ロールモデルとは?重要性や4つのメリット、3つの設定ステップを解説

「手本・模範となる人物」を意味する「ロールモデル」。企業はロールモデルの策定・提示をすることで、社員個人の成長加速や組織の活性化などの効果が期待できるでしょう。本記事ではロールモデルの概要やロールモデルを設定するメリット、設定手順などを解説します。
ロールモデルとは

「ロールモデル」とは、広義の意味では自身にとって行動や考え方の模範となる人物のことを指します。ビジネスシーンにおいては「仕事における言動やキャリア形成について、自身のお手本となる人物」という意味で使われます。
例えば、子育てと仕事を両立しながら昇進を続けていく先輩社員や自分が目標とするキャリアステージで活躍している上司などがロールモデルとなり得るでしょう。
なお、一人のロールモデルだけでは、自身が目指す行動やスキル・考え方を完璧にカバーできないこともあります。その際には、目指す分野それぞれにロールモデルを設定するのが有効です。
ロールモデルの策定が重要な背景
現在は、終身雇用制度の終焉や 将来の予測が困難なVUCA時代の突入などから、働き方の多様化が進んでいます。働き方の多様化は、選択肢が多いというメリットがある一方で、自身のキャリア形成に迷う人を生みかねません。
そこで、将来に迷う人でも目標となる人物=ロールモデルのキャリアを参考にスキル・経験を獲得していくことで、より自身に合った働き方・キャリア形成を実現できる可能性が高くなります。さらに働き方の多様化により、社員一人ひとりに「キャリア自律」が求められるようになりました。キャリア自律とは、自身のキャリアを主体的に考えながら、自律的にキャリア形成に向けて取り組むこと。
ロールモデルという目標は、社員にとって「あの人をお手本にキャリアを形成しよう」と前向きかつ自律的な気持ちでキャリアを構築する動機となり得ます。
ロールモデルを設定するメリット

社員側と企業側、ロールモデルを提示・策定するそれぞれのメリットについて解説します。
【社員のメリット①】キャリアプランを描きやすくなる
やりたいこと・目指したいことを持つ社員が、その希望・目標に沿ったロールモデルを設定することで、自身に足りない能力・知識等を認識することができます。さらにロールモデルという存在は「どのような経験を積み、どんなスキルを習得できれば、ロールモデルのようなキャリアを歩めるのか」というキャリア形成の指標になり得えます。
そのため、自身に足りない能力・知識はどのようなキャリアパスで習得すれば良いのか、ロールモデルを参考にすることで、具体的にキャリアプランをイメージしやすくなるでしょう。
例えば、「グローバルに活躍したい」と考える20代後半の女性Aが海外赴任を何度か経験して言語力や折衝能力などを高め、現在は海外営業部でヨーロッパ市場に対して営業活動をおこなっている50代女性Bをロールモデルに設定したとします。すると、女性Aは今からどのような経験を積み、どのようなスキルを身に付けておくべきか、女性Bのキャリアから参考になる情報を多く発見できることでしょう。
【社員のメリット②】成長スピードが加速する
ロールモデルのキャリアと自身の状況とを比較・逆算することで、ロールモデルのように働くために、これからすべきことの指標が見えてくるようになります。目標ができることで、仕事・能力開発に関するモチベーションが向上し、結果的に成長スピードも速くなる効果が期待できます。
【企業のメリット①】離職率低下の効果がある
社員それぞれがロールモデルを設定できている組織は離職率の低下が期待できます。社員は将来の姿をロールモデルと重ね合わせ「自社であれば目標とするキャリアを歩める」と認識するようになるためです。
特に「入社時にやりたかったことができない」と感じる若手社員にとっては、設定したロールモデルが歩んできたキャリアを知ることが離職から定着につながるポイントになり得ます。さらに企業側としても、社員へロールモデルの提示およびそこに向かうためのプロセスを示した上で、実現に向けた支援提供に取り組むことで離職を抑制できるでしょう。
【企業のメリット②】組織全体の活性化促進
設定したロールモデルの考え方やスキルを学ぶことは、社員にとって意識改革を醸成する第一歩となるでしょう。社員がロールモデルへの興味関心を持つようになった結果、社員-ロールモデル間のコミュニケーションが活発化することで、何気ない会話からアイデアが生まれたり、(ロールモデルが他部署の場合は)他部署への理解が深まったりと、組織の活性化に繋がります。
またロールモデル側も「手本となり続けるべく頑張ろう」と考え、努力を重ねるようになるでしょう。社員とロールモデルが互いに刺激し合って成長を続け、結果的に組織の成長が加速することが期待できます。
企業のロールモデル活用ステップ

