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ESG経営とは?企業のメリットや参考にしたい取り組み例を紹介

2022年09月08日更新

環境問題や社会課題、ガバナンス強化と向き合い、企業経営の持続的な成長を目指す「ESG経営」が注目されています。しかし、ESG経営の重要性や、経営にどのようなメリットがあるのかわからないという企業も少なくありません。

そこで今回は、企業がESG経営に取り組むメリットや、具体的な取り組み例も含めてわかりやすく解説します。

目次 【表示】

ESG経営とは

ESGとは「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(管理体制)」の頭文字をとった言葉です。また、これらの3要素を念頭に経営に取り組むことをESG経営とよびます。それぞれの要素の例としては、以下のような項目が挙げられます。

Environment(環境):気候変動や環境汚染、森林破壊などを防ぐ環境保護のための取り組み
Social(社会):雇用環境や労働条件の改善、人権保護などへの取り組み
Governance(管理体制):不正経理や贈収賄・汚職の防止など管理体制強化への取り組み

そもそも、ESG経営が世界に広まった背景として、2006年に国連によって発表された「責任投資原則(PRI)」で、ESGを投資判断の新たな観点として推進したことが挙げられます。

「責任投資原則(PRI)」には、投資家の利益を守りつつ、環境や社会全体にも利益をもたらす持続可能な国際金融システムを目指すために、6つの原則が策定されています。このなかに「私たちは、投資分析と意思決定のプロセスに ESG の課題を組み込みます」というコミットメントが含まれています。

ESG経営の目的

ESG経営に取り組む主な目的は、企業の持続的な成長に繋げることが挙げられます。先進国は、これまで急速な経済発展を遂げてきましたが、それと引き換えに地球環境が破壊されてきたことも事実です。また、過酷な労働環境によって身体を壊し、生活を犠牲にしてきた労働者も少なくありません。

これからの時代、企業はこのような問題と正面から向き合っていかなければ、持続的な成長を実現することは難しいといえるでしょう。

また、投資家が投資の判断軸としてESGに注目するようになったことにより、企業は今まで以上に、自社の事業で利用する電力を再生可能エネルギーに代替するといった環境面への配慮や、サプライチェーン(原材料など)において紛争鉱物を利用しないといった社会・ガバナンスに対する意識をむける必要がでてきました。

ESG経営とSDGsの違い

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、国連で採択された世界共通の目標です。

SDGsは社会、経済、環境の観点から持続可能でよりよい社会の実現を目指しているため、ESG経営の取り組みと共通する部分があります。しかしESG経営は、企業が主体となり取り組むのに対し、SDGsは国や企業、個人も含めて取り組み、目標を達成することを目指しています。

企業にとってのESG経営のメリット

ESG経営を実践することによって、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ESG経営のメリットを3つのポイントに分けて解説します。

ESG投資に対応し、投資先としての評価が上がる

先述したように金融業界では、ESGを投資判断の要素として考える「ESG投資」が注目されています。

自社の利益を創出することとともに、ESGそれぞれの課題にも積極的に取り組んでいるかどうかは、ESG投資による投資先の選定において重要な判断材料となります。そのため、ESG経営に取り組むことは、投資家からのポジティブな評価の獲得につながり、資金調達がしやすくなるメリットがあります。

企業のイメージアップが期待できる

ESG経営は自社の利益だけを優先するのではなく、環境問題や社会全体の問題に対しても積極的に取り組む姿勢の表れといえます。

社会課題への取り組みは企業としての信頼性やブランド力の向上につながり、結果として顧客や取引先に対してもポジティブな印象を与えることができます。そして、信頼性の高い企業の製品やサービスは多くの顧客から支持を得やすく、最終的には業績アップの効果も期待できるでしょう。

ガバナンスの強化につながる

ESG経営の要素のひとつに「Governance(管理体制)」があり、企業や組織の統治や適切な管理につながります。

たとえば、製品の生産効率を上げるために品質管理の工程を省いてしまうと、生産量のアップは期待できるものの、十分な検査がおこなえず品質が低下するおそれが生じます。その結果、検査結果の改ざんや隠蔽といった不正が起こりやすくなり、それらが明らかになった場合は企業の信頼性も低下するでしょう。

ESG経営によって組織内でのガバナンスが強化することで、不正の横行を未然に防ぎ、適切な管理ができるようになります。

ESG経営に取り組む際の注意点

ESG経営に取り組む際には、企業としていくつか注意しておかなければならない点も存在します。とくに重要なポイントを2つ紹介しましょう。

中長期的な視点をもって取り組む

ESG経営は、必ずしも短期間で成果が出るとはかぎりません。たとえば、環境問題への取り組みを始めても、実際に成果が出るまでには時間を要することが多く、継続的に実践してみなければ成果はわからないものです。

またESG経営のために、新たな設備投資が必要となるケースや、管理体制を構築するために人員を割かなければならない場合もあるでしょう。このように、設備投資にかかるコストや人件費などが増大する懸念があります。

数か月や半年といった短期間ではESG経営の成果が実感できないことも多いため、中長期的な視点で取り組んでいくことが求められます。

事業と関連する課題へ取り組む

ESG経営は、事業活動を通じて利益を創出しながら、環境、社会、管理体制の課題に取り組んでいくことが基本となります。

そのため、自社の事業活動との関連性を考慮し、自社と環境や社会全体の双方に利益をもたらす課題を選定して取り組むべきでしょう。自社の事業と関連のない課題に取り組もうとしても、自社の持続的な成長には寄与しない可能性もあるため、課題の選定は重要です。

ESG経営の取り組み例

ESG経営をおこなっている企業では、具体的にどのような取り組みをしているのでしょうか。ESG経営に着手するにあたって、参考にしたい取り組み例を3つのテーマに分けて紹介します。

環境(Environment)への取り組み

事業をおこなっていくうえで、事業が地球環境に与える影響を考え、環境負荷を少しでも軽減するための取り組みとして以下のような例があります。

・再生可能エネルギーの活用
・ハイブリッド車やEV(電気自動車)の採用
・ゴミの量を最小限に留める簡易包装への変更
・リサイクル素材を活用したユニフォーム・制服の採用
・ペーパーレス化 など

社会(Social)課題への取り組み

社会課題への取り組みとしては、働き方改革に向けたさまざまな施策も身近な例といえるでしょう。また、緊急時に備えた対策も社会課題への取り組みのひとつです。

・テレワーク・リモートワークの推進
・育児・子育て支援の充実
・緊急時に備えたサプライチェーンの構築・BCP対策
・防災情報の配信サービス など

管理体制(Governance)強化への取り組み

組織のガバナンス強化に対する取り組みとしては、社内の不正を未然に防ぐためのシステム作りが重要といえます。万が一、不正を認識した社員が通報や相談ができる体制を構築しておくことも検討しましょう。

・社外取締役、監査役の設置
・内部通報制度、窓口の設置
・ワークフローシステムなどの導入 など

ESG経営は長期的な視点で継続することが重要

ESG経営は企業にさまざまなメリットをもたらしますが、必ずしも短期間で成果が出るとはかぎりません。数か月や半年程度で成果が出なかったからといって断念するのではなく、長期的な視点で継続していくことがなによりも重要といえるでしょう。

そのためにも、自社でなにに取り組むべきなのか、自社と環境や社会全体にもたらす利益を考え、無理なく継続できる課題を選定したうえで、着実に実行していきましょう。

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