とくに営業部門や開発部門などのように、個人のスキルや経験が直接的に成果に反映されやすく、職種が限定された部門やチームに有効なスタイルといえます。

ただし、ペースセッター型リーダーシップは、リーダー自身がプレイヤーとして仕事をこなしすぎてしまった場合、人材が育成されないといった問題が生じる懸念もあります。

強制型リーダーシップ

強制型リーダーシップは、その名の通り上司から部下に対し強い指示・命令を出す、トップダウン型のリーダーシップスタイルです。

ほかのリーダーシップスタイルが通用せず問題が解決できないときや、災害時など迅速な意思決定が求められる場合などに有効です。

強制型リーダーシップは業務そのものを円滑に遂行できるメリットがある一方で、メンバーの士気が低下するなどして離職率が高まる原因になることもあります。そのため、あくまでも状況や場面に応じて短期的に活用することでリーダーシップの効果を発揮しやすくなります。

リーダーシップ理論やリーダーシップスタイルを取り入れる際のポイント

さまざまなリーダーシップ理論やスタイルがあるなかで、組織や状況にマッチしたリーダーシップを実現するには、どのような視点で選べばよいのでしょうか。

組織の現状や特性に応じて使い分ける

まずは組織の現状や特性を見極めることが重要です。たとえば、新規事業やプロジェクトを立ち上げたばかりの段階では、ビジョン型リーダーシップを目指すことで事業を早期に軌道に乗せることが期待できるでしょう。

一方、災害発生時や障害発生時など、緊急対応が求められる際には、適切な判断のもとでトップダウンの指示によって早期復旧ができるよう、強制型リーダーシップへ切り替えることもひとつの方法といえます。

市場や価値観の変化に即したリーダーシップを考える

不確実で将来を見通しにくいVUCA時代が到来し、人々のニーズや価値観も大きく変化しています。

従来の組織では、上司が部下に対して業務の指示を出し、部下はそれに従う強制型リーダーシップが主流となっている企業も少なくありませんでした。しかし、時代の変化とともにビジネス環境も変わっており、世の中のニーズや価値観に対して柔軟に対応することが求められています。

多様な立場からの意見や価値観を取り入れることが重要であり、そのためには民主型リーダーシップやコーチ型リーダーシップなどがマッチする場合もあるでしょう。従来のスタイルや方法にとらわれるのではなく、時代に即した方法を検討し、柔軟に取り入れていくことが重要です。

リーダーシップを発揮するために重要なスキル

組織を引っ張っていくリーダーにはさまざまなスキルが求められます。どのリーダーシップスタイルにも共通で必要とされるスキルを3つ紹介しましょう。

行動力

リーダーは組織のメンバーを引っ張っていく立場にあることから、指示や命令を出すだけでなく自らが行動し実践していく行動力が求められます。実務能力はもちろんのこと、組織が目指すビジョンや目標を繰り返し発信し続けることなども重要といえるでしょう。

コミュニケーションスキル

組織全体のパフォーマンスを高めていくためには、メンバー一人ひとりの個性や強みを活かす必要があります。メンバーにどのような強みと弱みがあるのかを把握し、価値観や考え方を知るためにもコミュニケーションスキルは必須といえるでしょう。

意思決定力

事業やプロジェクトの運営にあたっては、想定外のトラブルや問題が発生することも少なくありません。臨機応変に正しい判断をし、即座に決断できる意思決定力もリーダーに求められます。

リーダーシップスタイルの種類を把握し、使い分けよう

一口にリーダーシップといっても、メンバーの主体性を活かすコーチ型リーダーシップや、メンバーに強い指令を出す強制型リーダーシップなどさまざまな種類があります。

どのリーダーシップスタイルが正しい、または誤っていると一概に判断することはできず、組織の現状や特性、さらには時代や市場の変化などに応じて使い分けることが重要といえるでしょう。

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