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後継者育成の重要性とは?企業が取り組むべき3つの実践方法を解説

2025年12月24日更新

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企業の持続的な成長には、適切な後継者の存在が不可欠です。しかし、経営者の高齢化が進む一方で、多くの中小企業では後継者不足が深刻化しており、黒字経営であっても廃業を選択せざるを得ないケースも増加しています。

本記事では、後継者育成の重要性や実践方法をわかりやすく解説します。さらに、現場との連携や長期的な視点など、育成を成功に導くためのポイントもあわせて紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

目次 【表示】

後継者育成とは?なぜ重要なのか

資料

企業の継続的な発展には、次世代の経営を担う適切な後継者の存在が欠かせません。まずは後継者育成の基本的な定義と、現代において重要視される背景を確認していきましょう。

後継者育成の定義

後継者育成とは、企業の将来を担う次世代経営者を計画的に育成する取り組みです。単なる技術的なスキル習得ではなく、経営判断能力、リーダーシップ、企業理念の継承など総合的な経営者としての資質を発揮できるようにすることが目的となります。

後継者育成が重要な理由

後継者育成が重要な理由は、経営者の高齢化が進む中で後継者不在による廃業が増加しており、早期からの計画的な育成が企業の存続と成長に直結するためです。

実際に中小企業庁の「事業承継・引き継ぎの推進に向けて」によれば、後継者を決めてから事業承継が完了するまでの移行期間は3年以上を要する割合が半数を上回り、10年以上かかるケースもあります。このように後継者育成には長期間を要するため、早期からの取り組みが不可欠です。

2023年時点の経営者年齢は平均60.5歳であり、過去最高を更新しています。70歳以上の経営者の割合も継続して増加しており、後継者不在率は近年低下傾向にあるものの依然として高い水準です。

特に深刻なのは、2023年に休廃業・解散した企業が5万件近くに上り、そのうち黒字廃業の比率が5割を超えている点です。廃業理由を見ると、「適切な後継者が見つからない」「子どもに継ぐ意思がない」など、後継者不在による廃業が約3割を占めています。たとえ優良企業であっても承継問題で事業継続を断念せざるを得ない状況が珍しくありません。

また、コーポレートガバナンスコード(企業統治指針)では、上場企業に対して後継者育成を義務付けています。透明性の高い経営体制構築が求められており、ステークホルダーへの説明責任を果たす観点からも後継者育成は重要です。

参考:中小企業庁|事業承継・引き継ぎの推進に向けて

後継者育成の課題とリスク

リスクのイメージ

多くの企業が後継者育成の重要性を認識していながらも、実際の取り組みではさまざまな課題に直面しています。ここでは、後継者育成における主要な課題と、育成を怠った場合のリスクについて詳しく解説します。

後継者育成における主な課題

後継者育成において、候補者の確保から育成体制の構築・運用まで、さまざまな段階で課題が横たわります。

【後継者育成の主な課題】

  • ・後継者候補がいない(親族内に適任者がいない、社外からの招聘が困難など)
  • ・後継者候補を見つけられない(候補者を選出する基準が明確でない、誰を育成すべきか判断できないなど)
  • ・育成の仕組みが整っていない(計画的な育成体制や評価基準が確立されていない、場当たり的な対応になっているなど)
  • ・育成の仕組みが機能していない(学習内容が偏っている、現場の反発がある、候補者本人の意識不足など)

「育成の仕組みが機能していない」という課題を抱える企業のなかには、スキルや知識の習得には力を入れても、経営者としての視座やマインドを養う機会が不足しているケースがあったりします。また、座学研修のみで実践的な経験を積む機会がなかったり、逆に現場経験だけで体系的な学習の機会がなかったりと、学習方法にも偏りが生じがちです。

これらの課題は複合的に絡み合い、計画的な後継者育成が難しくなってしまいます。

後継者育成を怠るリスク

後継者育成を怠ることは、企業経営に深刻な影響を及ぼします。主なリスクとして、次の3点が挙げられます。

  • ・事業運営の停滞
  • ・後継者不在による廃業・解散
  • ・組織内の混乱と業績悪化

万が一、経営者の突然の退任や健康問題が生じた場合、適切な後継者がいないと事業運営全体に支障をきたします。さらに、準備不足のまま事業承継がおこなわれれば、経営判断能力やリーダーシップの欠如により組織運営に混乱が生じ、優秀な人材の流出や業績悪化を招くこともあるでしょう。

こうした影響は社内にとどまらず、取引先や金融機関との信頼関係の悪化、顧客離れといった形で社外のステークホルダーにも波及します。さらに視点を広げれば、地域経済の衰退、雇用の喪失、技術やノウハウの消失といった社会的損失も生じます。これらのリスクを回避するためにも、早期から計画的に後継者育成に取り組むことが不可欠です。