一般的には各社員が自律的なキャリアを築くために、自身にそったロールモデルを設定します。一方で、企業も社員のキャリア形成支援を目的に、ロールモデルを有効的に使うことができます。ここでは企業のロールモデル活用ステップを紹介します。
ステップ① ロールモデル像の設定
自社に望ましいロールモデル像の設定方法は様々です。例えば、それぞれの組織・職種で活躍している社員の共通項からペルソナ設定をした上で要件を決定する方法も考えられます。この方法では、定めた要件に近い社員をロールモデルとして設定します。
場合によっては複数人を設定しても構いません。なお、ステップ①では、年代別・対象層別に、自社にロールモデルとなり得る人物が(どの程度)いるかどうかも確認しておきましょう。
ステップ② ロールモデルの周知
ロールモデルとなる人物の設定を終えても、その存在に気付いていない社員もいることでしょう。そこで社内メールや広報誌などを活用して社内へロールモデルの存在を通知し、周知を進めます(研修や採用活動の事例紹介をしたりして社外にも共有すると、なお良いでしょう)。周知をする際には、そのロールモデルがいつ・どんなスキルと経験を積んできたのかも併せて伝えると効果的です。
加えて、多様なロールモデルの特徴を様々な観点から切り分けたり、多彩なロールモデルを抽出した上で、「仕事と育児の両立」や「グローバルで働く」など、ロールモデルのラベル付けをしたりすれば、社員はロールモデルを選びやすくなるでしょう。
ステップ③ キャリア自律のための学習環境の整備
企業側がロールモデルを設定・公開するだけでは、ロールモデルを目指す社員の育成は難しいこともあるでしょう。何事もそうですが、本人のやる気が不十分では成長が期待できないためです。
そこで、企業としては、社員が自らキャリアについて考える力やスキル・知識を学べる学習環境を整えることが大切です。具体的には研修制度やe-ラーニングなどの充実を図る取り組みも効果的でしょう。
ステップ④ 目指すロールモデルに向けた社員の育成
最後に、目指すロールモデルを設定した社員に対して、個別の育成計画に準じて育成をおこないます。そのロールモデル像を目指した社員育成をおこないます。代表的な育成方法にOFF-JTとOJTが挙げられます。
前者のOFF-JTとはセミナーや研修など一時的に現場から離れておこなう教育のこと。一方、後者のOJTは、現場での業務を通じておこなわれる教育を指します。OFF-JTとOJTを組み合わせることで、効果的に社員を育成することができます。
なお、OFF-JT後には、企業は「該当の社員は設定したロールモデルに沿った結果が出せているのか、または行動できているのか」を評価・分析する必要があります。業績や評価の結果によっては、ステップ③の「学習環境の整備」に立ち戻り、学習環境の調整が必要になります。
ロールモデルを活用して、組織を活性化させよう

ロールモデルを設定することで、社員個人はキャリアプランが立てやすくなり、さらに成長スピードの加速も期待できます。企業にとっても組織の活性化や離職率低下といった効果が得られる可能性があります。
なお、企業がロールモデルを活用する際には、ロールモデルの設定・周知・環境整備・育成というステップを踏みます。特に育成ステップには一定程度の時間がかかることが見込まれるため、ロールモデルを組織運営に組み込む場合には早めに着手することが大切です。