後継者育成の実践方法

ポイントのイメージ

効果的な後継者育成を実現するには、体系的なアプローチと具体的な実践方法が必要です。ここでは、後継者の選定から育成、実践的な経験の場の提供まで、3つの重要な方法を解説します。

アセスメントをおこなう

アセスメントとは、候補者の能力や適性を客観的に評価し、後継者としてふさわしい人材を見極める手法です。経営者にはリーダーシップ適性、戦略的思考力、コミュニケーション能力など、多岐にわたる能力が求められます。人材アセスメントを実施することで、これらの要素を多角的に評価し、現在のスキルレベルと成長可能性を正確に把握できます。

代表的な評価手法として、アセスメントセンター方式が挙げられます。日本では一般的に「アセスメント研修」とも呼ばれ、演習課題を実施する過程を専門家(アセッサー)が観察・評価することで、職務適性や管理能力を見極める手法です。第三者による評価のため客観性・公平性が担保され、実務との親和性が高い点が特徴といえるでしょう。

サクセッションプランを策定・実行する

サクセッションプラン(後継者育成計画)は、計画的な後継者育成のための体系的な枠組みです。後継者要件の定義から候補者選定、具体的な育成計画の立案まで、長期的視点で人材開発を進められます。

サクセッションプランを作成するにあたっては、まず企業の将来ビジョンにもとづいて後継者に求められる要件を明確に定義します。次に、アセスメントなどで候補者を選定し、個別の育成計画を立案・実行していきます。

育成計画には各部門でのローテーション、経営会議への参加、外部研修の受講、メンタリングプログラム、海外拠点での勤務経験などを組み込むといよいでしょう。定期的なモニタリングと計画の見直しをおこないながら、段階的に経営者としての能力を高めていきます。

ストレッチな経験(タフアサインメント)をさせる

タフアサインメントとは、社員の現在の能力を超えた挑戦的な職務を意図的に割り当てる人材育成手法です。後継者候補に対して困難な課題を与えることで、短期間での急速な成長を促進します。

困難な状況での意思決定やチームマネジメントを通じて、実践的なリーダーシップスキルを習得させることが目的です。具体的には、新規事業の立ち上げや不採算部門の再建のような通常の業務範囲を超える責任ある職務を経験させます。

その経験により、経営者としての判断力、危機対応力、変革推進力を効果的に育成できます。失敗を許容できる環境を整え、チャレンジから学ぶ機会を提供することが、タフアサインメントの成功の鍵となります。

後継者育成を成功させるポイント

後継者育成を成功に導くには、実践方法だけでなく、組織全体での取り組みと長期的な視点が大切です。ここでは、育成を成功させるための2つの重要なポイントを解説します。

現場とのコミュニケーションを大切にする

後継者育成を成功させるには、現場の理解と協力が不可欠です。取り組みの目的と意義を現場に丁寧に説明し、組織全体で取り組む重要性を共有します。

また、適切なタイミングで後継者候補を公表し、組織内からの理解と協力を得ることも重要です。特に、後継者候補の上司や関係部門の責任者には、具体的なサポート体制を整えることが求められます。たとえば、業務時間中に研修に参加するには、現場の理解が欠かせません。理解が得られなければ、後継者候補が円滑に育成プログラムへ参加することが難しくなります。

長期的に取り組みを続ける

後継者育成には最低でも数年、長い場合には10年以上の期間が必要です。そのため、短期的成果を求めるのではなく、段階的なスキル習得と経験の蓄積を通じて、経営者としての資質を育成することが重要です。

そのためにも、途中で育成計画が頓挫しないよう、経営者が明確にコミットし、育成に必要な予算と時間を確保することが欠かせません。一朝一夕には成果が現れないからこそ、組織全体で長期的な視点を共有し、継続的に取り組む姿勢が求められます。

後継者育成は戦略的かつ計画的に進めることが重要

GROWTHのイメージ

後継者育成は、企業の持続的発展を支える重要な投資です。育成には時間がかかるため、早期に着手し、戦略的かつ長期的に取り組むことが成功への鍵となります。

効果的な後継者育成を実現するには、アセスメントによる客観的な候補者選定、サクセッションプランにもとづく体系的な育成プログラム、そしてタフアサインメントによる実践的な経験機会の提供という3つの実践方法を押さえておきましょう。

後継者育成は、企業の持続的成長と競争力強化につながります。価値ある企業として発展を続けるためにも、未来を担う人材の育成に取り組んでいきましょう。

著者プロフィールHR Trend Lab編集部
タレントマネジメントやエンゲージメントなどの最新トレンドから、組織や人事にまつわる基本知識までマイナビ独自の視点でお届けいたします。
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